独立行政法人国立病院機構福岡病院 小児科 本村 知華子 医長

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喘息の子どもに運動できる喜びを

【もとむら・ちかこ】
1990年九州大学医学部卒業、同小児科入局。福岡市立こども病院、北九州市立若松病院などを経て、1994年から国立療養所南福岡病院(現:国立病院機構福岡病院)小児科。2011年から現職。

 全国でもまれな小児呼吸器疾患専門科として、独立した治療研究を行う福岡病院小児科。その先頭に立ち、アレルギー・喘息(ぜんそく)の治療に当たる本村知華子医長に、小児喘息の現状と展望を聞いた。

―小児喘息の現状、運動の重要性について。

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 吸入ステロイド剤を乳児期から、生物学的製剤を小学生から使えるようになったことで近年、重症患者の数は減少傾向です。当院でも10年前には約30人いた長期入院児が、今では数人と激減しました。とはいえ外来患者は多くいらっしゃいます。

 10年ほど前には、福岡大学スポーツ科学部と共同で運動と喘息との関連について研究。週に90分以上の有酸素運動をすると、心肺機能を高め、運動誘発喘息の発症を減らすという結果が出ています。

 別の実験でも、運動後に採血してアドレナリンの分泌量を調べたところ、量が増えることがわかりました。気管支を広げる薬はβ刺激薬、つまりアドレナリンと共通のものですから、運動習慣をつけることで気管支が広がり、呼吸しやすくなる。こうした研究から運動は喘息治療に効果があるという結論に至りました。

 また運動習慣のない人が肥満を合併すると喘息の起こる頻度が高いということもわかっており、運動習慣をつけ、痩身を図ることが喘息予防に効果があると言われています。

 現在は、薬で運動誘発喘息を抑える治療をしっかり行った上で、積極的に運動していきましょうというのが、メインの治療方針です。

―運動の中でも効果的なものは。

 運動誘発喘息のきっかけは気道の冷却と水分の喪失とされ、湿気の多い場所での運動が喘息を制御できると考えられています。

 当院は、那珂川市の室内温水プールで、週に一度、3歳から小学生を対象に水泳教室を開いており、現在30〜40人が通っています。 特徴は医師と看護師が現場に立ち会うこと。開始前にピークフローをチェックし、一人ひとりの状態を確認。聴診とスパイロメトリーで記録を取ります。様子を逐一確認し、調子が悪ければ診察しながら続行可否を判断します。

 通常、体調が悪ければ運動はしない、という判断になりがちです。しかし運動習慣がなくなれば、喘息が悪化するという悪循環を生む。安心して運動してほしいと、このような形をとりました。ただ大切なのは本人の意思と主体性。それを尊重し、水泳にこだわらず好きな運動をしようと言っています。

 毎年開催している、アレルギー疾患の小学生を対象とした3泊4日のサマーキャンプも、主体性を養う一環で行っているものです。子ども自身に改めて治療を理解してもらい、やる気を喚起する。仲間と共に喘息について話し合ったり、吸入方法を改めて指導したりするだけでなく、本人の良い部分を引き出して褒めることで、治療にも前向きになれるよう意識しています。

―ハード面の強みは。

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 当院は、他では珍しい運動誘発喘息の検査をしています。喘息が疑われるお子さんには、エルゴメーターやトレッドミルで運動負荷試験を行い、肺機能の検査が可能です。治療中にも検査をしてその結果をフィードバック。モチベーション向上に役立てています。

 喘息の潜在患者は多く、部活動でスポーツをしていて、どうにも苦しいからと検査を受け、疾患が発覚したケースもありました。

 喘息は適切に治療することで、症状を抑えることのできる疾患です。疑いを持ったら諦めずに、まずは検査してほしい。子どもたちにとって運動ができることは、QOLにも大きく関わる大切なことです。それぞれの症状に合わせて適切に治療し、積極的に運動に取り組めるよう、私たちは全力でサポートしていきます。

独立行政法人国立病院機構 福岡病院 小児科
福岡市南区屋形原4-39-1
TEL:092-565-5534(代表)
https://fukuoka.hosp.go.jp/ medical/pediatrics/


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