周産期医療の安全性を確保 長崎県周産期医療支援システム「すくすく」

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ICT活用で迅速、詳細な情報共有を実現

 限られた医療資源で周産期の"命"を守る―。

 そのための取り組みが、長崎県内で進められている。長崎県周産期医療支援システム「すくすく」。ICTを活用して、産婦人科医療機関同士のスムーズな情報共有を実現。緊急搬送時、母子が高度医療機関に到着する前に過去の妊婦健診などのデータを搬送先に届けることで「助かる命」を増やす狙いだ。

緊急搬送・逆搬送の体制を強化する

 「すくすく」は2014年7月、県や市町村、長崎県産婦人科医会、長崎県医師会などの協力で運用開始。

 参加する産婦人科医療機関では妊婦の初診時、「すくすく」への氏名や住所、連絡先や妊娠・出産歴といった「妊婦基本情報」の登録を打診。同意があれば、妊婦本人がタブレット端末を使い情報を入力する。

 その後、医療機関側は妊婦健診のたびに妊婦の血圧や体重、胎児のBPDやFLなどのデータを登録。検査の記録もその都度入力していく。

 妊娠中のトラブルや早産などで周産期母子医療センターへの紹介が必要となった場合には、「紹介」ボタンをクリックすれば、データが紹介先に送信される仕組み。新生児の状態が安定して、周産期センターからクリニックなどへ「逆搬送」する際にも、すくすくを通じて、それまでの経緯など詳細な情報が伝えられる。

 導入の背景にあったのは、全国的な産科医不足やハイリスク妊産婦・低出生体重児の増加だけではない。

 県内には総合・地域合わせて四つの周産期母子医療センターがあるが、長崎市周辺で生まれた33週未満の新生児を診ることができるのは、総合周産期母子医療センターである長崎医療センター(大村市)だけ。長崎市からオーバーフローした母子が大村市へ緊急搬送されており、迅速な情報共有体制構築が急務だった。

 さらに県内にあるNICUの病床数は、国が目標とする出生1万人当たり25床を下回る24.5床。周産期母子医療センターが満床になり、県外搬送となるのを防ぐため、「逆搬送」を活発化させる必要もあったのだ。

診療所間の共有で「働き方改革」も

 2017年6月現在の参加・参加予定施設は25。当初、診療所と周産期母子センターをつなぐイメージで始まったシステムは、1年半ほど前から診療所同士の情報共有も可能になった。

 県内での里帰り出産の際の紹介が容易になったほか、診療所の産婦人科医が出張などでしばらく不在にする場合、他の診療所で妊婦健診をするなどの対応もしやすくなった。

 「産婦人科開業医の負担軽減につながり、産科医不足に歯止めをかける方法の一つになるかもしれない」と長崎県産婦人科医会の森崎正幸会長は語る。

 参加する施設をさらに増やすため、「電子カルテ情報の共有」や「検査機関からの検査データ連携」など、機能拡張にも力を注いできた。今後、小児科との連携も始まる予定。ワクチン接種情報や乳児健診の記録なども登録・共有できるようになっていく。

 2017年度から大村市では、母子手帳発行時に市の担当職員が「妊婦基本情報」を入力するようになった。

 行政が関わり、妊娠初期から小児期までの情報を共有することで、乳幼児健診の「未受診問題」解決や、未受診と関連が深い虐待の早期発見などにつながるのではと期待されている。

 集まったビッグデータを基にした子どもの病気の予防や早期発見など大きな可能性を秘めた「すくすく」。森崎会長は、「さまざまな機関と連携して母子を継続して診ていくことで、お母さんのメンタルヘルスケアを含めた、子どもの健やかな成長を支えていきたい」と話している。

問い合わせ先=長崎県周産期医療支援システム 協議会事務局(県医師会内)
TEL:095-844-1111
http://nagasaki-jaog.com/sukusuku/


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