九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

東北大学病院 病院長 冨永 悌二

東北大学病院 病院長 冨永  悌二

 2020年の年頭にあたり、謹んで新年のごあいさつを申し上げます。さて、私儀は2019年4月より東北大学病院長を拝命いたしました。よろしくお願い申し上げます。

 東北大学病院は、2018年新たな先進医療棟に手術部や高度救命救急センターなどが移転し、手術室数の増加や手術ベッドの稼働率増加、眼科デイサージャリーの本格稼働などにより手術件数が増加して、2020年度は1万件に到達すると思われます。また個別化医療センターでは、がんゲノム医療中核拠点病院として、がんパネル検査の保険収載と共にがん個別化医療の実装を開始しました。新たに設置された東北大学未来医療創生センターや東北メディカルメガバンク機構と連携し、遺伝子解析の他臨床検体のバンキングなどを推進しています。

 東北大学病院臨床研究推進センターは、臨床研究中核拠点病院として産学連携による医療開発の中核をなし、国内最大規模を誇ります。2019年橋渡し研究戦略的推進プログラム中間評価で全国トップの評価をいただきました。またスタンフォード大学CARE(Center for Asian Health Research & Education)のアジアにおける窓口として基本合意書を締結し、革新的医療技術創出拠点病院のデータセンターとして初のISO9001:2015認証も取得しました。東京分室は主にコンサルティング業務を行っていますが、新たに設立された東北大学子会社である株式会社ナレッジキャストと連携して、今後さらに業務を拡大していく予定です。

 2019年11月には大学病院の多職種からなる15人が、スマートホスピタルとして先進のフィンランドのオウル大学病院を視察しました。当院も患者、医療従事者共に心地よいスマートホスピタルを目指し、産学連携による診療科別医療課題解決と病院機能・業務課題解決を2本柱として、「働き方改革」を念頭に医療業務の改善、勤務時間の短縮に取り組んでいます。本年は、西病棟15階の47床を返上して設置した「オープン・ベッド・ラボ(OBL)」が、企業と病院双方の課題解決を目指した産学連携プラットホームとして機能することを期待しています。東病棟1階にはAIラボを設置し、企業と臨床現場でのAI開発を目指しています。また遠隔医療を推進すべく、国立大学病院としては初めて、オンラインによるてんかんのセカンドオピニオン外来も開始しました。

 これらすべての事業は、当然のことながら安定した経営基盤の上に成り立つものであり、厳しい経営環境の中、医療の質と経営を最適化するためのクリニカルパスの推進などさまざまな課題に取り組みながら、たゆまず経営努力に励む所存です。

 皆さまにも本年が幸多き年でありますよう祈念して、新年のごあいさつとさせていただきます。

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