創立65年、増改築も完了 質の高い"心のケア"
創立65周年を迎えた渡辺病院。心の医療を推進し、高齢者ケアにも力を注いできた。同院を運営する社会医療法人明和会医療福祉センターの渡辺憲理事長に話を聞いた。
―歩みや地域での役割は。
1953年4月、75床の神経科・精神科の病院として開設してから65年。高い公共性を持つ「社会医療法人」として全国で3番目に認定されてからは、10周年となりました。
渡辺病院の主要な専門分野である精神科医療は、医療法において5疾病の一つと位置付けられています。現代社会において質の高い「心のケア」が迅速かつ適切に行われることは、時代のニーズでもあります。
当院では、10歳前後の若い年代から100歳を超える高齢者まで、年間1100人の初診患者と月延べ4000人ほどの通院患者、1日平均約300人の入院患者の診療に当たっています。
心の医療分野、高齢者ケアにおける専門性を常に高めながら、患者さん一人ひとりの病状に合わせ、多職種連携で迅速かつ丁寧に治療に当たること、地域における健康の基盤を支えることを通して地域に貢献することが、使命だと考えています。
―渡辺病院の増改築工事の狙いと今後について。
耐震性を高めること、20〜30年後のニーズにも応えうるハードウェアを得ることを目的に、2015年度に増改築整備事業に着手。2018年3月、すべての工事を終えました。
東館、本館、新北館を建設し、新東館には夜間休日の救急にも対応する「精神科救急医療センター」や病棟を開設。MRI・CT装置に加え、核医学検査設備を備えた「画像診断センター」も新設しました。
これから渡辺病院では、精神科救急を含む外来・入院医療を一層充実させていきます。開設した精神科救急医療センターが、この地域における精神科急性期医療の中核を担っていければと思っています。
また、思春期・青年期、老年期、依存性疾患、うつ・気分障害といった分野の専門外来の充実、患者の地域移行の推進も図ります。認知症を含む精神科専門入院医療の充実、医療専門職の教育や研究体制の整備、医師の教育・研修などにも、積極的に取り組んでいきたいと考えています。
―「ワーク・ライフ・バランス(WLB)」の先進モデルとしても知られています。
2016年度、医療機関としては全国初となる「均等・両立推進企業表彰 厚生労働大臣優良賞(ファミリー・フレンドリー企業部門)」を受賞。「WLB大賞優秀賞」や「鳥取県うれしい職場ささえる大賞」「イクボス・ファミボス宣言優良企業表彰」など、さまざまな方面から評価をいただいています。
24時間365日患者さんにしっかりと対応しながら、育児中の職員の短時間勤務や有給休暇の取得を可能にし、夜勤勤務の体制も十分に維持できる。そのような職場環境を目指してきました。
現在、育児を理由とする離職が10年以上発生していません。定年を延長し、正職員としてチームに貢献してくれている職員も多くいます。
職員を少し多めに配置する必要がありましたが、それはWLBへの"先行投資"と言えるでしょう。その分、ゆとりを持つことができた職員が離職することなく専門職として成長し、患者さんやご家族に優しく対応できるようになっています。医療福祉機関の取り組みとして、大きな価値があったと考えています。
職員は皆、法人の基本行動指針「人にやさしい」「人を育てられる」「心の通い合う」チームづくりに沿って、誠実に仕事に取り組んでいます。年齢や立場、家庭環境などに関係なくすべての職員に活躍の場が開かれていることが当法人の強みと言えると思います。
社会医療法人明和会 医療福祉センター 渡辺病院
鳥取市東町3-307
TEL:0857-24-1151(代表)
https://www.mmwc.or.jp/