九州医事新報社 - 地域医療・医療経営専門新聞社

信頼される高度で良質な医療を

信頼される高度で良質な医療を

京都山城総合医療センタ
岩本 一秀 院長(いわもと・かずひで)
1984年鳥取大学医学部卒業。
京都府立医科大学助手( 神経内科)、大阪鉄道病院、
京都山城総合医療センター副院長などを経て、2021年から現職。


◎職員の能力向上を

 新型コロナウイルス感染症のまん延により、今後の医療の在り方を見通しにくくなっています。そのような中にあっても、病院の基本理念である、「当院は地域の中核病院として、信頼される良質な医療を提供すること」が、地域の皆さんの生活・健康を守るために必要です。予測困難な時代であっても当院を維持・発展させるためには、病院職員と組織の能力向上が必須と考えます。職員個々が自己研さんし、より質の高い医療提供が可能となるよう、多くの職員が研修や学会に参加できるような環境を整えたいと思います。

 また、組織の力は、職員個人の力の総和です。ただ、個人の力は波のように強くなったり、弱くなったりと変化します。波動の位相がずれないように力を合わせることで、組織の力はより大きくできます。そのタイミングを合わせるには、相互の十分なコミュニケーションが必要です。コミュニケーションがより円滑となるような風通しの良い職場を目指しています。


◎働き方改革の実現へ

 先々代の中埜幸治院長の時代に医師事務補助者を導入、先代の中井一郎院長の時代には増員を行ってきました。2020年12月から医師事務作業補助体制加算は20対1の算定です。今後も医師事務補助者が関われる業務を見いだし、さらに看護師の特定行為研修履修を進め、タスクシフト・シェアを進めていきます。

 20年度において、時間外勤務が年間960時間を超える医師は一人もおりません。働き方改革のゴールは、全ての人が、人間らしい人生を謳歌(おうか)することができ、仕事の場面でも生き生きと取り組める社会の実現と考えています。


◎切れ目のない医療を

 当院は、京都府最南端の山城南医療圏に位置し、南は奈良県に、西は大阪府に、東は三重県・滋賀県に隣接。1時間以内に大阪市や京都市の中心部へのアクセスもでき便利です。15年と20年の国勢調査速報で、人口では木津川市は7・0%増加した一方、東部の笠置町は16・5%減少。20年の高齢化率は木津川市が25・5 % に対し、笠置町は52・1%です。そのため、当院が担うのは、小児・周産期医療から高齢者医療と幅広いものです。

 ご高齢の方が入院された場合、背景として独居や老々介護など、在宅復帰の妨げとなる要因が多くみられます。より手厚いリハビリテーションを行い、より手厚い退院後のフォロー体制があれば、望まれる自宅退院の例が増えると考えています。

 従来の急性期医療を中心に、回復期医療の機能も充実させ、在宅医療では訪問看護や訪問リハビリテーションにより支援するなど、可能な限り良質で切れ目のない医療を提供できるよう体制を整えたいと考えています。それにより、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを最期まで続けていける地域包括ケアシステムが実現できると考えています。

 新型コロナウイルス感染症によって社会が大きく変化し、在宅勤務、ウェブ会議など人が移動しなくてもできることが、医療の分野でも増えています。当院が地域の中核病院として急性期医療の質を担保するためには、医師を派遣いただいている京都府立医科大学との連携の維持・強化が欠かせません。医療のデジタル化が進み診断や治療、手術だけでなく、ICU・HCUの管理なども大学病院から遠隔的な支援を受けられるよう、技術の習得や看護師の人事交流を進めていきます。

 東部地域には、現在医療機関が5施設ありますが、地域の面積から、その地域で診療に当たる医師の負担は大きい。離島や山間部で始まりつつある遠隔医療のシステムを応用することで、東部で活躍されている医師に対して、当院からの支援も行えるのではないかとも考えています。


京都山城総合医療センター
京都府木津川市木津駅前1-27 ☎ 0774-72-0235(代表)
http://www.yamashiro-hp.jp/

記事に関する感想・コメントはこちらから

このフォームに入力するには、ブラウザーで JavaScript を有効にしてください。
名前
メニューを閉じる