第30回 日本医学会総会 2019中部 名古屋大学 名誉教授 会頭 齋藤 英彦 氏

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医学と医療の深化と広がり~健康長寿社会の実現をめざして~

【さいとう・ひでひこ】
1963年名古屋大学医学部卒業、同内科学第1講座入局。米ケース・ウエスタン・リザーブ大学内科准教授、佐賀医科大学(現:佐賀大学医学部)教授、名古屋大学医学部内科学第1講座教授、国立病院機構名古屋病院(現:名古屋医療センター)院長などを経て、2002年から現職。

 およそ120年続く、4年に1度の「日本医学会総会」。名古屋では1995年以来の開催だ。4月27日(土)、28日(日)、29日(月・祝)の学術集会では、多様な視点から医学・医療を議論。「平成最後の総会」の会頭を務める名古屋大学名誉教授・齋藤英彦氏にポイントを聞いた。

斉藤会頭.jpg

明治35年のスタートから「30回目」の節目

 「日本医学会総会」の目的は、医学や医療の重要な課題について日本医師会とともにディスカッションし、その進歩に貢献することです。1902年に第1回を開き、4年に1度開催。今年、30回目の節目を迎えます。

 名古屋市で開かれるのは、1995年の第24回以来です。当時、私は準備委員長として携わりました。今回、「2019中部」の準備を、時代の変化などをひしひしと感じながら進めてきました。

 過去29回のうち、半分は東京での開催。残りの半分を大阪市、京都市、名古屋市などで開き、学術集会の名前には都市名を冠してきました。前回の総会では、より広いエリアでの連携を促進する意味を込めて「関西」を用いました。今回は「中部」として愛知、岐阜、三重、静岡、石川、福井、富山、長野の8県が主体となった総会です。4月27日から29日にかけての学術集会の来場者は2万人を超える見込みです。

語り合うテーマはローカルからグローバルまで

 さまざまな課題がある中でも、次の二つの点に関して議論を深める必要があると感じています。まず、再生医療や遺伝子医療といった医療技術の急速な進歩に、社会の倫理観などが追い付いていないという懸念があります。

 そして経済的な問題です。日本には国民皆保険という理想的とも言える制度があります。しかし、少子高齢社会において医療費が増大。社会保障制度の維持や持続性について、医療者が社会と共に改めて考える必要があります。

 これらを踏まえて、学術集会は四つのテーマを柱に据えました。1本目は「医学と医療の新展開」です。再生医療やゲノム医療など先進医療の現状や課題について考えます。

 次に「社会とともに生きる医療」。超高齢、人口減少社会ではICTの活用、介護ロボットの導入などが欠かせません。変化していく社会をしっかりと見つめながら、私たち医療者は「健康長寿社会をつくるためには何が必要か」を考えなければなりません。

 3本目は「医療人の教育と生き方」。時代に求められる大学・大学院の教育や、多様化する医師の働き方、多職種連携などのあり方を探ります。

 最後は「グルーバル化する日本の医療」です。年間約3000万人超の外国人が訪日し、特にアジア諸国との関係が密になっています。「日本の医療の国際貢献」について、検討を重ねていくことが大切だと思います。また、世界の国々が医療技術や医療機材の開発を競っています。グローバルな規模での医療産業の展開や、広い視野をもつ人材の育成は急務でしょう。

「医のテーマパーク」も登場市民の参加に期待

 医学会総会は、医学や医療に対する関心を高める絶好の機会だと捉えています。学術集会のほかにも、名古屋大学博物館では「医学の歴史」の特別展(3月2日~4月28日)、ポートメッセなごやでは市民向けの「みて・ふれて・まなぶ医のテーマパーク」をコンセプトにした「健康未来EXPO2019」(3月30日~4月7日)と、医療者向けの製品や技術を紹介する企業展示会(4月26日~4月28日)を開催します。

 「健康未来EXPO2019」では、最先端医療やロボットを体感できたり、医療や介護の仕事を体験できたり、日本と世界のつながりを学べたりと、体験型の展示を中心に、さまざまな仕掛けを用意しています。ぜひ、たくさんの方々にお越しいただきたいと思っています。


学術集会の主なプログラム

日本医学会総会ポスターデータ.jpg

●健康長寿社会を支えるトランスフォーマティブエレクトロニクス(開会講演)
4月27日(土)午前11時30分~午後0時15分

天野浩氏[名古屋大学教授、2014年ノーベル物理学賞受賞]

●がんを免疫力で治す(記念講演)
4月29日(月・祝)午前11時~正午

本庶佑氏[京都大学高等研究院副院長/特別教授、2018年ノーベル生理学・医学賞受賞]

●iPS細胞研究の現状と医療応用に向けた取り組み(閉会講演)
4月29日(月・祝)午後2時30分~同3時15分
山中伸弥氏[京都大学iPS細胞研究所所長/教授、2012年ノーベル生理学・医学賞受賞]



会期(学術集会):4月27日(土)~29日(月・祝)
会場:名古屋国際会議場、名古屋学院大学白鳥学舎、ウインクあいち
事務局:第30回日本医学会総会2019中部
事務局TEL:052-744-2515
学会HP: http://isoukai2019.jp/


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