九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

地域支援までサポート「せいじのトータルケア」

地域支援までサポート「せいじのトータルケア」

医療法人金澤会 青磁野リハビリテーション病院
金澤 知徳 理事長(かなざわ・とものり)

1977年久留米大学医学部卒業、順天堂大学臨床病理科入局。
国立熊本病院(現:国立病院機構熊本医療センター)、
医療法人金澤会青磁野病院(現:青磁野リハビリテーション病院)院長などを経て、
1999年から現職。

 「Be the Best Partner」という理念を掲げる青磁野リハビリテーション病院。地域のさまざまな機関や専門家を巻き込んで、患者が安心して社会復帰できる仕組みに取り組みたい―。そう語る金澤知徳理事長の思いとは。

―病院を運営する上での思い、診療の特徴を。

 「医療は探しものである」と考えています。「治す」のではなく「探す」。つまり、患者さんが困っておられる事柄を乗り越える出口を、患者さんと一緒に探すことです。

 探しものを見つけ出す患者さんやご家族をエンパワーする一つのツールとして、動画の利用があります。例えば入院直後の状態、リハビリを実施して数日後の状態…と動画を撮り続け「入院の時には全然できなかったことも、今はここまでできますよ」とお見せする。

 さらには「こんな方法で次の目標を一緒に乗り越えていきましょう」とお伝えすることで、患者さんやご家族の不安感や負担感を軽減できるように心掛けています。体の動きなどが改善していく様子を動画で見て、患者さんやご家族が感動されることも多くあります。

 また、「試験退院」も試みています。1泊や2泊の外泊ではなく、本当に退院していただく。ヘルパーの訪問やショートステイなど、退院後のプログラムもきちんと作成し、実行します。社会復帰のための予行演習みたいなものです。

 患者さんの生活に問題がなければそのまま本退院となり、リハビリがもう少し必要と判断すれば再入院となります。試験退院の間はベッドを開けておかなければなりません。再入院では新規入院と同じ手続きや入院計画の作成も必要になるなど病院側の業務も発生しますが、患者さんにはとても重要なことだと思います。

 試験退院では、外泊では分からない問題が浮かびあがることもあります。試験退院を通して私たちは患者さんのパートナーとしてどのように日常生活を続けられるかを一緒に探すということを大切に考えています。

―「せいじのトータルケア」を掲げています。

 トータルケアと聞くと、急性期から慢性期まで何でもそろっていると捉えられがちです。しかし、そういう意味ではありません。医師だけでなく介護福祉士、ヘルパー、ケアマネジャー、ソーシャルワーカーなど、地域の多職種のプロが専門的な視点で患者さんの日常生活をサポートしようというのが「せいじのトータルケア」です。

 そこには、①身体的要因②家族力要因③居住環境的要因④在宅ケア体制要因⑤地域力要因の五つのポイントがあります。

 身体的な状態、ご家族の受け入れ態勢や気持ちは万全か、住む場所は生活しやすいか、在宅ケアの準備は整っているか。肝心なのが、⑤の地域の支援。かかりつけ医との連携、借家にお住まいならば大家さんのご協力、ご近所の支援など地域との連携は患者さんの社会復帰にとても重要です。

 患者さんの日常生活にまで踏み込もうと思うのは、私たちが回復期の医療機関であることが大きいでしょう。私たちは入院される患者さんの人生を一緒に考えるパートナーでありたいと願っています。

―注力したいことや展望を。

 「せいじのトータルケア」は、当院独自のものであるべきだと思っていません。私たちの思いが広がり、熊本がもっと人が生きやすい、安心できる街になってほしいと願っています。

 例えば「栄養のことを聞きたい」「生活について相談したい」など、日々困ったり、疑問に思ったりすることがあれば「何でも相談できる」。この病院を、そんな〝よろず相談〟ができる病院にしていきたいと思っています。

 私も70歳を超えました。今後は、ここで暮らす人のため、街づくりにも貢献していくことができたらうれしいですね。

医療法人金澤会 青磁野リハビリテーション病院
熊本市西区島崎2―22―15
☎096―354―1731(代表)
https://www.seijino.or.jp/

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