高知大学医学部外科学(外科2)講座 穴山 貴嗣 准教授

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高齢化先進県の高知から、より低侵襲な肺がん治療を

【あなやま・たかし】 1996 高知医科大学医学部卒業 同第二外科入局 2010 カナダ・トロント総合病院胸部外科博士研究員2014 高知大学医学部外科学(外科2)講座講師 同附属病院呼吸器外科部門長 2018 同医学部外科学(外科2)講座准教授

 「高齢化先進県の高知から、低侵襲なこれからの外科治療のあり方を提案したい」と穴山貴嗣准教授。特に肺がんの早期診断・治療と予後改善のため、フットワーク軽く、臨床・研究に取り組む。

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―高知大学の肺がん診療における特色を。

 高知県の65歳以上の高齢者の割合は32.85%(2015年)と全国2位です。われわれは、日本全体の高齢化が進む中、高齢かつリスクの高い患者さんへの治療のあり方を提案できる貴重な大学病院の一つになりうると考えています。

 呼吸器外科では術後の早期離床に有効で高齢者にも勧められる胸腔鏡手術が普及しています。肺切除でいえば切除範囲の小さいものから肺楔状部分切除、肺区域切除、肺葉切除。それぞれについて、さらなる低侵襲化を図っています。

 肺楔状部分切除の特徴的な取り組みは、近赤外線蛍光とハイブリッド手術室を使った超低侵襲手術。通常、微小な早期肺がんは位置を同定するため事前に肺に皮膚の外から針を刺入しマーキングしますが、患者さんの苦痛を伴います。

 われわれは全身麻酔導入後に、気管支鏡ナビゲーションとコーンビームCTを併用し、微量の近赤外線蛍光薬剤を肺がん近傍に注入。蛍光ガイド下に胸腔鏡手術を施行します。

 肺区域切除でも近赤外線蛍光技術を活用。切除対象となる肺区域への血管を遮断してから蛍光を全身投与することで、切除範囲の蛍光欠損を確認する方法の他に、切除対象の亜区域の気管支に蛍光薬剤を注入して蛍光描出する手法も臨床応用しています。

 手術支援ロボット「ダビンチ」を使った手術は2016年に始め、今年6月から縦隔良性・悪性腫瘍手術を、11月からは肺がんの肺葉切除をそれぞれ保険診療として提供しています。

―今年8月、科学誌「サイエンティフィック・リポーツ」にAICSと肺がんに関する研究結果を発表。概要を教えてください。

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 本来、健康な人のアミノ酸比率はある一定に保たれますが、さまざまな疾患に罹患するとアミノ酸比率が変化することが分かっています。その性質を応用したものが、アミノインデックスキャンサースクリーニング(AICS)です。5mlの採血から血液中のアミノ酸比率を分析し、複数のがん(胃、肺、大腸、膵臓、前立腺、乳、子宮、卵巣)のリスクを評価でき、一部の健診施設などで提供されています。

 われわれの研究では、肺がん患者を対象に、手術前と手術後のAICS値の推移を継続調査。治療前の測定では72人中44人( 61.1%)に値の異常が確認されました。よく知られたがんの腫瘍マーカー「CEA」であっても、肺がん患者における陽性率は2割程度。AICSは非常に感度が高い指標といえます。

 根治手術後、44人中23人でAICS値が低下し、再発を経験したのはたった1人(4.3%)だったのに対して、術後も高値を継続した21人では11人(52.4%)にがんの再発が見られました。一般的に腫瘍マーカーは、病期の進行に比例して数値が上がるため、ある程度進行しないと異常高値を示しませんが、AICSはごく微小な残存したがんを検出できる可能性を示しています。

 2009年、米国での学会に参加した際に今回の論文の共同著者でもある、大阪国際がんセンターの東山聖彦先生が肺がん患者と健常者の間でのAICSの数値の相違について発表されていました。AICSの異常が体質によるものか、がんに伴う一時的な変化なのかは不明であったため、その後、味の素バイオ・ファイン研究所に共同研究の話を持ちかけたのが、本研究の始まりでした。

 AICSは検診などの予防医学の分野で普及していますが、さらなるエビデンスを積み上げることで患者さんにも利益のある技術になれば、と考えています。

高知大学医学部外科学(外科2)講座
高知県南国市岡豊町小蓮185-1
TEL:088-866-5811(代表)
http://www.kochi-ms.ac.jp/~fm_srgr2/


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