進む移転・新築計画中核病院としての存在感を
1985年久留米大学医学部卒業、同整形外科入局。八女公立病院(現:公立八女総合病院)、南部中央病院、熊本セントラル病院副院長などを経て、2017年から現職。
熊本市の東に位置する大津町と隣の菊陽町は、熊本市のベッドタウンとして人口が増え続けている。2020年夏、移転を予定している熊本セントラル病院。活気あふれるこの地域で、どんな新病院像を描いているのか。
―病院の移転・新築事業がスタートしました。新しい病院の概要などを聞かせてください。
予定地は、ここから少し離れたところ。現病院がある大津町の隣にある菊陽町になります。敷地はおよそ2万㎡です。
現在の病院は築35年でかなり老朽化しています。増設を繰り返し、入り組んだ院内は〝迷路〞のよう。患者さんやご家族、お見舞いの方々に大変不自由をおかけしましたし、職員にも不便を強いてきました。
数年前から建て直しの計画がありました。予定では東京五輪の後ぐらいを考えていましたが、2016年の熊本地震で当院も被災。これを受け、計画を前倒しして移転・新築の準備を進めたわけです。
心配したのは地盤は大丈夫か、耐震工事をどうするかといったことでした。幸い地盤は強固だったので杭をしっかり打ち込むことで耐震性を担保できることが分かりました。
2020年7月ごろの完成を予定していますが、梅雨と重なりますので、若干遅れるかもしれません。
―新病院の概要を。
これまでの許可病床数は308床でしたが、地震後は259床で運営してきました。新病院では246床にベッド数を減らします。急性期の患者さんを受け入れる病床が96床、地域包括ケア病床が150床です。
基本は在院日数を短くし回転数を上げることで病床の有効活用を図ろうと思っています。現在の入院患者数は1日平均220人ほどで、ほぼ満床状態です。
従来より個室を増やすことも新病院の特徴の一つです。最近の患者さんは、入院時、個室を希望される方が多いのです。現在の病院は個室が1割しかありませんので、希望に応じることがなかなかできません。新病院では、病室の3分の1を個室にしたいと考えています。
近年、認知症がある患者さんが身体疾患で入院されるケースが増えています。他の患者さんと別室のほうがよかったり、目を離せなかったりする状況もありますので、個室はナースステーションの近くに配置しました。
この病院は、菊陽地区、大津地区、菊池地区、阿蘇地区の基幹病院としての役割を担っています。この地区には超高度急性期病院がなく、当院がそれを補う形です。二次救急も担います。
近年、整形外科、外科、脳外科、血管外科などの手術を必要とする患者さんが増え続けています。そこで、これまで3室だった手術室を4室にします。これまでは3室で年間1500例の手術を実施してきましたが、このままでは対応しきれません。4室に増やし、2000例の手術が可能な態勢にします。
ドクターの確保、看護師の確保など課題は多いのですが、定年退職後の非常勤医を迎えたり、子育てのために離職した看護師が復帰しやすいように院内保育所を開設したりと、努力を重ねてきました。医師事務作業補助者も医師4人につき1人を配置。医師が医師業務に専念できるようになったため、時間外勤務の負担も軽減できています。
―新病院の一日も早い完成が待たれますね。
約480人の職員が働きやすい環境の整備にも配慮し、更衣室はシャワー付きですし、空調も湿度を40%に保つようにしています。セキュリティーも厳重にするなど、患者さんに安心して治療に専念していただける病院を目指しています。
責任は重大ですが、その分、楽しみも大きい。職員とともに、準備を進めていきたいと思います。
社会医療法人潤心会熊本セントラル病院
熊本県菊池郡大津町室955
TEL:096-293-0555(代表)
http://www.kchosp.or.jp/