218床の民間病院 市内の救急の一翼を担う
医療法人五星会菊名記念病院への2017年度の救急搬送台数は、7300台超。地域でも屈指の数だ。「超高齢社会を迎え、今後、ますます急性期医療の需要が高まる」と話す村田升院長に、横浜市内の救急事情や、多角的な視点からの病院運営について、話を聞いた。
―就任から2年です。
心臓血管外科の医長として1997年に入職し、2016年に院長に就任しました。
民間が運営する218床の急性期病院というのは、規模の面でも全国的に見てマイノリティーな存在です。創設者の山本登理事長は当初から「急性期医療を提供して地域医療の発展に貢献する」をモットーに展開してきました。365日24時間、緊急手術のできる態勢をとり、救急要請を断ることはありません。
横浜市の救急体制は非常に整っていると感じます。市内では2016年、18万7000件ほどの救急車の出動がありました。救急隊の1回の照会で9割ほどは受け入れ病院が決定します。照会回数が5回以上の救急搬送困難事案は数%に満たないのが現状です。
ただ、高齢化による循環器疾患や肺炎、骨折などのリスクの高まりもあり、このままだと2035年には市内で20万件を超える救急搬送が発生すると予測されています。当院は横浜市の救急の一角を担っているという自負があります。今のベッド数のままでは十分に対応するのは難しくなると分析しており、将来的には増床したいという希望も持っています。
―専門医療にも注力されているそうですね。
当院は横浜市2次救急拠点病院です。夜間は人手の問題もあって難しいのですが、昼間は多発外傷などの3次まで何とか対応できるので、院内では2.5次救急と呼んでいます。
ICU・CCUの10床に加え、2016年には脳卒中専用のケアユニットSCUを5床開設しました。
循環器の急性期は1分を争う治療をしなければなりません。スタッフが多い大規模病院とは違って、スタッフも設備も限られる中で工夫をしながら最善の治療にあたっています。それらの経験がスキルアップにつながり、循環器内科、心臓血管外科、脳神経外科などは高い評価をいただけるようになりました。
―ⅠSOを取得して8年。そのメリットを。
2010年に認証取得したISO9001(品質マネジメントシステム)がさまざまなマネジメントに寄与しています。
救急を担当する病院はどこもそうかもしれませんが、当院には日常的に忙しさが漂っています。ただ、そうはいっても職員に「やらされている」という感覚があったり、職員が疲弊してしまったりしては、病院運営はうまくいかない。ISOは、効率よく人を配して、病院全体としては活発に動いているけれども、職員一人ひとりは疲れない環境を目指すためのツールだと思います。
さまざまな記録やデータを残し、振り返ることで、改善する部分がクローズアップされ、必然的にレベルアップに導かれる。また第3者機関が毎年チェックすることで「ここをこう変えた方がいいのでは」とアドバイスももらえます。特に事務や検査、薬剤などの部門で、効率が非常に上がってると感じています。
当院は、1992年に山本理事長が立ち上げた一般社団法人横浜メディカルグループ(YMG)の一員です。4医療法人と1社会福祉法人の陣容で、12の病院やクリニックと10数施設の在宅支援センター、介護老人保健施設などで構成されています。グループ内に急性期、回復期リハ、地域包括ケア、慢性期の各病床があり、さらに介護まで継続できる。地域包括ケアの流れの中で、今後ますます力を発揮できると考えています。
医療法人五星会 菊名記念病院
神奈川県横浜市港北区菊名4-4-27
TEL:045-402-7111(代表)
http://www.kmh.or.jp/