安全・確実な標準的医療をスピーディーに届ける
地域医療のあり方が刻々と変わる中、横浜新緑総合病院は強みを伸ばしていくためのキーワードとして「スピード」を掲げる。向井惠一院長のイメージは。
―横浜市の状況は。
新たに策定された「神奈川県保健医療計画」において、当院が位置する横浜北部医療圏と、西部、南部医療圏が「横浜医療圏」として統合されました。
「北部はベッド数がやや不足している」「南部の人口が減少傾向にある」といった従来の医療圏ごとの現状や公立病院の再編なども踏まえつつ、より広い視野で横浜市の動向を捉える必要があると考えています。
隣接している青葉区や都筑区、旭区には大学の附属病院をはじめとする大病院が点在しています。ここ緑区は236床の当院が最大規模です。
緑区の人口はほぼ横ばいで若い人の流入もあまりない。地域に暮らす方々がそのまま高齢化していく中で、当院の方針は、急性期医療を軸とした役割を維持していくことです。
代々の院長が外科系の医師という背景もあり、特徴の一つとしているのが2011年にスタートした「脳神経センター」です。
脳神経外科では脳血管内治療などの実績も豊富で救急患者を365日、24時間受け入れています。広域をカバーし、神奈川県西部の相模原市や大和市、東京都町田市の患者さんも診療しています。
また、消化器外科と内科が連携した「消化器センター」では内視鏡検査・治療や腹腔鏡手術、整形外科による「関節機能再建センター」では人工関節置換術を推進。質の高い医療の提供に努めてきました。
小規模な病院ならケアミックス型、研修医などが集まる大きな病院であれば急性期医療のさらなる推進という方向性が考えられると思います。当院のようなサイズの病院は、機能をなかなか絞り込みづらいという点が悩ましいところです。
経営を考えると難しい面があるのですが、患者さんにとっては「一定レベルの医療」を提供していて「フリーアクセス制で受診しやすい」。身近な病院として、横浜新緑総合病院を頼ってくれていると感じています。
―そこに活路が。
「医療機関の役割を明確にする」という国の方向性とは異なります。でも、患者さんは必ずしも最初にかかりつけ医に足を運ぶわけではないでしょう。
大病院にはない強みを伸ばしていきたい。それはアクセス性の良さと、スピードだと思っています。
今年、新たに3.0テスラのМRIを導入。2台体制になったことは大きいですね。これまでは予約を入れてから平均して2〜3週間ほどお待ちいただいていましたが、大幅に短縮されました。
内視鏡検査を除いて、エコー検査など、多くの検査はその日のうちに対応可能です。待っている患者さんが複数いるとき、どうしたらもっと早く検査できるか。手術件数を伸ばしていくにはどうアプローチしたらいいのか。改善できる点は必ずあります。
理想は「安全で確実な標準的医療を早く正確に提供する」こと。当たり前の言葉に聞こえるかもしれませんが、実践し続けていくのは簡単ではありません。高度な機器があれば成立するわけではないからです。
医療はさまざまな技術を介するものですが、根本は「人と人」です。昔、私が大学の先輩から言われたのは「診察は患者が部屋に入ってきたときから始まる」ということでした。表情や歩き方を観察してどう苦しんでいるのか、いつもと何が違うのかを感じ取るセンスが大切だと思います。
医療者が五感を磨き、患者さんとも職員同士でも密なコミュニケーションが生まれる病院でありたいと思います。結果、「横浜新緑総合病院なら安心」というブランドを確立したい。「やっぱり受診して良かった」と感じてほしいのです。
医療法人社団三喜会 横浜新緑総合病院
横浜市緑区十日市場町1726-7
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