九州医事新報社 - 医療・医学の〝今〟を伝えて62年

高齢化により患者が増加 皮膚科医の育成が急務

秋田大学大学院医学系研究科皮膚科学・形成外科学講座河野 通浩 教授(こうの・みちひろ)1994年秋田大学医学部卒業。米マサチューセッツ総合病院、米ハーバード大学医学部、名古屋大学大学院医学系研究科皮膚病態学准教授などを経て、2019年から現職。  1974年に開講した秋田大学皮膚科学・形成外科学講座は、地域医療を守りながら、最先端の医学研究を進めてきた。2019年9月、20年ぶりに母校へ戻り、教授に就任した河野通浩氏は、診療・教育・研究それぞれに注力し、地域医療の課題解決も視野に入れている。 ―医局の特徴や人材育成について教えてください。  当院は秋田県の特定機能病院であり、県内における、いわば「最後の砦(とりで)」です。皮膚科、形成外科も県内から多くの患者さんを受け入れ、皮膚がん、重症薬疹、全身の水疱(すいほう)症、重症熱傷などに対して、高度医療を提供しています。 また、湿疹、白癬(はくせん)、帯状疱疹(ほうしん)などの一般的な皮膚疾患も数多く診療しており、アトピー性皮膚炎や乾癬(かんせん)などの専門外来も設置。まさにオールラウンドに対応しています。 研究に関しては、色素異常症やアトピー性皮膚炎などに遺伝子からアプローチし、病態の解明や最適な治療法の開発に取り組んでいます。今後はさらに対象を広げ、じんましんや真菌症に対しても遺伝子の研究を進めたいと考えています。これらはまだチャレンジの段階ですが、いずれは新たな治療法を確立し、患者さんに還元できればと思っています。 秋田県は皮膚科の医師が不足しており、まずは幅広い疾患に対応できるオールラウンダーな医師を育てる必要があります。しかし同時に、自分の専門領域をしっかり持ち、その領域の国際学会でも認められる優れた人材の育成も進めたいと思っています。 ―地域の医療機関との連携について。  医局のスタッフや県内の皮膚科医が一斉に集まる談話会を、月に1回程度開催しています。 それぞれ別の医療機関で働いている医師たちが、定期的に顔を合わせる機会を設けることで、患者さんの相談、紹介などもスムーズです。秋田県では談話会の存在により、大学病院と地域の先生とのコミュニケーションが、かなり良好であると感じています。 ただし、地域全体としての課題はまだあります。秋田県は高齢化がかなり進んでおり、それに伴い皮膚がんなど、重症の患者さんが増えてきています。しかし、皮膚科医が少ないことから、地域によっては内科や外科の先生が皮膚疾患の初期対応をしてくださっているケースが少なくありません。 患者さんのためには、早い時期に専門の医師が対応することが理想です。県内の皮膚科医の育成を含め、皮膚科診療体制をできるだけ充実させたいと思っています。 ―今後の目標は。  まずは学生たちに皮膚科の魅力を伝え、多くの人に入局してもらうことです。 皮膚科は、他科に比べてワーク・ライフ・バランスが比較的取りやすいと言えるでしょう。女性医師の結婚や出産にも対応し、復帰後もしっかりと仕事に取り組める環境を整えています。研究に打ち込むこともでき、これらのメリットを伝えたいと思っています。 これにより医局の人数が増え、結果的に秋田県内で働く皮膚科医が増えれば、地域医療の課題を改善できます。加えて、人員の増加で余裕も生まれ、それぞれ専門領域の研究も加速するでしょう。このような良い循環をつくることが、大きな目標です。 個人の目標としては、研究をじっくりと進めたいと思っています。これまで、私は色素異常症に関する二つの遺伝子を発見しました。一つは大学院生の時に始めた研究で、指導教授などの力を借りながら、約10年かけて発見。二つ目は私が中心となり、一つ目の発見の10年後に発見しました。 いずれも長い時間が必要でしたが、成果は出ています。次の10年間で、また新しい何かを見つけたいと考えています。 秋田大学大学院医学系研究科皮膚科学・形成外科学講座秋田市本道1―1―1☎018ー834ー1111(代表)http://www.med.akita-u.ac.jp/~hihuka/

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「全人的に診る」医師を育て地域医療を守る

宮崎大学医学部感覚運動医学講座 皮膚科学分野天野 正宏 教授(あまの・まさひろ)1986年宮崎医科大学(現:宮崎大学)医学部卒業。宮崎県立延岡病院皮膚科医長、米フロリダ州マイアミ大学皮膚科留学、宮崎大学医学部皮膚科准教授などを経て、2015年から現職。  皮膚の状態から内臓疾患が発見され、命をつなぐ患者が増えているという。全人的な医療が期待されている皮膚科医の役割を伝え、専門性の高い医師を育てたいと話す天野正宏教授に、宮崎県の皮膚科が直面している現状や地域医療のあり方について聞いた。 ―教室について。  「皮膚を通して全身を診る」。皮膚だけではなく、内科系疾患をはじめとして全身の病気を診ていく皮膚科医であることを大切にしています。 例えば、皮膚筋炎という膠原病の場合、皮膚症状としてまぶたや顔の一部、胸元などが赤く腫れぼったくなるなどの症状が現れます。さらには筋力の低下や疲れやすくなる、関節炎や肺炎を併発するなどもあります。 皮膚筋炎から、胃がんなどの悪性腫瘍が見つかることも少なくありません。皮膚を通して内科系疾患を早期発見できれば、患者さんの幸せにつながります。全身症状の一つとして皮膚に表れてくる症状を見逃すことがないよう、「全身を診る」という気持ちを、医局員全員で共有しています。 ―研修医の流出が課題。若手医師確保は。  研修医は、県内に50~70人程度。その中で皮膚科医を志望するのは、年に1~2人です。多くの若手に皮膚科医を目指してほしいと思う一方で、現実としては救急や内科、外科など、患者さんの命に直結する科を希望してほしいとも思います。 皮膚科を回る学生には、担当医をつけてマンツーマンで指導します。外来、病棟、手術室を駆け回り、皮膚科をまるごと体験してもらう。研修医には、実際に多くの患者さんを担当してもらっています。 皮膚科は、皮膚を通して患者さんの回復が目に見えて実感できます。ただ、最初の診断が間違うと、それに続く検査や治療も誤り、いつまでも治らないという深刻な問題に直面します。そのためにも、まずはしっかりと診断できる力を身に付けていくよう指導しています。 今はまだまだ人手不足。特に15年目、40代以降の医師が足りないですね。宮崎は、専門医資格を取りしばらくして開業する医師が多いという現実があります。大学病院の勤務は大変なこともありますが、もう少し若い世代との間をつなぐ中堅の医師を増やして、後進の育成につなげたいですね。 ―宮崎県における皮膚科の地域医療の現状は。  大学自体が人手不足で、地域に常勤医を出せずにいるというのが現状です。その中で、県北の県立延岡病院には、2人の医師を週に2日の非常勤として派遣しています。少しでも患者さんが安心して診察を受けられるように、派遣する医師は固定しています。 県南の県立日南病院へも、週に2日、非常勤で医師を派遣しています。宮崎市内から車で約1時間と比較的近いので、患者さんの紹介もスムーズです。 1977年に医学部に皮膚科が開講し、初代・井上勝平教授のご尽力により、地域との病診連携が非常にうまくいっています。 ─今後の目標、展望は。  まずは人手不足の解消、そして中堅の医師を増やし、県内の主要な地域に常勤を派遣できる体制を整えることです。さらに大学病院として、しっかり診断ができ、患者さんが安心して治療を受けられる医師を多く育てていくことです。 皮膚科は、患者さんを「全人的に診る」ことができる科です。新しい治療法や新薬の開発も進んでおり、これまで治癒が難しいと言われていた皮膚疾患も治せるようになってきています。 若い世代が皮膚科に興味を持ってくれるよう、そして患者さんの皮膚をしっかり診て、話をじっくり聞いて、患者さんに寄り添える医師が育つよう、これからも取り組んでいきます。 宮崎大学医学部感覚運動医学講座 皮膚科学分野宮崎市清武町木原5200☎0985―85―1510(代表)http://www.med.miyazaki-u.ac.jp/home/derma/

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新たなる治療法やメカニズムの解明に挑む

大阪市立大学大学院 医学研究科 皮膚病態学鶴田 大輔 教授(つるた・だいすけ)1992年大阪市立大学医学部卒業。米ノースウェスタン大学細胞分子生物学教室留学、久留米大学などを経て、2013年から現職。大阪市立大学特命副学長、同国際センター所長兼任。  水疱症など難治性皮膚疾患の治療とメカニズム解明などの研究に取り組む大阪市立大学大学院医学研究科皮膚病態学。講座の特徴や教育、最新の治療や研究などについて、鶴田大輔教授に話を聞いた。 ―講座の特徴は。  都心にあり、アクセスも良い大阪市立大学医学部附属病院には、関西に限らずいろいろな地域から患者さんがお見えになります。臨床においては、重症の薬疹、点滴治療を要する全身性皮膚疾患、新型の注射薬の投与を必要とするアレルギー疾患のアトピーやじんましん、手術が必要となる皮膚の悪性腫瘍など、さまざまな疾患に対して治療を行っています。 研究では、私の専門である水疱症の研究の他、菅原弘二准教授は、脱毛症などの治療に役立つ免疫臓器としての毛髪に着目した研究を、小澤俊幸准教授は、皮膚の感染症の治療に効果的な光線力学療法についての研究を進めています。さらに、大阪大学教授だった片山一朗先生を特任教授に迎えて、花王と共同で行っている白斑の研究があり、これらが現在大きな柱となっています。 ―教育について。  日本医学教育評価機構からの評価を受けたことにより、これまでの講義中心から実習中心へ、世界的な教育の動向を見ながらカリキュラムの改編に取り組んでいるところです。特に求められているコミュニケーション能力やプレゼンテーション能力を高める実習を構築しつつあります。 指導には、2年目や3年目の医局員も当たる〝屋根瓦方式〟を導入。次代を担う良き医療人を育成していきます。 また、医局員の半数以上が女性医師です。これからの時代に女性医師の活躍は必要不可欠となるでしょう。出産や育児で休んでも、治療や研究面でカバーできるようにチーム制を取り入れています。 大学病院という特性上、生命を脅かす疾患に当たる悪性腫瘍、水疱症、重症薬疹、感染症などの疾患を多く扱います。さらには、患者数で言えば圧倒的に多い、生活を変調させるアレルギーや脱毛症に対する治療も重要です。それらの疾患を正しく診断し、治療できる皮膚科医を育てることが使命の一つだと思っています。 ―水疱症の治療・研究は。  皮膚は、生体を外界から守る最前線にある臓器と言われており、私が専門としている水疱症は皮膚疾患の中でも命に関わる病気です。 だからこそ患者さんには危険を伴ってでも多量のステロイド剤を服用してもらい、その副作用に対処しながら治療を続けなければなりません。高齢者に多い疾患のため、高血圧や骨粗しょう症など加齢に伴う症状の他、神経疾患との合併症にも注意を払う必要があります。 しかも、ガイドライン通りでは治らない患者さんもいます。時にはステロイド剤の副作用で精神的な変調を来す場合もあります。一概に副作用と思い込まず、合併症や他の病気の可能性も考える必要があります。 飲み薬や注射以外に皮膚科での最も重要な治療として、塗り薬があります。しかしながらこの「塗る」という治療法が患者さんの大きな負担になっていることを私たち皮膚科医は忘れてはいけません。大切なのは患者さんの声に耳を傾け、真摯(しんし)に向き合うことだと思います。 研究の分野では、以前、久留米大学でお世話になっていた橋本隆先生が定年されたことを機に特任教授としてお招きし、留学から帰国する教室員と共に私が長年研究している自己免疫性水疱症の一つ「水疱性類天疱瘡」のメカニズム解明のさらなる発展を目指しています。分かっていないことがいまだに多い疾患です。未知なる部分を解明し、ゆくゆくは病気の発症を抑える治療薬を開発できればと思います。 大阪市立大学大学院 医学研究科皮膚病態学大阪市阿倍野区旭町1―5―7☎06―6645―2121(代表)http://www.med.osaka-cu.ac.jp/Derma/

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医師を育てるのは患者 「一例一学」の精神で

群馬大学大学院医学系研究科 皮膚科学石川 治 教授(いしかわ・おさむ)1979年群馬大学医学部卒業。米サウスカロライナ医科大学リウマチ免疫学教室、群馬大学医学部皮膚科教授などを経て、2003年から現職。  「一例一学」。一人ひとりの患者さんに向き合うことで医師は成長していく。臨床医としていかにあるべきかを若き医師に伝え続けている石川治教授。臨床医に必要なこととは何か、そしてどのような医師を育てていきたいのか、その思いを聞いた。 ―教室の特徴は。  臨床ができる医師を育てています。大学では、重症で診断がつかないような患者さんが来院されます。全身性強皮症や皮膚筋炎などの膠原病、メラノーマなどの皮膚悪性腫瘍といった命に関わる皮膚疾患がある患者さんたちに対応することで、「正しい診断や治療をするにはどうすれば良いのか」という、臨床的な思考を養っていくのです。 医師を育ててくれるのは患者さんです。特に重症の方を担当することは、その後の自分自身の成長につながっていきます。 命を救えなかったことで、命の大切さが分かる。どうしても助けられなかった患者さんに対して、その時の無念さ、悔しさ、力の足りなさを感じながら次へ進んでいくのが臨床医だと思います。臨床の経験から疑問に思ったことは、研究につながっていきます。常に疑問を持つこと、結果には必ず原因があることを伝えるようにしています。 在籍するメンバーは、半数以上が女性です。家庭や育児と両立しながら頑張っている先輩を見て、また後輩たちも医師としてのキャリア形成が見えてきます。良いロールモデルになっているのではないかと思います。 外国人の大学院生も在籍。現在はインドネシアとネパールからの留学生が、非常に熱心に学んでいます。 ―全身性強皮症や皮膚筋炎の研究をされています。  難病である全身性強皮症、皮膚筋炎の発症メカニズムの解明に取り組んでいます。この研究は先々代の教授から続く歴史があります。 皮膚筋炎は、抗MDA5抗体が陽性の場合、高い確率で急速進行性間質性肺炎になりやすく、抗TIF1γ抗体が陽性の場合には悪性腫瘍を合併することが分かっています。 がんでは早期発見が大切です。皮膚筋炎の皮膚症状を知らなければ、単なる湿疹と判断するなど、医師が見落としてしまう可能性もあるのです。命に関わるだけに、臨床医の正しい知識と診断が必要になります。 重症の患者さんに対して、正しい診断をし、あきらめずに治療を行っていくことは、臨床医の役目だと思います。 ─臨床医に対して。  大切なのは「一例一学」。これは私がつくった言葉で、一人ひとりの患者さんから学ばせていただくというものです。 臨床医には瞬間的に患者さんが今どのような状態にあるのかを判断するための「想像力」、そして研究などに生かしていくクリエーションとしての意味の「創造力」が必要です。 患者さんが名前を呼ばれて「はい」と返事をした瞬間から診察は始まっています。そして診察室に入ってくる患者さんの歩き方、あいさつの時の視線など、それらを瞬時に捉えることが大切だと思っています。 今後の課題は、基幹病院で活躍できる30代〜40代の医師の確保です。皮膚科は、専門医の資格取得後、開業をする若手が多いのですが、私は基幹病院でせめて10年以上は経験を積んでほしいと思っています。 「守破離(しゅはり)」という言葉があります。「守」は基本を学ぶことであり、「破」は疑問点に対して自分なりに解決すること、「離」はオリジナルを確立していくことです。「守」の段階でありながら開業するのは、早計ではないでしょうか。 患者さんに対して真摯(しんし)に向き合うためにも、臨床の経験を多く積むプログラムをつくっていくべきだと考えています。 群馬大学大学院 医学系研究科 皮膚科学前橋市昭和町3―39ー15☎027―220―7111(代表)http://dermatol-h.dept.med.gunma-u.ac.jp/

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沖縄特有のがんの解明と治療法のヒントを求めて

琉球大学大学院医学研究科 皮膚科学講座 高橋 健造 教授(たかはし・けんぞう) 1986年京都大学医学部卒業。米ジョンズ・ホプキンス大学留学、京都大学皮膚科講師、琉球大学大学院研究科皮膚科学講座准教授などを経て、2016年から現職。  大小160の島々から成る沖縄県には、日本本土にはほとんど見られない皮膚疾患も存在する。これら疾患の原因は何なのか。日本の最南端における皮膚がん治療に取り組む、琉球大学の高橋健造氏に、最近の沖縄県の状況と課題について話を聞いた。 ―沖縄の皮膚がんの現状は。  日光露光部に発生する有棘細胞がんが多くみられます。同様に、基底細胞がんも多く発生しています。これらのがんは、紫外線が発がん因子の一つとなるので、具体的な統計をとったわけではありませんが、紫外線の強い沖縄での発症率が高いことは間違いないと思います。 カポジ肉腫という宮古島に多く発生しているがんも、沖縄県の一つの特徴です。このがんは、ある種のウイルス感染が基盤となり発症するのですが、宮古島の方は、そのウイルスの感染率が比較的高いため、このような状況になっていることが判明しています。成人T細胞性白血病・リンパ腫(ATL)も多くみられます。このがんもウイルス感染が関係していて、日本の南西部に多い傾向があります。 沖縄における皮膚がんの最大の特徴は、血管肉腫です。このがんは、沖縄県外ではほとんど見られない非常に稀な種類のがんで、紫外線が関係しているかどうかも、いまだにわかっていません。急激に進行していきますので、ヒトの固形がんの中でも最も予後の悪い腫瘍の一つであると思います。男女比は3対1。高齢者の頭部や顔に好発し、平均存命率は2年前後です。 メラノーマ(悪性黒色腫)も発症しますが、日本人の場合、紫外線量とは関係ない手足型が主であると考えられています。沖縄県の発症率は他の地域と比較して差はないでしょう。 ―それらの治療状況は。  有棘細胞がんや基底細胞がんは、従来通り、手術で切除します。進行期の患者さんでも、化学療法、放射線療法を施すことで済むことも多くあります。 宮古島におけるカポジ肉腫は、それほど悪性度が高くありません。特定のウイルス感染の後に長い期間を要すると同時に、感染したからといって必ず発症するとも限りません。病態もだいぶ解明されたので、治療もスムーズにできています。 ATLの原因ウイルスは、遠い昔から存在していると思われるウイルスで、血液感染によってうつります。これまでは減りつつあったのですが、最近では若い人の間に増えてきているようです。早期発見、治療に努めていきたいと思います。 血管肉腫については、発症数が少なく、病態も分かっていない部分が多いので、治療法もまだ確立されていません。いろいろと試行錯誤している段階です。現時点では、放射線療法やタキサン系の化学療法を施すなどしています。今後、少なくとも放射線治療は一つのルーティーンに入るのではないかと思われます。免疫チェックポイント阻害薬が保険適用になれば、早く使っていきたいですね。 メラノーマの治療は、最近どんどん変わってきています。本庶佑先生の発見がもととなった免疫チェックポイント阻害薬を使用することによって何人かに一人は確実に反応があり、進行を抑える効果があります。化学療法と違って、より延命効果が期待できるのです。いずれの治療に関しても、今、一番良いとされる治療法を選択し、それを確実に行う。これが私の治療方針です。 ―今後の課題は。  やはり血管肉腫の病態の解明を急ぎたいと思います。この病気は、頭部から顔面に広く進行し、急速に進行する患者さんが多いのです。 病態が明らかになることで治療法のヒントを見つけることができるかもしれません。今後も、その点を課題として取り組んでいきたいと思っています。 琉球大学大学院医学研究科 皮膚科学講座沖縄県中頭郡西原町上原207☎098―895―3331(代表)http://www.hifuka.med.u-ryukyu.ac.jp/

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三重大学大学院医学系研究科皮膚科学 山中 恵一 教授

慢性の皮膚炎がさまざまな内臓疾患に関係している可能性がある―。2014年、山中恵一教授(当時は准教授)らのグループが発表した研究成果だ。従来の認識は「皮膚疾患の影響は皮膚のみ」。それを見直すきっかけを提供し、臓器不全などの合併予防に新たな視点を示した。

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