社会医療法人社団大久保病院 創立100周年 大久保健作理事長に聞く

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社会医療法人社団大久保病院 創立100周年

 社会医療法人社団大久保病院(大分県竹田市、一般・療養計136床)が3月、100周年を迎えた。地域の要請で開院してからこれまで、竹田市久住で住民の「命」に向き合ってきた。

病院をなくさないで その思いを受けて

―100年の歩みを。

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 先々代の大場亀吉は、私にとって母方の祖父です。東北大学の医学部を卒業し、ここに開院する数年前から久住町の白丹にあった診療所で診療や研究をしていたと聞いています。

 白丹での仕事を辞めて、東北に戻ろうとしたときに、地元の方たちが「この土地を譲るから残ってほしい」と言って、ここに診療所を建ててくださった。それが、この病院のスタートです。

 祖父はもともと産婦人科医でしたが、診療所では外科も内科も、ありとあらゆる患者さんを診ていたそうです。往診に馬で出かけていた写真も残っています。

 その後、大分県内に結核の療養所がなかったことから28床の結核療養所に転換。父が跡を継いでからは、再び診療所に戻そうと考えたこともあったようですが、「地域から病院をなくさないでほしい」という強い要望を受け、病院としての運営を続けてきたと聞いています。

 来年1月には100周年のイベントを開く予定です。患者さんや地域の方、日ごろ助けてくださっている方々に感謝を伝える会にしたいと思っています。

病床稼働率95% 頼られる トランスレーション病院に

―病院の現在は。

 当院は消化器外科と整形外科、循環器内科が中心です。

 外来は、大学の各科医局や知り合いの先生に週に何回か非常勤で加わっていただくことで高い専門性を確保。リハビリテーションを専門とする鹿児島大学名誉教授の川平和美先生の診療を目的に、関西や四国からも患者さんがお見えになります。

 入院の患者さんについても、常勤医がある程度のベースとなる知識や技術を備えた上で、外部の専門医からも指示をもらいます。難しい症例にも対応できるので、高度急性期病院からの紹介も多く、病床稼働率は95%を超えています。

 われわれの病院の強みは、この地域に住んでいて、愛着があるスタッフが多いこと。院長をはじめ、常勤医も同様です。さらにさまざまな大学の教授や名誉教授の方が、参与などとして病院に関わってくださっています。学会で知り合い、いつの間にか打ち解け、久住まで足を運んでくれる...そういった方とのつながりも大事にしています。

人と医療を残す そのために何ができるか

―地域医療への思いを。

 私は、小学校5年生の時、担任の先生に「医者になってこの地に戻る」と約束しました。帰ってきた後も、この久住にどうやったら医療を残せるのかと考えて、今までやってきました。

 コンサルタントを初めて入れた時、「物も人もお金も上から下に流れる。ここで病院運営は無理でしょう」と言われ、「そんなはずはないだろう」と思ったことも、原動力になっているかもしれませんね。

 父は、「医者は技術さえ持っていれば、田舎であろうと東京であろうと同じ医療ができる」と言っていました。また「久住の人も東京の人も同じ医療が受けられるようにすることは、やりがいになるだろう」とも。その理想を、今でもずっと追いかけています。

「あってよかった」と思ってもらえるように

―今後は。

 病院としての機能を一層充実させたい。人口推計や政策なども見ながら良質な医療が提供できる医療機関でないと、生き残れないと私は思います。

 もし、ここがなくなれば、この地域は、あっという間に限界集落になってしまうでしょう。病院のことだけ考えているわけにはいきません。高齢者でも障害があってもなくても、お互いに補完しあって暮らせる「村」のようなものをつくれないか。そんなことも考えています。

 最終的なゴールは、地域の方から「大久保病院があってよかった」と思ってもらうこと。まだまだ、道半ばです。

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診療所

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現在の大久保病院のER棟

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馬で往診していた時代も

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九重高原療養所

~大久保病院 100年の歩み~

1918 診療所開設

1952 医療法人桜葉会設立 九重高原療養所開設

1956 医療法人桜葉会 九重高原病院となる

1967 医療法人桜葉会 都野病院となる

1969 大久保病院となる

1990 医療法人大久保病院となる

1996 介護老人保健施設「ヴァル・ド・グラスくじゅう」開設

2000 療養型病棟開設 認知症対応型共同生活介護施設グループホーム
「くたみのもり」開設

2008 へき地医療拠点病院指定、救急告示病院
小規模多機能型居宅介護施設「くたみたきのう館」開設

2010 特定医療法人社団 大久保病院に名称変更

2011 社会医療法人社団 大久保病院に名称変更

2017 二次救急医療機関

2018 災害拠点病院指定 DMAT・DCAT発足



社会医療法人社団 大久保病院
大分県竹田市久住町栢木6026-2 
TEL:0974-64-7777(代表)
http://www.okubo-hp.com/


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