高知大学 医学部外科学講座外科1 花﨑 和弘 教授

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研究マインドを持ち奮闘続ける外科医を

【はなざき・かずひろ】1984年新潟大学医学部卒業、信州大学医学部第2外科入局。長野赤十字病院、米ベイラー医科大学外科留学、長野県厚生農業協同組合連合会篠ノ井総合病院などを経て、2006年から現職。2018年から副医学部長兼任。

未知の研究テーマに取り組み、「苦しいときもあった」と語りながら、どこか楽しげだ。年ほど前から研究を続けてきた「人工膵臓(すいぞう)」を用いた周術期の血糖管理が保険収載されるなど、さまざまな挑戦の成果が見えてきている。

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―臨床面でも研究面でも、「活発な教室」という印象です。


 ずっと大切にしてきたのは、研究マインドを持ち、常に考えることができる手術が上手な外科医「アカデミックサージャン」の育成です。

 そのための具体的な目標として三つを掲げています。一つ目は、良好な手術成績。「良好な手術成績は、良好な人間関係から」をモットーに、良い人間関係の構築を基本としています。手術は、チームで行います。いくら高い技術を持った外科医が1人いたとしても、円滑なコミュニケーション、意識の共有などによってチームがまとまっていないと、質の高い医療はできません。

 二つ目は、すべての研究を英語論文にすることです。経験が大事にされてきた医学界ですが、今は科学化の時代。エビデンスを世界中で共有していくことが大切です。優れた研究を、高知から世界に発信したいと思っています。

 三つ目は、医学教育の充実です。特に、学生がこの大学に誇りを持てる「母校愛」を培うことができる教育を目指しています。

 「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」という連合艦隊司令長官、山本五十六の有名な言葉があります。

 私も、手術や研究を継続して「やってみせる」こと、改善点や修正点を指摘するだけでなく「ほめる」ことを意識しています。

―これまでの研究の一つに「人工膵臓」に関するものがありますね。

 2000年に米国ベイラー医科大学に留学した際、外科のチェアマンであったブラニカルディ先生と、「人工臓器の父」と言われた能勢之彦先生の指導の下で始めたものです。

 人工膵臓装置を使った動物実験からスタートし、帰国後もメーカーと共同で研究を続けました。高知大学に赴任した2006年の8月には、侵襲の大きな手術をする際に発生する外科的糖尿病のコントロールのための臨床研究を開始しました。

 周術期には、炎症性サイトカインが上昇し、高血糖状態が出現します。術中から術後の高血糖期間が長くなると、創部感染症の発生率や術後合併症率や死亡率が高くなります。

 私たちは、消化器外科手術の術中から術後、ベッドサイド型人工膵臓を使い、正常値に近い目標血糖域80~110mg/dℓで血糖管理を行うことで、創部感染症の発生頻度を抑制することなどを明らかにしました。人工膵臓活用は入院期間短縮、看護師の負担軽減などにも貢献します。

 長い時間はかかりましたが、2016年に人工膵臓療法として保険適用となりました。私たちの研究の成果を広く国民に還元できたことは、大きな喜びです。

―新たな研究は。

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 漢方薬は、いまだに、与した量のうちどのぐらいが作用部位にたどりつくのか、またどのように分解されて、排出されるのかがわかっていません。

 私たちは、神経症や不眠症などで使われている「抑肝散」、機能性胃腸症や胃食道逆流症などに利用される「六君子湯」などの成分に関する薬物動態試験を実施・検討し、国際ジャーナルに発表しました。すでに、漢方薬は臨床の場で広く使用されています。これまでの東洋医学の概念で漠然としていたことも、西洋医学と同じように科学化していくことを目指しています。

 現在、漢方薬に使う薬用作物の栽培が、県内の越知町で行われています。将来的にはメードイン高知の質の高い漢方を世界に届けたい。われわれのこの研究が地域の発展にもつながればと思っています。

高知大学医学部外科学講座外科1
高知県南国市岡豊町小蓮185-1
TEL:088-866-5811(代表)
http://www.kochi-ms.ac.jp/~fm_srgr1/


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