地域そして職場での連携と協働
1982年熊本大学医学部卒業、同附属病院整形外科入局。国家公務員共済組合連合会熊本中央病院、同整形外科部長、同診療部長を経て、2015年から現職。
3月16日(土)、くまもと県民交流館パレアで「日本医療マネジメント学会・第21回熊本支部学術集会」が開催される。会長を務める平成とうや病院の岡嶋啓一郎院長に、今回の目的や内容、取り組むべき課題などについて話を聞いた。
患者に近い医療職による 患者目線の発表
メインテーマは「地域そして職場での連携と協働」です。医師だけの学会とは異なり、看護師や薬剤師、セラピストなどの発表も多いのが特徴です。また最近では、地域連携部のソーシャルワーカーや在宅、介護スタッフも多く参加しています。
さらに、特徴的なのが病院の経営部門である事務職の方の発表が多くなっていることです。病態というよりも患者と一番近いところで働いている人たちの患者目線、生活目線による発表になっています。
まず基調講演として、厚生労働省健康局の長谷川学先生に「地域包括ケア時代の医療・介護・福祉の姿」と題してお願いしました。長谷川先生は、かつて山口県下関市の保健所の所長として、初期の地域連携に尽力された経験もあり、制度的なことも含めて、今回お話しいただけたらと思っています。
次に、シンポジウムを二つ。最初のテーマは「地域における医療・介護連携~在宅をめざして~」です。いわゆる地域包括ケアシステムを成立させるための取り組みや問題点について、熊本市南区を例に、急性期から回復期、在宅に至るまで、各職種の方にそれぞれ発表していただき、討議します。
実は、熊本市南区の取り組みは全国からも注目されており、特に地域包括支援センター「熊本ささえりあ幸田」の高田佳子センター長は、もっとも先進的なことを実践されている方です。さらに在宅診療において熊本をけん引する「ひまわり在宅クリニック」の後藤慶次院長にも登壇いただきます。
最近、熊本市内では若手の医師が開設する在宅専門のクリニックが急速に増えています。在宅での看取(みと)りをどうするべきか、現場の実情をお話していただきたいと思っています。
2番目のテーマは「現場におけるチーム医療・多職種連携~患者さんのために~」と題して、職種別に問題点や工夫点を発表します。
ドクターは開業医と救命救急医の2人。救急医療は、院内の診療科との連携において課題も多く、改善するために、どんなことをしてきたのか、お話しいただきます。さらに、がん相談支援室の看護師の方や管理栄養士の方には、院内での横断的な連携をどのように行っているかといった発表の後、討議していきます。
ランチョンセミナーはICTを利用した医療の質、安全、最近話題の働き方改革について。さらには熊本県の医師会と熊本大学が推進しているくまもとメディカルネットワークや臓器移植ネットワークの課題や現状などをテーマとして取り上げます。一般演題は150題目を目標に、400人~500人の参加を目指しています。
ひとりの患者のため医療と介護の溝をなくす
私が感じている問題点としては、医療と介護の間には、まだまだ溝があるということです。そこで、2年前から年に2~3回ほど、ドクターからケアマネージャーまでが集まる「熊本市南区有志の多職種研修会」を開催しています。グループワークでは本音を出し合い、前回は110人もの人が集まりました。
また、当院においては、チームカンファレンスを徹底しています。方針は医師が決めますが、お互いのコミュニケーションスキルを上げ、意見を交わす環境を心がけています。
ひとりの患者さんのために何ができるか、そのノウハウやテクニックとして、チーム医療や多職種連携があると思います。この「日本医療マネジメント学会・熊本支部学術集会」を通して、その思いを感じとっていただけたらと思います。
日本医療マネジメント学会・第21回熊本支部学術集会
学術集会の主なプログラム
●地域包括ケア時代の医療・介護・福祉の姿(基調講演)
3月16日(土)午後0時50分~同1時30分
演者:長谷川学氏[厚生労働省健康局予防接種室室長]
司会:岡嶋啓一郎氏[平成とうや病院院長]
●地域における医療・介護連携~在宅をめざして~(シンポジウム)
3月16日(土)午後1時30分~同3時15分
司会:野村一俊氏[朝日野総合病院院長]
山本浩美氏[熊本大学医学部附属病院副院長]
●現場におけるチーム医療・多職種連携~患者さんのために~(シンポジウム)
3月16日(土)午後3時25分~同5時10分
司会:大嶋秀一氏[熊本中央病院副院長]
泉早苗氏[熊本医療センター看護部長]
会期:3月16日(土)
会場:くまもと県民交流館パレア
運営事務局:コンベンションサポート九州
☎096-373-9188
学会HP:http://jhm21kumamoto.umin.jp/