「移植フォーラム」北九州市 福岡県腎臓病患者連絡協議会
ことし7月17日に改正臓器移植法が全面施行された。これを受けて移植普及啓発キャンペーンを続けてきた福岡県腎臓病患者連絡協議会(福腎協)と(財)福岡県メディカルセンターは10月3日、北九州市総合保健福祉センターで「臓器移植フォーラム」を開いた。集まった150人の患者、家族、医療関係者を前に心臓移植者、献腎移植者が体験談を語り移植コーディネーターが臓器移植の普及・啓発を訴えた。
平成22年1月から改正臓器移植法の一部施行で、臓器提供の意思表示にあわせて、親族に対し優先的に提供する意思を書面で表示できるようになった。さらに7月からは本人の提供意思が不明でも、生前に拒否していない限り家族の承諾のみで脳死下の臓器提供が可能となった。また、これまでは対象外だった15歳未満でも家族の承諾で提供できる。
福岡県腎臓病患者連絡協議会では、こうした現状を踏まえ臓器提供、臓器移植に対する国民的合意を目指す運動をより積極的に拡大していく。フォーラムでは福腎協の塩屋利且会長が「改正された臓器移植法の意義を広く訴えていきたい」と挨拶。行政、医療関係者の来賓を代表して福岡県議会・厚生労働環境副委員長の秋田章二県議が「臓器提供の意思表示板を各自治体に広めています。県議会としても移植が身近な医療となるよう努力を続けています」と患者や家族を激励した。
現在、腎不全のため人工透析療法を受けているのは全国で約29万人。年間約8000人ずつ患者は増加しており、最終的には40万人に達すると見られる。
透析療法は一般的に週2~3回、毎回4~5時間の治療を生涯にわたって続けなければならない。透析で血液中の老廃物除去、電解質維持、水分量維持をする。透析技術は進歩し高い「生活の質(QOL)」は定着してきたが、一方で水分や食事の制限や就労、就学での制約も多い。小児では身長が伸びないなどの障害もあり、成人でも長期間透析療法を続けていると骨の障害や狭心症、心筋梗塞、脳出血、脳梗塞を併発する恐れもある。
ある泌尿器科医は患者に「最もいい治療法は腎臓移植です」と説明する。日本臓器移植ネットワークに登録してる人は腎臓1万1539人、心臓169人、肝臓270人(6月30日現在)と腎臓移植登録者が圧倒的に多い。昨年は1302件の腎臓移植のうち85%が生体移植だった。献腎移植を受けるには平均15年待ちの状態。しかし、法改正で長年待たなければならない状況も改善されそう。
ドイツで心臓移植
23歳の時、拡張型心筋症を発病し医師から「心臓移植以外に助かる方法はない」と診断されました。多くの方から莫大な募金をいただきドイツで治療を受けていました。
脳梗塞を発症してからは待ちリストのトップになり、ドナーが出たとの連絡ですぐに手術でした。今、私が生活できるのはドナーとそのご家族と支えてくださった方々のおかげです。日々、感謝しています。
腎かあさんに感謝
24歳で腎炎を発症し28歳から週3回、5時間の透析を受けていました。
登録して13年後にドナーがいらしたのですが勇気がなく断りました。それから移植について勉強し14年目に再び70歳代の女性の方がドナーとなられました。その方を「腎かあさん」とお呼びし毎朝、お水を上げ手を合わせてお礼を言っています。透析の患者さんからは「何事もチャレンジして良かったね」と喜ばれています。
提供の意思は家族と確認を
臓器提供できるのは心臓、肺、肝臓、腎臓、すい臓、小腸、骨や皮膚です。最近は糖尿病治療に膵島細胞の移植もされています。提供を考えられる方は元気なうちに自分や家族の気持ちを確認されるようお願いします。
また、移植を希望される方は登録後、1年で1ポイントが加算され10年以上経たないと移植を受けられませんので早めの登録をお勧めします。