大分大学医学部呼吸器・乳腺外科学講座 杉尾 賢二 教授

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ノーベル賞で注目の免疫治療 肺がん治療の現状と課題

【すぎお・けんじ】 1982 九州大学医学部卒業 1988 同大学院修了 1993 米テキサス大学留学 1999 九州大学第2外科講師 2001 産業医科大学第2外科助教授 2009 九州がんセンター呼吸器腫瘍科部長 2013 大分大学医学部呼吸器・乳腺外科学講座教授

 免疫チェックポイント阻害薬開発に寄与した研究者のノーベル賞受賞や、検診での「がんの見落とし」など、良くも悪くも、がんに関わる話題が続いた2018年。臨床の場では、変化や影響はあったのか。大分大学の杉尾賢二教授に話を聞いた。

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―免疫治療に注目が集まっています。

 当大学ではニボルマブ、ペムブロリズマブなど、4種の免疫治療薬を導入しています。免疫治療薬は奏効期間が抗がん剤の倍以上になることもあるのが特徴です。効果は平均して2〜3年で、長期生存も期待できます。

 しかし、どの患者さんにも適用できるわけではありません。専門医が患者さんのデータを正確に評価し、抗がん剤、免疫治療薬、分子標的治療薬のうち最も効果が期待できるのはどれかを判断しなければなりません。実際、免疫治療の対象になるのは、肺がん患者全体の2割ほどです。

 例えば、ある種の肺腺がんに直接関与するドライバー遺伝子ですが、まず、この遺伝子に異常があると免疫治療が効きにくいことがわかっています。さらに、がん細胞の表面にPD-L1というタンパク質が発現していて、その発現量が50%以上あれば、一次治療で免疫治療が適応となります。

 免疫治療は副作用にも注意が必要です。治療を断念せざるを得なかったり、命を落としたりするような副作用が生じる場合もあるからです。

 副作用を抑える方法(支持療法)の開発も日々進歩しているとはいえ、まだ十分とは言えない、というのが私の実感です。完治に至らなくても副作用を生活に支障がない程度に抑え、治療を続けることができれば、寿命を全うできる可能性が高まります。今後、そういった支持療法の薬が出てくるのを期待したいですね。

―「九州肺癌(がん)研究機構(LOGIK)」の代表世話人を務められていますね。

 九州肺癌研究機構は、九州地区の肺がんを専門とする医師によって構成される団体です。新薬の使い方や組み合わせなど、臨床試験を企画したり結果を比較・検討したりといった研究をしています。

 私たちが力を入れてきたのは分子標的治療についての研究です。この治療法は、肺がん患者の約3分の1が対象で、最初に使う第1選択薬、第1選択薬の効果が薄くなったら使う薬と使用順が決められています。今は2年前に認証された薬の臨床試験をしているところです。

 分子標的治療薬はがん治療に効果がある一方で、抗がん剤と同じように耐性ができてしまうことや、命を脅かす間質性肺炎も数%の可能性で発症させてしまう点が問題です。副作用をどう抑えるかが今後の課題です。

 臨床試験によって新しい治療法を検証し、それを証明する論文が認められれば患者さんに適用できます。試験を重ね、少しでも早く患者さんに提供することが私たちの目標です。

―検査の見落とし防止対策はどうされていますか。

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 当院では、去年から電子カルテに見落とし防止のアラームを追加しました。CTやレントゲンを撮影しているのに放射線科医の所見を開いていなかった場合、カルテを開いたときに所見の欄が点滅し、注意喚起します。

 精密検査の際、担当した医師が自分の専門領域だけ確認し「異常なし」と判断していても、放射線科の読影医が担当医の専門領域外の部位にある病変に気づきコメントを残していれば、アラームが点滅。担当医がアラームに気づき、確認することで、早期に治療を始めることができます。検査結果の見落としは全国どの病院でも起こり得ることです。うちは大丈夫、と気を抜かずに1件ずつチェックを徹底する。それに尽きるのだと思います。

大分大学医学部 呼吸器・乳腺外科学講座
大分県由布市挾間町医大ケ丘1-1
TEL:097-549-4411(代表)
http://www.med.oita-u.ac.jp/surgery2/


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