shares

高知大学 医学部消化器内科学
内田 一茂 教授(うちだ・かずしげ)

1992年高知医科大学(現:)卒業、
2003年京都大学大学院医学研究科修了。
天理よろづ相談所病院、米ペンシルバニア大学留学、
関西医科大学内科学第三講座准教授などを経て、2019年8月から現職。

 かつての高知医科大学(現:高知大学医学部)の卒業生である内田一茂教授。2019年8月、25年ぶりに戻ってきた。母校への思いと、消化器内科学講座での、今後の取り組みについて話を聞いた。

IgG4関連疾患研究一筋  久しぶりの母校へ

 高知大学医学部の前身、高知医科大学の9期生にあたる。「2代目の山本泰猛教授、3代目の大西三朗教授がいらっしゃったこの部屋のいすに、まさか自分が座るとは思いもしませんでした」と感慨深く語る。

 研修医を終え、天理よろづ相談所病院のシニアレジデントとして勤務。同院の内視鏡センター部長から京都大学へ異動した岡崎和一先生(現:関西医科大学内科学第三講座主任教授)を頼って、京都大学大学院へと進んだ。

 京都大学ではヘリコバクター・ピロリの実験、胃炎の研究、そして自己免疫性膵炎のモデル動物作製などを研究。当時、世界的に貴重だった実験施設を求めて米国ペンシルバニア大学へも渡った。その後、岡崎先生の関西医科大学教授就任に伴い帰国。関西医科大学に勤務した。

 専門は、難病に指定されているIgG4関連疾患の病変の一つである自己免疫性膵炎。岡崎先生とともに、以前はミクリッツ病と呼ばれ、シェーグレン症候群の亜型だと誤解されていたIgG4関連疾患を解明し、新しい疾患概念として確立することに貢献した。

 岡崎先生から症例調査に取り組むようアドバイスされてから23年。「ずっとこればかりやってきた〝マニア〟です」と笑う。

肝臓研究の伝統継承 膵臓・消化管にも意欲

 高知大学の消化器内科学講座は、肝臓研究で知られた教室だ。特に先代の西原利治教授のもとNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)の概念を確立し、抗エストロゲン剤により誘発されるNASHの治療法を発表し、評価が高い。

 内田教授は、肝臓の伝統を継承しつつ、膵臓や消化管などもバランスよく診療・研究する教室運営を目指すという。

 「肝臓治療の伝統を絶やしてはいけない。さらには、消化器領域で今後重要になる潰瘍性大腸炎やクローン病などのIBD(炎症性腸疾患)、自分の専門である膵臓疾患にも幅を広げていこうと考えています」

 研究内容の拡大によって講座の魅力を増やし、学生や若手医師の入局を増やしたいとの考えも持っている。「昔は勧誘しなくても人が集まってきていましたが、昔と今とでは学生の気質も異なります」。講座内に新風を吹かせることで、人材の確保を目指す。

県内の医師たちと協力し第二の故郷に貢献したい

 内田教授は千葉県出身。親が高知県出身で、毎年のように四万十市に帰省していた。高知県はゆかりの地。進学先を決める動機ともなった。

 学生時代は地方の生活に戸惑いながらも、パワフルで魅力的な教授陣や先輩方、仲間たちに囲まれて研究者としての嗅覚を研ぎ澄ましていった。「定年まで十数年、自分のルーツであり青春を過ごした高知で、人の役に立ちたい。最後のご奉公です」と心境を語る。

 超高齢化に伴う人口減、医療資源の偏在という高知県の課題について「超高齢社会のモデルケースとして、高知県に日本中が注目しています。研究者にはチャンスであり、やりがいがある」。さらに、「大学淘汰(とうた)の時代を乗り切るため、研究室の特色を強化して、高知大の価値を高めることにも貢献できれば」と考えている。

 そのためには、県内の医師たちと協力し、共に問題解決に取り組む心づもりだ。「人脈を広げたいと思っています。何でも引き受けますので面識がなくても、どうぞ、ご相談ください」

高知大学 医学部消化器内科学
高知県南国市岡豊町小蓮185―1 
☎️088─866―5811(代表)
https://www.kochi-ms.ac.jp/html/gakubu/kochi1nai.html

shares