琉球大学大学院医学研究科整形外科学 / 琉球大学医学部附属病院リハビリテーション部 金谷 文則 教授 / 部長

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リハビリテーションがもたらす新たな可能性

【かなや・ふみのり】 1978 新潟大学医学部卒業 1987 米ルイビル大学フェロー 1991 琉球大学医学部整形外科講師 AOフェロー(スイス) 1992 琉球大学医学部整形外科助教授 1997 AOA/JOAトラベリングフェロー 2000 琉球大学医学部整形外科(現:琉球大学大学院医学研究科整形外科学)教授琉球大学医学部附属病院リハビリテーション部部長

 リハビリテーション科専門医、セラピストが多く活躍している沖縄県。早期退院の実現、災害支援、障害者スポーツ支援など、リハビリがもたらす可能性について、沖縄でのリハビリの発展に貢献してきた琉球大学医学部附属病院リハビリテーション部の金谷文則部長に聞いた。

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―沖縄におけるリハビリテーションの現状は。

 私が赴任した頃は、県内のリハビリテーション科専門医が私を含め1人か2人。専門医になるための認定施設もありませんでした。

 今は当病院が基幹施設となり、連携施設・関連施設と協力し「琉球リハビリテーション科専門研修プログラム」を実施。県内の専門医は32人、琉球大には3人の専門医と28人のセラピストが所属しています。

 リハビリはかつて整形外科の一分野でしたが、今や整形外科のみならず内科、脳外科、一般外科などあらゆる分野を横断する独立した存在となっています。

 セラピストの存在も重要です。下肢であれば理学療法士、上肢であれば作業療法士。言語聴覚士は言語だけでなく嚥下(えんげ)の指導にも関わります。手術前や術後早期に介入することによって回復が早まり、早期退院につながっています。

 ただ、セラピストの数は不足しており、今は外来リハビリを実施できない状態です。沖縄県内に専門学校が増え、人気の職種ではあるものの、リハビリを必要とする現場でのニーズが増え続けており、もっと増えてほしいと思っています。

―沖縄は災害救助チームの取り組みも盛んです。

 専門医やセラピストの多くが加盟している「沖縄県リハビリテーション医学会・協会」のメンバーで沖縄JRAT(大規模災害リハビリテーション支援関連団体協議会)を結成し、熊本地震や岡山での西日本豪雨災害で活動を行いました。

 例えばもともと元気だった高齢者が避難所に行って、床の上で寝るなどしているとたった2日で歩けなくなるのです。そこで、医師とセラピストでチームを組み、災害現場へと向かい、対応に当たりました。リハビリはさまざまな事情で体が動かせなくなった人を少しでも早く原状復帰させることが目的です。それは、災害の現場でも同じで、なるべく早いタイミングで現場に入って対応に当たることが求められつつあります。

 沖縄がこのJRATに力を入れている理由が二つあります。一つは本土から離れているため、本州などで災害があった場合に安全かつ早急に駆けつけ、活動を開始しやすいこと。そして逆に沖縄が災害にあった場合、どのように支援を受けるべきかを考えていく必要があるからです。

―今後の取り組みは。

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 琉球大学ではロボットスーツ「HAL」を導入し、ロボットリハビリにもさらに力を入れていきます。現在は2台所有し、昨年から臨床に応用。神経関連の疾患では確かな実績が出ています。さらに今後は、幹細胞治療が広がることで、脊椎・脊髄損傷や半身不随などの回復の見込みが大きく変わってくるのではと期待を寄せています。

 もう一つ注目しているのが、障害者スポーツです。沖縄にはスポーツドクターが8人おり、障害者スポーツ競技大会などで医療管理チェックに関わっています。陸上、バスケットボール、ラグビーは競技性も高く、沖縄は国内トップレベルの選手を輩出しているほど盛んです。

 障害者スポーツは、患者さんの意欲を高めるといった目的も確かにありますが、実は呼吸器、循環器の機能を高めることにつながり、生命予後をよくすると考えられるようになってきました。「なぜ障害者がスポーツ?」と思う人もいるかもしれませんが、障害者にこそスポーツが重要ではないかと私たちは考え、積極的に取り組んでいます。

琉球大学医学部附属病院 リハビリテーション部
沖縄県中頭郡西原町上原207
TEL:098-895-3331(代表)
http://w3.u-ryukyu.ac.jp/orthop/


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