大分大学医学部 腫瘍・血液内科学講座 廣中 秀一 准教授

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免疫療法、ゲノム医療... 時代に欠かせぬ腫瘍内科医

【ひろなか・しゅういち】
1985年旭川医科大学医学部卒業、同内科学第二講座入局。国立がんセンター東病院、静岡県立静岡がんセンター、千葉県がんセンターなどを経て、2018年から現職。

 集学的治療や個別化医療が進むがん治療において、腫瘍内科医の活躍がますます期待されている。腫瘍内科医の果たすべき役割、そして今後の課題について、大分大学の廣中秀一准教授に話を聞いた。

―大分大学における腫瘍内科の役割とは。

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 がんの治療は手術、放射線、化学療法そして最近注目の免疫療法があり、どのように組み合わせて治療効果を高めていくかが課題になっています。薬物を使う場合、似たような薬が多く、副作用も必ずあるので、安全な投与のためには専門的な知識が欠かせません。そのために必要となるのが、私たち腫瘍内科医です。アメリカでは歴史があるのですが、日本ではようやくここ10年で知られるようになってきました。

 大分大学では固形がんのうち胃がんや大腸がんなどの消化器がん、肺がん、原発不明がん、肉腫など幅広いがん種に積極的に取り組んでいます。腫瘍内科は独立した科として存在しており、手術を終えた患者さんを引き継ぐという形で、院内ではしっかりと役割分担ができています。

 実は、肺がんと消化器がんの両方を診ている腫瘍内科というのは全国的にも珍しく、大分大学では外科医や内科医、放射線科医、病理医が集まり、定期的なカンファレンスの中で、それぞれの立場で知恵を出し合いながら、治療に当たっています。

―求められるスキルとは。

 腫瘍内科医の重要な仕事として、患者さんへの病状や治療の説明があります。化学療法を受ける患者さんは、再発あるいは手術ができない難しい状況の方がほとんど。患者さんにとって悪いニュースも伝えなければならず、それにはやはり専門である腫瘍内科医が一人ひとりにじっくり向き合いながら、説明していく時間が必要になります。

 特別な能力が必要というわけではありませんが、腫瘍内科医は多様な患者さんに関わります。若くてがんになった方は特に難しいのですが、どう話すべきか、どこまで伝えるべきなのか、コミュニケーションスキルはかなり必要になってくると思います。

 また、今後は臓器横断的に免疫療法が広く行われるでしょうし、ゲノム医療を発展させることも腫瘍内科医の重要な役割ですので、最新の知識を学び、より良いがん医療を行うという熱意も重要だと考えています。

―課題を。

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 腫瘍内科医が不足していることです。高齢化に伴いがんの患者さんは増えているのに、腫瘍内科医の数は増えておらず、学生教育を含めて喫緊に取り組んでいくべきだと感じています。

 腫瘍内科医は、年齢を重ねても続けられるメリットがあります。女性医師にも向いていますし、さらにこれからのゲノム医療の時代を迎えるに当たり、活躍できる場はもっと増えてくることでしょう。

 がんの治療は免疫チェックポイント阻害薬の登場で大きく変わってきています。胃がんや非小細胞肺がんなどに加えて、これまで新薬がなかなか出なかった食道がんへの承認も期待されています。

 手術はもちろん必要ですが、これらの新薬によって治療成績がより良く、また患者さんの心身の負担が軽くなるのであればこれ以上のことはありません。大分大学でも新薬の承認を目指した治験や、通常の臨床試験は積極的に取り組んでいるところです。

 県内の病院から「腫瘍内科医を派遣してほしい」という要望を多くいただくのですが、まだ十分に育てられていません。院内からも患者さんからも、今後ますますニーズが高まるでしょう。それに応えられるよう、信頼を得られる人材を、しっかり養成していきたいと思っています。

大分大学医学部 腫瘍・血液内科学講座
大分県由布市挾間町医大ケ丘1-1
TEL:097-549-4411(代表)
http://www.med.oita-u.ac.jp/ syuyou/


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