高潔な理念を保ち診療に取り組む
1962年九州大学医学部卒業、同整形外科入局。九州中央病院整形外科部長、諸岡整形外科病院院長などを経て、2001年から現職。
整形外科医として、正確な診断と的確な治療に専心してきた医療法人正明会の諸岡正明理事長。「医者は営利を考えてはならない」との高潔な理念を貫く姿勢に、多くの患者が信頼を寄せる。診療における取り組みと、法人の中核である諸岡整形外科病院の現状について話を聞いた。
―諸岡整形外科病院の特徴や現状を。
整形外科専門の病院ですので、整形外科領域の疾患すべてに対応できるよう努めています。現在常勤の医師が約10人。非常勤医師として九州大学や福岡大学などからも来ていただいて、そのような先生方と密接な連携を保ちながら診療しています。
私は脊椎が専門で、他にも膝や肩、骨軟部腫瘍などの専門医が在籍しています。それぞれが、各々の専門領域の研鑽(さん)に励んでおり、治療においても比較的難易度の高い治療を実施。患者さんに、良質な医療を提供できているのではないかと思います。
最近は、インターネットで当院を知ったという方が遠方から来られる場合もありますね。近畿地方や沖縄などからの患者さんもいましたし、海外から来院した患者さんもいました。当院の医師たちはいろいろな学会で発表をしていますから、そうした場を通じて紹介され、来院されることもあります。
もちろん、さらに高度な医療機関で診てもらったほうがいいと判断することもあります。その際は九州に限らず東京や大阪、京都など、その分野でトップクラスの治療を施せる病院を紹介しています。
―病院運営のための取り組みについては。
これまで、「医師が営利を考えてはならない」との精神を貫いてきました。この思いは、私が医師になったときから持ち続けてきたものです。
そのため、CTやMRI、電子カルテなど、新しい医療機器が開発され、当院での診療に必要だと思ったときには、病院経営のための損得といったことを考えることなく、すぐに導入してきました。実際、MRIは九州でもかなり早期に導入しています。最近は、手術支援ナビゲーションシステムを入れました。
設備の充実は、私の診療の際のモットーである、「正確な診断、より的確な治療」を実践するのに大切な役割を果たしてきました。同時に、医師や患者さんからの安心感、信頼の獲得にもつながってきたのではないでしょうか。
病院経営についてあれこれ考えることよりも、医師としての役割に徹し、より良い医療をすることで、結果的に滞りなく病院運営ができてきたのだと思います。
―高齢化が進む中、患者さんにどう対応していこうとお考えですか。
90歳になっても病気をせず健やかに過ごしている方もたくさんいらっしゃいます。ですから、患者さんにも「歳をとったから病気になるわけではない」と説明しています。
とはいえ、高齢になると骨がすり減ったり、もろくなったりするのも現実で、そこをサポートするのが私たちの果たすべき務め。痛みがあるなら薬を出して、本当に必要なときだけ飲むよう詳しい飲み方を説明しますし、骨がもろくなっているなら骨を強くするためのアドバイスをします。
人間、動けなくなると筋力、心肺機能などさまざまな面で二次的問題を引き起こすことになります。そうしたことを踏まえ、患者さんには痛いからといってじっとしているのではなく、できるだけ動いて普通の生活を送るように勧めます。それが、私の基本的な治療方針です。
整形外科医としておよそ50年。研鑽を積むには、まずは知識を蓄えることが大切だと感じています。それから、いろいろな医療機器を上手に駆使できるようにすることや、あらゆる角度から得た情報を正確に分析する能力を身に付けることも重要です。そのためには、たゆまぬ努力が必要でしょう。
医療法人正明会 諸岡整形外科病院・クリニック
福岡県那珂川市片縄3-81
TEl:092-952-8888(代表)
http://www.morookahp.com/