浜松医科大学医学部附属病院 病院長 金山 尚裕

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 新年明けましておめでとうございます。

 浜松医科大学医学部附属病院は開院以来患者第一主義をモットーとしています。安心・安全な医療、社会・地域医療への貢献、良質な医療人の育成、高度な医療の追求、健全な病院運営の確立を目指しております。医療安全はその中でも根幹を支えるものです。私は毎週1時間程度、医療安全室のメンバーとインシデントを解析しています。多職種による事例解析からさまざまな医療安全の対策が生まれ、私にとってやりがいのある時間です。事例を深く掘り下げると、現場のさまざまな問題が浮かび上がり、解決策を構築できます。それを現場にフィードバックし、その後検証します。医療安全は特にPDCAサイクルが重要です。当院では関係者の努力により着実に医療安全文化が職員に浸透していると感じています。

 手術件数、放射線・化学療法の症例数並びに分娩数が増加しています。これらに対応するため、2021年度に5階建ての機能強化棟を新築しますが、今年度から関連の工事が始まります。機能強化棟の完成の暁には県内医療の拠点としての役割をさらに果たしていく所存です。

 2019年度の浜松医科大学専攻医プログラムの応募者が1次募集の段階で100人となり過去最高になりました。また初期研修のマッチングも36人でマッチ率は83%で過去最高でした。各診療科そして卒後教育センターのスタッフの努力のたまものです。当院には職員が一丸となって若手医療人を育成しようという熱意があります。今年は過去最高数の若手医師が当院で研修することになり外来、病棟が今まで以上に活気づくはずです。若い力を大きく羽ばたく起爆剤にしたいと思います。

 働き方改革は当院においても喫緊の課題です。タスクシフトとタスクデリートを本格的に進めているところです。具体的には医師事務補佐員、看護助手、特定看護師、認定看護師の増員、時間内のIC、会議時間短縮、勤務時間インターバル確保などです。言うは易し行うは難しですが、着実に実行していく覚悟です。2019年度に県内初の看護師特定行為研修センターが当院に新設されます。県内、県外からも多くの入校を期待しています。

 最後に産婦人科医の立場から少子化対策について私見を述べます。日本社会の根幹の課題は少子化です。自治体の財政難、年金の減少、増え続ける医療費、外国人・高齢者雇用促進、女性の社会進出支援、晩婚化、大学においては大学統合、産婦人科・小児科医師不足、医療ツーリズム推進等すべての原因は少子化にあると言っても過言ではありません。そのような中で2018年12月成育基本法が成立いたしました。その条文の中で「医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師その他の医療関係者は、国及び地方公共団体が講ずる成育医療等の提供に関する施策に協力し、成育過程にある者の心身の健やかな成育並びに妊産婦の健康の保持及び増進に寄与するよう努めるとともに、成育医療等を必要とする者の置かれている状況を深く認識し、良質かつ適切な成育医療等を提供するよう努めなければならないこと」とあり、病院の責務として今以上に妊婦や子どもに良質な医療を提供することが必須となりました。そこで病院で取り組める少子化対策について私見ですが以下に列挙します。

1. 多くの研修医、看護師等の職員が産科、小児科をローテーションする。成育医療は医療人に十分理解されているとは言えません。以前、学生に新生児を15分間抱っこさせることを産婦人科実習で行いました。それだけで感激し入局につながった医師もいました。多くの職員に周産期の現場を見てもらうことはお勧めです。

2. 乳幼児、学童、思春期の子どもの健康について病院で学ぶ機会を増やす。

3. 生殖(性教育も含む)についての正しい知識をもつ職員を増やす。

4. 男女共同参画室を設置する。

5. 病院が地域の育児支援団体(NPO等)と連携を密にする。

6. 保育室の24時間オープン、病児病後児保育室を開設する。

7. 周産期リエゾンを各病院に1人以上養成する。

 子どもは社会の宝です。病院全体でこの意識を高めることが肝要です。2019年5月から天皇陛下の退位と皇太子さまの即位で新元号が施行されます。歴史の節目になります。新しい時代の幕開けに立ち会うことに身を引き締め、新しい時代の大学病院の使命を確実に果たしていく所存です。


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