国立研究開発法人国立がん研究センター 荒井 保明 理事長特任補佐

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治療実績10年で10倍増 IVRとはいかに...

【あらい・やすあき】
1979年東京慈恵会医科大学医学部卒業、1990年医学博士(名古屋市立大学)。愛知県がんセンター放射線診断部部長、国立がん研究センター中央病院放射線診断科長、同IVRセンター長、中央病院長などを経て、2017年から現職。

 画像下治療と呼ばれている「IVR」。がん領域における治療や緩和に欠かせない技術として注目を集めている。国立がん研究センター中央病院は、ここ10数年でIVRの件数が10倍ほどに増加。前病院長で、現在は国立がん研究センター理事長特任補佐を務める荒井保明氏は、国内のIVR医のトップランナーだ。

―まずIVRの現状を。

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 患部を診るためのレントゲンやCT、超音波などの画像診断装置を利用し、カテーテルや針を用いて行う治療がIVRで、傷も小さく、治療時間、入院期間ともに短いのが特性です。

 統一した名称がないということで5年ほど前に「画像下治療」としました。IVRは20年ほど前から専門の医療関係者に浸透していきましたが、今の医学部学生でIVRを知っているのはごくわずか。医師の中にも分からない人が多くいると思います。

 私が2004年に国立がん研究センター中央病院に赴任した当時、IVR件数は600件前後でしたが2017年実績で5854件と毎年確実に増えています。IVRは、有用性が分かれば広まっていく技術です。

 代表的なのが肝臓がんに対する「ラジオ波焼灼療法」や腎臓がんに対する「凍結療法」です。画像で位置を確認しながら、皮膚の表面から特殊な針を刺し、ラジオ波と呼ばれる電磁波でがん病巣を直接焼いてしまうのがラジオ波焼灼療法。凍結療法は逆に、高圧のガスでがん病巣を凍らせて死滅させるものです。

 肝臓がんの治療は病巣を手術で切り取るのが基本です。ただ、ラジオ波焼灼療法を適切に行うことのできる状態の肝臓がんの場合、体を切らない、局所麻酔で可能、治療時間も1時間程度と体の負担が少なく、針を抜いた後も縫わなくてよく、入院期間も数日程度で、手術と同様の治療成績が得られます。

 動注化学療法や動脈塞栓術も、肝臓にできたがんに高い効果を示しています。

―がんによる痛みの緩和にも力を発揮されていますね。

 がんの患者さんを悩ます症状の一つが「痛み」です。骨に転移した場合、鎮痛剤を使っても痛みを完全になくすのは難しく、特に体を動かした時の痛みはなかなか軽減できずにいるのが現状です。

 IVRでは、画像で痛みのある骨の位置を確認しながら、骨セメントと呼ばれる樹脂を注入して強度を高めることで痛みの原因を取り除きます。治療の翌日に効果が出ることも少なくありません。仮に痛みが完全に取り除けない場合でも、必要な鎮痛剤が少なくなることで副作用や医療費という面でも、良い結果につながります。

 このほか、がん性腹水を減らす方法や、経鼻栄養が必要な患者さんの首の付け根から食道に直接チューブを入れる治療などにもIVRの技術が生かされており、がんの患者さんのQOL向上に貢献しています。

―エビデンス作成にも注力しています。

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 今は科学的根拠に基づいた医療、EBMが基本です。内科、外科の先生が困ったなと思った時にIVRを使った方がいいか判断してもらうには、論文やガイドラインなど信頼できるデータがあることが肝要です。そのために2002年度に厚生労働省から「がん治療におけるIVRの適応と手技の標準化に関する研究」のがん研究助成金を受け、この班を母体に臨床試験組織JIVROSGを立ち上げました。これまで30ほどの臨床試験を実施し、そろそろガイドラインに入ってくる見込みです。

 当院では2014年にIVRセンターを立ち上げました。当院以外の患者さんも受け入れ、数日から1週間程度の入院でIVRを施し、お返ししています。専門とする医師を増やすこと、患者さんからのIVRの認知度を上げること。この二つを当面の目標に、取り組んでいきたいですね。

国立研究開発法人国立がん研究センター
東京都中央区築地5-1-1
TEL:03-3542-2511(代表)
https://www.ncc.go.jp/


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