島根大学医学部放射線医学講座 北垣 一 教授

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これまでもこれからも進化し続ける領域を追う

【きたがき・はじめ】
1984年神戸大学医学部卒業、同放射線科入局。兵庫県立高齢者脳機能研究センター画像研究科研究員、同画像研究科長などを経て、1999年島根医科大学放射線科教授。大学名変更に伴い2003年から現職。

 著しい進歩を遂げる画像診断を専門に研究する島根大学の北垣一教授。山陰における専門医の現状や2020年に開催予定で会長として臨む日本神経放射線学会に向けての意気込みなどを聞いた。

―医局の現状と地域の特徴を。

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 画像診断研究をしながらIVR、CT検査、MRI検査などさまざまな診療内容を手がけています。15人程度のメンバー構成ですので、個人個人独立するのではなく、常に協力し合ってより良い診療、教育、研究をしようと心がけています。

 毎週火曜は全員でカンファレンスを行い、研修医や5、6年生を交えて頻繁に食事会を開くなどコミュニケーションの機会を大事にしています。

 日本医学放射線学会の調べでは、放射線科医と人口の比率で言うと島根県はちょうど中間辺りに位置します。ところが高齢者の率が高く、東西に広いという地理的特性もあり、一人当たりがカバーする領域が非常に広範という、この地域ならではの特異性があると感じます。決して人口だけの問題ではないのです。

 近隣に放射線科医が少ないため、「IVRしかできません」だとか「私は頭部しかやりません」といったことはこちらでは通用しません。他の地域とは違った環境にあると感じますが、それを乗り越えてすべての領域ができる若い人を育成しなければと思っています。

―画像診断の現状は。

 画像診断は20世紀の医療で最も進歩したと言われています。1970年辺りから登場したCTは私が若い頃、1枚撮るのに10秒かかりましたが、それでも随分早くなったと言われていました。ところが現在は0.5秒のうちに320枚を撮影。ブレもありません。

 MRIについては30年前には実用化されたばかりでしたが、今では一般的です。早期のすい臓がんや肝臓がんなど、昔なら到底わからなかったものがわかるようになりました。

 医療に伴う苦痛からの解放を実現したことも放射線診療がここまで普及した大きな理由です。そして、この進歩はこれからも続いていきます。かつては「がん」と一くくりにされていたものが今では細分化されつつあります。特に肺がんで異常遺伝子が関わっていることが明らかになり、分子標的治療薬も開発されています。

 個別のテーラーメイドな治療というものが登場し始めているのが現在と言えます。遺伝子レベルのため目には見えないとしても、画像に現れる変化をキャッチしなければなりません。今後は画像とAIを両方使いこなすことも求められていくのではないでしょうか。

―今後の展望を。

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 2020年3月、島根県の松江で第49回日本神経放射線学会が開かれます。CTやMRIなど新技術が世に出てくると、多くの場合、脳の分野で導入が試みられます。先んじて研究を進めてきた方々に新しい知識をお伝えし、研究のきっかけとなるような会にしたいと思っています。

 今、学会では「ラジオゲノミクス」が脚光を浴びています。大量の画像データを系統的に扱う概念のラジオミクスに、遺伝子情報を重ね合わせた、まさに最先端の研究分野です。

 この分野が確立すれば、生検をしなくても画像の所見だけで病気の診断が可能となるなど、究極的なAI社会への橋渡しとして注目を集めているのです。私もどこまで結実するのかわかりませんが、この黎明期の研究に関わって推進していきたいと考えています。

 学生教育に関しては、まず放射線医学に興味を持ってもらいたい、知ってもらいたいというところがスタート地点です。患者さんの命運を握る非常に重要でやりがいのある仕事であることを後進に伝えていきたいですね。

島根大学医学部放射線医学講座
島根県出雲市塩冶町89-1
TEL:0853-23-2111(代表)
https://www.med.shimane-u.ac. jp/radiology/


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