国立研究開発法人 国立成育医療研究センター 賀藤 均 病院長

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小児科医の役割は国の未来をつくること

【かとう・ひとし】 1981 新潟大学医学部卒業 1985 トロント大学マウント・サイナイ病院 1987 青梅市立総合病院 1989 帝京大学医学部小児科学教室助手 1996 東京大学医学部小児科学教室講師 2006 同附属病院小児科副診療科長 2008 国立成育医療センター(現:国立成育医療研究センター)循環器科医長 2014 同病院長

 小児、周産期、母性・父性医療などを包括する「成育医療」における唯一の国立高度専門医療研究センター。賀藤均病院長は世界水準の高度医療の推進とともに、日本の小児医療が直面する問題の解決法を模索。「小児科医の役割は、医療を提供するだけではない」と言葉に力を込める。

―国内で最大規模の小児病院です。

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 あらゆる小児医療に対応できる診療科をそろえ、約200人の小児科医が勤務しています。日本はもとより、世界的にも高い水準にあると自負しています。

 2日に1度の頻度で大学病院から直接当院への患者の搬送があり、産科が扱う分娩数は年間2200例ほど。その7割をハイリスク分娩が占めています。

 また、小児・周産期医療を中心とする研究所と臨床研究センターを併設していることが特徴で、病院とのコラボレーションも非常に活発です。例えば、ES細胞から作製した肝細胞の肝臓への移植など、新たな治療法の開発を目指したプロジェクトが進んでいます。

 小児医療の大きな問題は「高齢者と同じ問題が子どもにも起こっている」ということです。

 医療技術の発展で命を落とす人が減少し、高齢化が進んだ。背景は子どもも同じです。人工呼吸器、胃ろうなど、何らかの医療的ケアを必要とする子どもたちが増えています。国内の「医療的ケア児」は推計で1.7万人。今後も増加していくでしょう。

―サポートの状況は。

 「在宅介護が必要な子どもがいる」という現実がありながら、社会はほとんど目を向けてこなかった。介護のために母親が仕事を辞めざるをえなかったり、周囲に頼れる人がいなかったり。適切な支援が行き届いていないのが現状です。

 そのことに気づいてもらうきっかけにしたいと考え、2016年、英国の「子どもホスピス」をモデルに医療的ケア児とその家族を支えるための医療型短期入所施設「もみじの家」を開設しました。

 すべて、個人や企業のみなさんの寄付によって実現したものです。このような施設は、日本では初めての試みです。

 欧米の小児病院は、運営費の2〜3割程度が寄付金で賄われています。次世代を支え、育てる役割を担う小児病院は「社会の大切な財産」だという共通認識があるからです。

 日本とは異なり税制優遇の制度面や社会貢献としての意義の大きさなど、諸外国では寄付に対する仕組みが確立されています。

 今年、当院で運用を開始したドクターカーも、皆さんの寄付によって導入がかないました。「国立の医療機関なのになぜ寄付が必要なのですか?」と尋ねられることがあります。

 交付金は研究のためのもの。機器の更新など、診療に関わるものには使えません。自分たちの力で病院を維持しなければならないのは、一般の医療機関も私たちも変わらないのです。

 診療報酬制度のあり方も含めて、小児医療に関わる国のシステムを見直す必要があると強く感じます。

―今後は。

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 社会が気づいていないもう一つの問題点は「病気や障がいがある子どもも大人になっていく」ということです。当院は高度医療として移植医療と再生医療を引き続き推進すると同時に、発達障害の子どもの心のケアなどにも努めていきたい。

 幼い頃、国から大事にされなかったと感じた子どもたちが成長したとき、果たして日本を支えていこうと考えるでしょうか?

 病気を治すことだけが小児科医の仕事ではない。子どもたちをいかに育て、どうやって「社会の一員」にするかを考えるのも、私たちの大切な役目です。

 移行期医療まで担える医療機関は限られています。私たちが先頭に立ち、国や社会に働きかけていかねばならないと思っています。

国立研究開発法人 国立成育医療研究センター
東京都世田谷区大蔵2-10-1
TEL:03-3416-0181(代表)
https://www.ncchd.go.jp/


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