広島赤十字・原爆病院 古川 善也 院長

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豪雨災害から半年 災害支援のあり方とは

【ふるかわ・よしなり】
1980年広島大学医学部卒業。済生会呉総合病院、広島大学医学部附属病院第一内科を経て、広島赤十字・原爆病院。2016年から現職。

 広島県内の死者は100人超。「平成30年7月豪雨」は中国地方を中心に大きな被害をもたらした。広島赤十字・原爆病院は、発災直後から災害派遣医療チーム(DMAT)、救護班、感染症対策(ICT)チームなどを順次派遣。情報収集や被災者の救出・処置・支援、救援物資の配布などの活動を展開した。

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―2018年に起きた豪雨災害時の活動について。

 何日か前から降り続いていた雨は7月6日、急激に激しさを増しました。6日夜には橋が流されるなど、各地で被害が発生。当院のメンバーが参集し、準備を進めていた同日深夜、広島県からDMATの派遣要請がありました。

 当院のチームが向かったのは、河川の氾らんと、後に砂防ダムの崩壊が原因とわかる大規模な土砂災害が発生した広島県安芸郡坂町。浸水したり、民家が土砂や流木などに埋もれたりした現場で、行方不明者の救助活動や救出された傷病者の応急処置、病院搬送などに従事しました。

 発災直後、がれきに挟まれた人がいた際には、一刻も早い救助と同時に、「クラッシュ症候群」を防ぐため、救出前からの応急対応として点滴の必要があります。今回も、現場での緊急かつ難しい判断が必要とされる場面がいくつもあったと聞いています。

―広島赤十字・原爆病院の支援体制は。

 当院のDMATは医師3人、看護師4人、業務調整員5人の計12人。医師は基本、外傷に強い外科系です。超急性期は、彼らDMATが出動し、ある程度、状況が落ち着いたら救護班を派遣します。

 当院の救護班は7月8日〜8月3日まで、3班に分かれて数日ずつ、現地に入りました。最初の班は、陸路が寸断されていたため、漁船で現地入り。約200人の被災者が避難していた小屋浦小学校に臨時救護所を開設し、診療に当たりました。

 われわれの災害における救護活動期は、超急性期から慢性期へ移行するまでの1カ月程度と位置付けています。赤十字のマークを背負って現地に赴くと、被災者の方が、安堵した表情になってくださる瞬間がわかる。それは喜びであり、同時に気も引き締まります。今後も、災害時の活動を柱の一つとして、やりがいを持って取り組んでいきます。

―感じている「被災地で求められること」は。

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 災害時の活動では、救護・支援活動に目が向きがちですが、同時に必要なのが情報収集力です。

 現地に入り、何が起きているのか、どこに、どんな人やどんな物が必要なのか把握すること。その情報が集約されてその後の活動が決まりますし、情報は後続のチームにも引き継がれていくのです。

 人員派遣や物資搬送の指示を出すのが「コーディネートチーム」です。広島県や広島市といった行政、日本赤十字社広島県支部などにそれぞれ設置された対策本部相互の密な連携が大切だということも、改めて感じました。

 同時に、外部からの支援部隊の「引き際」の見極めの大切さも実感しました。

 今回、当院からも感染症対策チームを呉市や安芸郡坂町の避難所などに送りました。しかし、すでに地元の保健所の職員や保健師が、しっかりと感染管理をしていました。必要なサポートをし、それを終えたら、地元の自治体や医療機関に情報をつなぎ、しっかりと引き継ぐ。救護や支援は、足りなくても、やりすぎてもいけないのです。

 今回の豪雨災害に関して、日本赤十字社広島県支部は義援金を受け付けました。これまでに多くの法人・団体や個人のみなさんから、温かい支援をいただきました。心から感謝しています。お寄せいただいた義援金は全額、広島県内の被災地にお届けします。

広島赤十字・原爆病院
広島市中区千田町1-9-6
TEL:082-241-3111(代表)
http://www.hiroshima-med.jrc.or.jp/


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