大分大学医学部附属臨床医工学センター 穴井 博文 教授

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医工連携・産学官連携で、医療発展と地域活性化を

【あない・ひろふみ】
1986年大分医科大学医学部(現:大分大学医学部)卒業、同第二外科医員。国立循環器病センター研究所人工臓器部、米テキサス州心臓研究所、大分大学医学部心臓血管外科診療准教授などを経て、2015年から現職。

 医療機器産業はわが国の経済成長の柱の一つとして位置づけられている。大分大学では東九州メディカルバレー構想事業に参画し、医工連携・産学官連携による医療機器開発支援を推進している。

―大分大学医学部附属臨床医工学センターの活動内容と役割は。

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 2010年、大分県と宮崎県の産学官が共同して「東九州地域医療産業拠点構想(東九州メディカルバレー構想)」が策定されました。この構想を推進する事業の一環として本学医学部に「臨床医工学講座」が開設され、それを引き継ぐ形で2015年に当センターが設置されました。

 主な活動内容としては、医療機器の研究開発、企業研究者を対象とした教育支援、高度医療人材の育成、東南アジアをはじめとする海外支援事業があります。

 医療機器の研究開発から実用化に至るまでには、数多くのステップがあります。まず、医療・福祉現場のニーズと企業が持つ技術シーズのマッチングに始まり、基礎研究、プロトタイプの試作、非臨床・臨床試験、製造承認といったプロセスを経て、はじめて製品として実用化されます。これらの各ステップに応じて、シームレスな支援を行うのが当センターの役割です。

 私自身、心臓血管外科医として1990年代から人工心臓の研究開発に携わり、1994年から2年間、米国テキサス州心臓研究所に留学して、当時最先端の人工心臓の研究開発を学びました。

 帰国後はジェイ・エム・エス社との共同研究によって人工心肺装置のポンプを開発し、実用化。これらの経験を生かし、医工連携・産学官連携による医療機器開発をサポートしていきたいと考えています。

―大分大学医学部ならではの取り組みはありますか。

 当センターの支援体制には、大きく二つの特色があります。

 一つ目は、医療・福祉現場のニーズと企業・大学のシーズを結ぶ情報交換を行うウェブサイト「CENSNET(センスネット)」の運用です。それぞれのニーズやシーズを投稿、閲覧することでマッチングを効率化し、医療、工学それぞれの専門家によるアドバイスによって優れた医療機器の研究開発につなげていきます。

 また、医療の現場を一般の方に理解していただくため、Eラーニングシステムによって医療倫理、感染防御、知的財産管理の基礎知識を学ぶこともできます。

 二つ目は、「ひらめきやアイデアをすぐにカタチに」するための「ものづくり工房」を、附属病院内に設置していることです。学内外を問わず、誰でも自由に利用できる工房に、高精細3Dプリンターやスキャナーなどの周辺機器や各種ソフトを取りそろえ、工房内での設計、データ処理も可能です。

 試作品をその場で手に取って医療従事者と企業の方々が直接ディスカッションできるスペースも用意しており、今後は旋盤やフライス盤、工具類を備えた「何でも作れる工房」を目指して充実させていきます。

―現状の課題と、今後の展望について。

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 一番の課題は、産学連携における医療従事者と企業技術者の目的意識の違いです。医療従事者は産学連携への意識が低く、企業技術者は最終的に商品化するための結果が求められています。お互いが専門分野の知識や技術を提供し合うだけでは、十分な成果につながらないのが現状です。

 今後は、企業や大学などの垣根を越えて、積極的に異業種の世界へ飛び込み、そこで専門的知識・技術を学び、習得した人材が不可欠です。医学知識を持った工学研究者、工学的知識を持った医療従事者、医学と工学の知識を持った企業研究者といった「融合人材」の育成が重要であり、当センターが、その中心的役割を果たしていきたいと考えています。

大分大学医学部附属臨床医工学センター
大分県由布市挾間町医大ケ丘1-1
TEL:097-549-4411(代表)
https://www.med.oita-u.ac.jp/ikogaku/


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