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岡山県医師会 会長 松山 正春

岡山県医師会 会長  松山  正春

 あけましておめでとうございます。皆さま方にはおそろいで、健やかな新年をお迎えのことと、お喜び申し上げます。

 2020年の1年間は、医療機関のみならず全ての産業において少なからず新型コロナウイルス感染症の影響を受けている。岡山県医師会においてもその例に漏れず、2月からは新型コロナウイルス感染症関連以外の医師会活動は停止してしまった。

 岡山県医師会は、新型コロナウイルス感染症患者を直接治療するという立場にはなく、岡山県医師会の責務は、厚生労働省、日本医師会、岡山県などから雪崩のごとく入ってくる情報をいかに早く、正確に会員および県民に伝えるかということであった。2020年2月5日に、「岡山県医師会新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、以来、毎週1回対策本部会議を開催した。開催に際しては、必ず岡山県の担当者を招聘(しょうへい)し、情報共有を図った。

 さらに、5月からは保健所機能の破綻に伴い、岡山県と協力しPCR検査検体採取センターを設置するなどしてPCR検査の拡充を推進した。

 2021年は、新型コロナウイルスワクチン元年となる。既に、海外ではワクチン接種が始まっている。わが国おいても、今年の早い時期にワクチン接種が開始されるであろう。県行政との調整を経て、早期にワクチン接種を終えたいと考えているが、集団免疫獲得を考慮すると岡山県においては、120万人(接種回数は240万回)の県民に接種する必要があり、会員の先生方の協力が不可欠になる。医師会として万難を排して、ワクチン接種の事業を完遂しなければならない。その後に、新型コロナウイルス感染症の収束が見えてくることを期待する。

 コロナ後の課題の一つは、新型コロナウイルス感染症拡大による患者の医療機関への受診控えである。医師会活動では地域医療構想、地域包括ケアシステムの構築に関して感染症の視点が重要となる。パンデミック時の病床の逼迫(ひっぱく)は、貴重な経験となった。再びこのようなことが起こることがないよう対策を講じておく必要がある。コロナ後も、社会保障費は確実に増大するだろうが、一方で財源の確保のめどはない。

 コロナ関連の支出に加えて、経済の停滞による税収減など悪条件が山積している現状を憂慮している。医療経営の厳しい環境は、今後も続くと考えておく必要がある。自院の強みを生かす医業が求められ、他院との選別化を明確にし、生き残りを図らなければならない。

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