国立病院機構長崎医療センター 米倉 正大 院長
昨今の医師不足、地域格差、財政的な医療保険の問題など多くの問題を抱え、今日本の医療は困難な状況にあり、これからもますます厳しくなることが予想されます。このようなときこそ国立病院機構の役割は大きくなると考えています。
国立病院機構は、独立行政法人化され早7年目に入り144の病院のネットワークを生かした安全で良質な医療の標準化を目指し、全国どの国立病院に行っても標準的な医療が受けられるように、努力がはらわれているところです。効率よく提供できるシステムと患者さんが満足されるようなシステムが統合されて初めて良質で安全な医療が提供できます。このため医師、看護師や薬剤師などのコメディカルが病院内で一丸となったシステムを構築してきた国立病院機構は、いち早く地域の医療機関との連携の構築が始まっています。
そこで、今回の学会のテーマを「医療の格差をなくす - 国立病院機構の役割 -」としました。がん医療、救急医療、循環器医療、成育医療などはもちろん国の政策医療の大きな部分を占める結核、重心、筋ジス、神経難病などに対しても、全国に展開し、国立病院機構の役割はますます大きくなっています。
この2日間の中では国立病院機構の最も強くまた得意な分野でもあるネットワークを生かした人材育成を中心にシンポジウム及び教育講演を組みました。また特別講演には、太宰府天満宮禰宜である味酒安則氏には福岡の歴史についてご講演していただくほか、九州大学医学部卒業である中村哲氏にはアフガニスタンでの医療活動を通して見えてくる日本の国際医療協力についてご講演いただきます。
本学会は国立病院機構のみならず、国立高度専門医療研究センターやそのほかハンセン病療養所の全職員など約6000人以上が参加されています。多数の会員の皆様が国立病院機構の底力を発揮されるよう願っています。