刻々と変化する役割 きめ細かく寄り添う医療を
1981年金沢医科大学医学部卒業、同循環器内科入局。同大学病院心臓血管センター長などを経て、2017年から現職。同心血管カテーテル治療学教授(講座主任)兼任。
1974年開設。石川県はもとより、北陸エリアの中核病院として実績を重ねてきた。より高度な医療の提供や地域連携のさらなる強化などを目指し、旧本館の解体を経て、2017年7月に「中央棟」がオープン。新たな一歩を踏み出したことも後押しとなって、次の時代を見据えた病院づくりが進む。
―現状をどのように見ていますか。
ここ石川県でも、他の地域と同じように高齢化が進んでいます。高齢化率は28.9%。全国平均を上回っています。
少子高齢社会を迎えたことで、当院が果たさなければならない役割も刻々と変化しています。従来に引き続き、特定機能病院として高度先進医療を提供しつつ、一方では地域密着型の急性期医療や高齢者医療の提供も私たちの大事なミッションとなりました。
当院と金沢大学附属病院、石川県立中央病院(いずれも金沢市)の3病院が石川県の医療の中核を担っています。当院はこの3病院で唯一の民間病院です。公立病院では実施が難しいような、「きめ細かく寄り添える医療」を提供していきたいと考えています。再生医療センターやゲ ノム医療センターなども研究で終わるのではなく、「患者さんへの成果の還元」を第一にして設立したものです。
―「中央棟」の特徴を教えてください。
高齢の患者さんの社会復帰を支援するために、リハビリテーションに力を入れていることです。
38床の回復期リハビリテーション病棟を開設しており、急性期から回復期、そして在宅復帰へのスムーズな流れを構築しています。計69人のセラピストが在籍。各病棟と連携して、術後すぐにリハビリをスタートできる体制を整えています。
リハセンターは、およそ1000平方メートルの広さを確保しています。部屋は全面ガラス張りで、雄大な白山連峰や立山連峰を眺めながらリハビリに取り組むことができます。
また、リハセンターの一画は和室、台所、風呂などを備えた模擬住宅の仕様にしています。自宅に戻って日常生活が円滑に再開できるよう、事前に訓練するためのスペースです。
1階のギャラリーでは市民の方々が手掛けたアートなどを展示しています。名称である「おんぼらーと」は、金沢弁で「のんびり、ゆっくり」を意味する言葉です。患者さんにとって「癒やしのギャラリー」になればと思っています。
―病院長が心がけていることを聞かせてください。
当院に対する患者さんの意見や印象などをできるだけたくさん集めて、よりよい病院づくりに生かしたいと思っています。
院内の各所に投書箱を設置しています。いただいたご意見に関しては、毎週の幹部会議ですべて目を通して共有しています。
また、私自身が職員とコミュニケーションを深めたいと考え、清掃、警備のスタッフを含めてバースデーカードを渡しています。院長に就いてからふと気づいたのは「一人一人と話す時間がもっと必要ではないか」ということ。こうした機会を活用して、できるだけ現場に足を運ぶことを心がけています。
―病院づくりでイメージしていることは。
2015年の北陸新幹線開業で金沢を訪れる外国人旅行者が増加。この状況に対応するため、2018年11月、当院はJIH(ジャパンインターナショナルホスピタルズ)を受審しました。
北陸エリアの医療の質を維持するためのカギは、やはり人材の確保が握っていると思います。
当院の常勤医は約470人。そのうち4分の1を女性が占めています。職種や性別を問わず「誰もが働きやすい職場」の整備は欠かせません。医療者が生き生きと働き、患者さんを迎えられる病院を目指します。
金沢医科大学病院
石川県河北郡内灘町大学1-1
TEL:076-286-3511(代表)
http://www.kanazawa-med.ac.jp/~hospital/