独立行政法人国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 森脇 克行 副院長

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有事の際に医療機能を最大限に引き出すには?

【もりわき・かつゆき】 1980 広島大学医学部卒業 1984広島市立安佐市民病院 1990 広島大学医学部附属病院講師 2000 文部省在外研究員 米ハーネマン大学医学部 米エール大学医学部 2003 国立病院(現:独立行政法人国立病院機構)呉医療センター・中国がんセンター麻酔科科長 2009 同副院長

 「平成30年7月豪雨」は各地に甚大な被害をもたらした。広島県呉市でも7月6日夜から7日未明にかけて1時間に50mmを超える大雨を観測。主要な道路、鉄道が寸断され、一時は約23万人が孤立した。森脇克行副院長が感じた「事業継続」のためのポイントは―。

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―記録的な豪雨でした。

 実は50年ほど前の7月にも呉市は豪雨災害を経験しています(昭和42年7月豪雨)。私は呉の出身で当時は中学生。あちこちでがけ崩れが起こったり、河川が氾濫したりと、かなり大きな被害を受けました。呉市は急傾斜地が多いこともあって、こうした災害が起こりやすいのですね。

 9月27日に広島市と呉市をむすぶ広島呉道路(クレアライン)の通行止めが解除され、当院に関係する重要な交通インフラについては、ほぼ復旧しました。

 倉橋島や江田島が防波堤の役割を果たし、水深にも恵まれていることから、呉は「天然の良港」と呼ばれています。市外から呉につながる主要な道路は、海岸沿いか、山を越えるか。限られたルートしかありませんから、旧海軍が一大拠点を築くには、うってつけだったのです。

 そんな地形であったために、豪雨でことごとく交通が遮断され、呉は孤立しました。市外からDМATが駆けつけることができず、また当院を含むDMATの活動は呉地区に限局されました。

 また、周辺には深刻なダメージを受けた医療機関もありました。自分たちだけで何とかしなければならない。そんな状況に直面することになったのです。

―災害時に大事なのは。

 一般的な企業であれば災害時に需要やサービスレベルが落ち込んで、徐々に回復していきます。

 医療機関は、傷病者の発生に備えて自院が被災しながらも「災害時にこそ機能を維持してサービスレベルを引き上げ、医療を提供しなければならない」。むしろ受け入れのキャパシティーを広げるフェーズに入るわけです。

 従来の災害対策マニュアルとは別に、災害拠点病院として「BCP(事業継続計画)」の観点から有事に備え、訓練を重ねておくことが非常に重要なのだと実感しました。

 特に大事なのは、災害医療の基本とされる「CSCA(コマンド&コントロール、セーフティー、コミュニケーション、アセスメント)」にもあるように、情報をどう共有して、誰がコントロールするか。

 例えばBCPでは「当院の職員がどこから通勤しているか」を把握します。看護師、メディカルスタッフの多くが呉市内。医師はおよそ半数が広島市内に住んでいます。しかも、普段はクレアラインを通って通勤していますので、フェリーや高速船があるとはいえ、いつ頃、何人が出勤できるか分からない。

 こうした状況になることをあらかじめ想定した上で、7月8日の日曜日に、月曜日以降の診療体制についてBCP会議を開きました。現状の当院の機能で「予定している手術には対応できるのか」「外来の混乱をどう避けるか」といったことを話し合いました。

 一定のキャンセルはあったものの、手術は予定の9割近くを実施。外来診療も7割程度は対応することができました。災害が発生したのは、まさにBCPの策定を進めていたさなか。頭の中で「どう対処するか」をある程度イメージできていたことが、役立ったのではないかと思います。

―教訓をどう生かしますか。

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 交通網の混乱で薬剤の供給がストップし、血液も運べなくなりました。重油が途絶える可能性もあったのですが、業者の方々が力を尽くしてくれたことで、なんとか8日の朝に到着。医療機能を維持することができました。

 BCPの実践には、さまざまな関係者との連携も欠かせません。院内外の協力体制を、さらに強めていきたいと考えています。

独立行政法人国立病院機構 呉医療センター・中国がんセンター
広島県呉市青山町3-1
TEL:0823-22-3111(代表)
http://www.kure-nh.go.jp/


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