近隣病院とタッグ 大和郡山の安心を支える
病院前に掲げられているのは、「脳」「心臓」「腰痛」の文字がひときわ目を引く看板。これらの特色を打ち出し、地域住民の緊急時に応える救急病院。脳神経外科医として運営を牽引してきた宮本和典院長に聞いた。
―三つの強みの特長を。
一つ目は「脳」。特に脳卒中の患者さんが多く、脳血管障害を主に扱っています。昨年4月には脳卒中センターを開設。rt-PA静注療法を始めとする内科治療や開頭手術を行っています。5年が経過した脳ドックも順調に推移。異常があればすぐ治療を開始しています。
脳の疾患と聞けば、患者さんは非常に不安になるもの。実際「未破裂脳動脈瘤で手術が必要と言われたが本当か」「脳腫瘍と診断され経過観察だが大丈夫か」などの相談もありました。
そこで昨年開設したのが、セカンドオピニオン外来。治療に関してできる限り丁寧に説明して患者さんに選択をお任せする、そんなお手伝いができればと思っています。
二つ目は「心臓」。循環器内科の医師が心臓カテーテル検査や心筋梗塞などの治療に対応しています。
三つ目は「腰痛」。他ではあまり行われていない「PLDD法」(経皮的レーザー椎間板減圧術)を得意としており、海外からも患者さんが来ます。穿刺針を椎間板の中に入れてレーザーで焼くという負担の少ない術法で、自費診療という点はネックですがメリットは大きい。先に画像を送ってもらい、適用かどうか診断することも可能です。すでに20年ほどの実績があり、手術件数は2000件近くに上ります。
―「奈良県の救急患者は県内で受け入れる」との思いで開設された病院ですね。
救急病院としての使命は30余年たった今も変わりません。以前は年間2000件ほど受け入れていましたが、現在は1600件ほど。この5月、隣町に奈良県総合医療センターが移転してこられましたので、その分減っているのが現状です。全体で見れば、南和地域には南奈良総合医療センターもできましたし、県内で完結できるようになったことは喜ばしいことです。
この辺りも高齢化が進んでおり、救急で運ばれてくるのは施設内で転倒して頭を打った人や肺炎を起こした人など多数。退院後すぐに帰ることができない、あるいは他の病院を退院せざるを得なかったという患者さんに対しては、医療療養病棟で治療を続ける体制を整えています。
また近隣には関連の介護老人保健施設や介護付き有料老人ホームもありますので、今後も法人全体で包括的にサービスを提供していければと思っています。
―地域から求められる役目は。
郡山には当院のほか、JCHO大和郡山病院と田北病院があります。この3病院の院長は全員、大和郡山市医師会の理事で交流も深い。機能に応じてうまくすみ分けしながら、救急隊からも「三つのうちどこかに運べば大丈夫」と認識してもらえているようです。
大和郡山病院には脳神経外科がありませんので私と当院のもう一人の医師が交代で週1回の外来を担当していますし、逆にこちらからお願いする診療科もあります。病院同士がスムーズに連携できていることが、地域の安心につながっているのではないでしょうか。
奈良県では今、脳卒中の輪番制度をつくろうという話し合いが進んでいます。ただ消防からは、うちと天理にある高井病院はこれまで通り常時受け入れてほしいと要請がありました。信頼されるのはありがたいですし、要望には応えるつもりです。
救急を強化するため、今年からは脳神経外科医の当直を増やし、水曜以外は土日含めて毎日スタンバイする体制にしました。これからも、いざというときに頼りにしてもらえる病院であり続けたいですね。
医療法人青心会 郡山青藍病院
奈良県大和郡山市本庄町1-1
TEL:0743-56-8000(代表)
https://www.seiran.or.jp/