各所と連携を深め超高齢化に対峙
白井聖仁会病院は、最新鋭の医療機器、設備の導入などソフト面の充実に加えて、大地震に備えて建物を免震構造にするなどハード面を整備。さらに、地域とさまざまな連携を構築し、超高齢社会でのあり方を見据える。
―2年前、この場所に移転しました。
開設から40年近く経っていた旧病院の老朽化・狭隘(あい)化への対応と、特別養護老人ホーム「さつきの里」との一体化。この二つの狙いで、特養に隣接する現在の場所に、新病院を建設しました。
6階建てだった病院は5階建てになり、床面積は2.5倍に拡大。免震構造を採用し、大型自家発電装置と受水槽を備えました。災害時にライフラインが途絶えても、3日間は診療を継続できます。
特養と病院は渡り廊下でつながっています。特養の患者さんが当院に入院したり、療養病棟に入院している患者さんの状態が安定したら特養に移っていただいたりといった行き来がスムーズになりました。
現在、病床数は192床。一般病棟48床、療養病棟124床、それに新築移転を機に療養病棟から転換した緩和ケア病棟20床です。
緩和ケア病棟の看護体制は7対1。常勤医2人と認定看護師が中心となり、体と心の痛みに寄り添う「疼痛管理」を担っています。
地域の中核病院として、最新の医療機器、設備の充実のもと、20余りの診療科がそれぞれの専門性を生かし、地域に貢献すべく診療に当たっています。
昨年、男性更年期障害やEDに対応する「メンズヘルス外来」を立ち上げました。数多くの外来患者さんがきています。私の専門は泌尿器科です。高齢化を反映して前立腺肥大症や過活動膀胱などの排尿障害の患者さんも多くなっています。
―人工透析センターについては。
病院として透析医療に取り組み始めたのが1998年。近隣では歴史のある透析センターです。現在は35ベッドが稼働し、百数十人を治療。患者数は旧病院時代よりも3〜4割増です。
当院の特徴は、入院透析が可能という点でしょう。今後、さらに高齢化が進展し、通院が難しくなる患者さんも増えてきます。当院は新病院を造る際に、入院患者さん専用の透析ベッド8床と重症患者さんに対応できる個室3室を設けるなど、通院困難な高齢・重症患者さんへの対応力を向上させました。災害時、近隣の医療機関から透析患者を受け入れることも視野に入れています。
透析機器も一新し、オンラインHDFの装置と、循環器疾患がある患者さんの負担を軽減できる間歇(けつ)補充型HDF装置を導入。これによって、老廃物や中分子物質が抜けやすい質の高い安全で快適な透析医療が実現できています。
今後の目標は「透析中の運動療法」です。患者さんは週に3回、4時間を透析に充てているため運動不足になりやすい。筋肉が萎縮すると透析療法にも影響が出てきます。
1年ほど前に専門の医師を招き、シャント造設やシャント閉塞時のPTA(経皮的血管形成術)に対応するアクセス外来を開設しました。この外来ができたことでトラブルが起きてもすぐに対応できる態勢が整いました。
地域の腎疾患、透析診療に携わっている医療関係者との交流を図りたいと、3年前からセミナーを開いています。顔の見える関係がいい医療の連携を生んでいます。
各自治体も、団塊世代が後期高齢者になる「2025年問題」をにらみ、地域包括ケアシステムを推し進めています。私は白井市における在宅医療・介護連携などに関わる協議会の委員でもあります。この病院と地域との連携を、さらに深めたいですね。
医療法人社団聖仁会 白井聖仁会病院
千葉県白井市笹塚3-25-2
TEL:047-491-3111(代表)
http://www.seijinkai-shiroi.jp