九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

地域包括ケア病棟協会 会長 仲井 培雄

地域包括ケア病棟協会 会長 仲井  培雄

 明けましておめでとうございます。旧年中は皆さまのご支援の下、念願の一般社団法人となり、地域包括ケア病棟の普及啓発と質向上にまい進できました。まずは、この場をお借りして御礼申し上げます。

 医療の現場では、急性疾患の診療を行う病棟の様相が変わりました。中医協の資料によると、入院患者のうち70歳以上の患者は、急性期一般入院料1で60%超、地域包括ケア病棟入院料で80%超を占めます。これに対して国は、疾患の重症度よりも、発症前から複数の慢性疾患を持ち、服薬数が多く、認知機能や栄養が低下して看護やケアの必要度の高い患者は、DPC対象病棟の重症度、医療・看護必要度から外す案を出しています。一方、自院ポストアキュートとしてDPC対象病棟から地域包括ケア病棟・病室に転棟・転室する患者には、その割合の制限や入院期間ⅡまでDPCを引っ張る案が出ています(2019年12月11日現在)。

 一見別々に見えますが、国が言いたいであろうことをまとめると、治し支える患者は地域包括ケア病棟で診る。DPC対象病棟では疾患の重症度が高い治す患者を診る。その結果、中途半端な病床数のDPC対象病院は地域医療構想の中で今後の方向性をしっかり探っていただきたい。地域包括ケア病棟はまだまだサブアキュートの需要がある、ということだと思います。

 このような改定が予想される背景を振り返ると、日本は人口減少、少子化、超高齢社会を迎えて、認知症高齢者が激増します。治す医療から治し支える医療への転換が進み、死亡率の第3位が老衰(2018年度)となりました。高齢者数増加は2次医療圏ごとに大きな地域差があり、2025年までの上記課題解決には地域包括ケアシステムは必須です。医療機関内では働き方改革やトップの意識改革、人材養成などの取り組みを進め、地域内では地域医療構想策定と医師偏在対策、医師の養成、専門医制度改革、国民の医療のかかり方などを改革しつつ実施するという困難な課題を突き付けられています。

 2020年度の改定は地域医療構想に寄り添い後押しすると言われおり、地域包括ケア病棟がさらに脚光を浴びると思われます。当協会としては、在宅復帰支援のプロセス評価としてPOC(Point of Care)リハを含む補完代替リハの提唱・活用とリハマネ加算を、アウトカム評価としてADLの向上を提言していましたが、DPC改革の波に巻き込まれてしまいました。今後は、地域包括ケア病棟を充実あるいは開設しようとされる皆さまと一緒に本病棟をより良い病棟に育てたいです。そして、地域包括ケアシステムをしっかりと築いて、共に意気揚々と2025年を迎えたいと考えています。本年もよろしくお願い申し上げます。

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