近畿大学医学部眼科学教室 日下 俊次 主任教授

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転換期を迎えつつある未熟児網膜症の治療

【くさか・しゅんじ】 1986 大阪大学医学部卒業 同附属病院研修医 1994 米ミシガン大学眼科研究員 2005 大阪大学医学部附属病院病院教授 2010 近畿大学医学部堺病院眼科教授 2018 近畿大学医学部眼科学教室主任教授

 網膜、角膜、緑内障、白内障、弱視・斜視、神経眼科―。いずれの領域においても「最高水準の医療で眼を守る」ことを目指す近畿大学医学部眼科学教室。今年の4月より講座を束ねている日下俊次主任教授の専門分野の一つは「未熟児網膜症」だ。

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―未熟児網膜症の現状について教えてください。

 胎児の網膜血管は、36週頃に完成します。これより前に出産した場合、そこで血管の成長が止まってしまうことになります。血管が正常に発達しなかったために起こる新生児の網膜の疾患を「未熟児網膜症」と言います。

 症状が進行すると、増殖した新生血管が網膜を引っ張って網膜剥離になるなど、失明に至ってしまう危険性もあります。出生時の体重が1500g未満の、およそ60%が未熟児網膜症を発症しています。

 また、未熟児網膜症は妊娠・出産の高齢化とも関わっていると考えられています。母体の高齢化とともに低出生体重児が増加傾向にあり、また、不妊治療を経た出産との関連も指摘されています。

 現在、NICUでの管理体制が整ってきたことで、未熟児網膜症の症例数は減少しており、重症化予防も進んでいます。

―治療法は。

 急速に進行する未熟児網膜症に対する第一選択はレーザーによる網膜光凝固術です。成長が止まった網膜血管をレーザーで焼き、新生血管の発生を促進する血管内皮増殖因子(VEGF)の放出を抑えます。

 しかし、手術が可能な施設は、ここ近畿大学医学部附属病院のほか、東京の国立成育医療研究センター、愛知の名古屋大学など、国内でも限られているのが現状です。

 例えば、四国地方の新生児が当院で手術を受けることになれば、ドクターヘリで搬送されることになります。身体的な負担、そして金銭的な負担は決して小さくないのです。

 そこで、薬剤を用いた治療が注目されています。VEGFを阻害する分子標的薬「ルセンティス」による治療です。

 ルセンティスは糖尿病網膜症、加齢黄斑変性への使用が認可されています。私は2006年にスタートした未熟児網膜症に対する臨床試験のメンバーとして研究に取り組んできました。近年、徐々に治療薬としての有効性が明らかとなってきたのです。

 現在、ルセンティスの新規適応症として未熟児網膜症が申請されており、2019年秋頃には認可される見通しです。今後、標準治療が網膜光凝固術から薬剤という流れに向かうことも考えられるでしょう。

―教室がカバーする領域は幅広い。

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 人材が充実していることは、当教室の大きな強みだと自負しています。各領域で質の高い臨床、研究、教育が可能な環境が整っていると思います。

 例えば、昨年11月に開催された「第65回日本臨床視覚電気生理学会・第5回韓日合同臨床視覚電気生理学会 in JAPAN」では、当教室の國吉一樹講師が会長を務めました。

 また、2019年5月の「第8回日本視野画像学会学術集会」では松本長太教授が、7月の「第56回日本眼感染症学会」では江口洋准教授が会長を担当します。医局員それぞれが、専門分野の第一線で力を発揮しています。

 大切にしていることは「良き臨床家」を目指すことです。女性医師の比率が高まっていることからも、若手の育成については働き方の見直しも含めて、新たな教育システムの構築を進めているところです。

 また、病診連携のさらなる強化に努めます。長年にわたり地域の開業医の先生方と勉強会を共催するなど、すでに土台は築かれています。機能分化を推し進め、足並みをしっかりとそろえて地域に貢献したいと考えています。

近畿大学医学部眼科学教室
大阪府大阪狭山市大野東377-2
TEL:072-366-0221(代表)
http://www.med.kindai.ac.jp/optho/


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