尾道市立総合医療センター 公立みつぎ総合病院 沖田 光昭 院長

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誰が担い手であっても続いていくシステムを

【おきた・みつあき】
1981年広島大学医学部卒業、同第1外科入局。1996年同大学院修了(医学博士)。公立みつぎ総合病院保健福祉総合施設副施設長、副院長などを経て、2018年から現職。

 「発祥の地」に学ぼうと国内外から視察が絶えない。公立みつぎ総合病院の山口昇名誉院長が35年ほど前に提唱した「地域包括ケアシステム」。構築を目指すものの手探りの状態から抜け出せない地域も多い。沖田光昭院長の言葉から、実現のヒントを探る。

―現状について。

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 各地で地域包括ケアシステムの構築が進められています。しかし、具体的にそれが何を指すのか、いまだ解釈はさまざまです。

 一般的にイメージされる医療と介護の連携や多職種によるカンファレンスなどは、あくまで地域包括ケアシステムの一部をなすものです。全体像ではないと私たちは考えます。

 当院の地域包括ケアシステムは、治療や介護などを必要とする特定の人だけを対象としているのではありません。健康な人、乳幼児や妊産婦、障害のある方。全世代のあらゆる人に必要な保健・医療・介護・福祉を在宅、医療施設、介護関連施設で提供し「生活全体」を支えていくことです。

 1974年、当院では山口昇医師(現:名誉院長)が現在の訪問診療・看護に当たる「出前医療」を開始。不適切な介護やリハビリの中断などを要因とする「つくられた寝たきり」の予防プロジェクトとして「寝たきりゼロ作戦」がスタートしました。

 1984年、サービスの一元化を目指して御調町の保健・福祉部門を当院に統合。院内に国保健康管理センター(現:御調保健福祉センター)を開設しました。

 以降、在宅支援を強化する目的もあり、介護老人保健施設、特別養護老人ホーム、グループホームなどハード面の整備を推進。19床の有床診療所を含む介護関連施設群である「保健福祉総合施設」として運用しています。

―取り組みのカギは。

 一人一人のQOLを高めるために何ができるか。その共通の意識のもと、どれだけ各専門職が考え、協働できるかだと思います。

 現在も根強く残っているのが、医療は医療、介護は介護といった、縦割りで自分を中心に置いた「天動説」の考え方です。

 地域包括ケアシステムに必要なのは、中心にいる地域住民を支えるために、チームの一員としてどんな関わり方ができるか。そんな「地動説」の連携です。地域のみなさんが必要としていること、困っていることは一人一人異なるのですから。

 「目の前の一人の問題を解決する」ためのミクロの視点。地域が直面している問題を解決するためには、どのような社会資源の整備が必要かといったマクロの視点。その往復作業が重要です。ときには視野を広げて、他の地域との協力が効果的なこともあるでしょう。

 しばしば「御調町のようにうまくいくはずがない」と言われることがあります。気をつけなければならないのは「地域包括ケアシステムをつくる」のが目的化してしまうことです。

 地域のニーズに応え、課題を解消する上で必要なハードや仕組みをそろえる。それらを状況に合わせていつでもつなげ、活用することができる。そのための「手段」が地域包括ケアシステムの構築です。

―成果をどう評価しますか。

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 「寝たきりゼロ作戦」が始まってからおよそ10年後に、御調町の寝たきりの高齢者は3分の1に減少しました。また、保健による予防や軽症化を図ることで広島県の平均よりも高かった医療費は平均以下を維持するようになり、さらなる削減へと転じています。

 今後、「町づくり」の視点をもつ若い医療者の育成がますます大切です。また、地域内で支え合う意識を高め、けん引する「住民のリーダー」が必須であると考えています。

 誰が担い手になっても御調町の地域包括ケアシステムが継続する。そのための土台づくりが重要です。

尾道市立総合医療センター公立みつぎ総合病院
広島県尾道市御調町市124
TEL:0848-76-1111(代表)
http://www.mitsugibyouin.com/


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