地方独立行政法人 さんむ医療センター 篠原 靖志 院長

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本当に必要な医療は?考えた末に出した結論

【しのはら・やすし】 1986 旭川医科大学医学部卒業 1987公立長生病院外科医員 1997 組合立国保成東病院(現:地方独立行政法人さんむ医療センター)外科主任医長 2010 同副院長 2013 同院長

 医師の「地域格差」は広がるばかりだ。千葉県の10万人当たりの医師数は全国45位。特に、さんむ医療センターが位置する山武長生夷隅医療圏は深刻な医師不足に悩まされてきた地域だ。一時期のマンパワーの大幅ダウンから、新たな強みを獲得するに至った篠原靖志院長の「決断」とは。

―要因の一つは2004年に始まった新医師臨床研修制度でしょうか。

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 研修制度の変更による影響は、この地域全体の医療体制に及びました。大学による医師の派遣が難しくなったことで、近隣の中小病院に勤務する内科医が減っていきました。

 患者さんたちが当院に集中するようになり、しだいに救急医療と外来の受け入れの両立が維持できなくなっていったのです。医師の業務量が増加した結果、2006年4月、10人の内科医が一斉に退職するという事態に見舞われました。

 当然ながら収益も落ち込み、県の支援などでなんとか持ちこたえていたものの、医師確保の見通しはなかなか立ちませんでした。

 そこで私は、あらためて内科医が足りないという状況を受け入れた上で「この地域に必要な医療とは何だろうか」と考えました。

 山武市から東京都内まではバスで1時間ほど。例えばがんの治療を都心部で受けたいと考える患者さんは非常に多いのです。

 ただ、その後、地域に戻って治療を続けたい、ここで人生をまっとうしたいと願っても、受け入れの体制が整った医療機関は限られているのが現状でした。

―どのような結論に。

 緩和ケアへの取り組みを始めることです。

 私自身は消化器外科を専門としてきましたので、急性期ではない医療は未知の分野。勉強を始め、看護師や薬剤師の協力も得て、院内に新たな取り組みを理解してもらえるよう努めました。

 また、地域での講演活動や他の医療機関向けの研修会などを通じて、当院が緩和ケアに力を入れていくことを発信しました。

 2013年に20床の緩和ケア病棟を開設。訪問看護による在宅でのサポートなど、年々実績を重ねてきました。2016年には、総合病院国保旭中央病院(旭市)とのグループ指定による「地域がん診療病院」にも承認されました。

 山武市には山や海を身近に感じられる、豊かな自然があります。訪問診療を終えて戻ってくる道すがら、見上げる空の星々は、何度眺めても美しい。

 そんな恵まれた環境で残された時間を過ごしてもらおうと、離れた地域に暮らす親を、当院に入院させたいと希望される方もいらっしゃいます。みなさんのさまざまな思いに寄り添える医療を届けていきたいと考えています。

―今後は。

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 緩和ケアへの取り組みをきっかけにして、多様な医療が地域にそろっていることが重要だと気づくことができました。

 病院が単独で機能を広げるだけでは実現することができません。医療機関や各種の施設がつながり、町全体が一つの病院となって患者さんを支える「コミュニティーホスピタル」の推進が欠かせないと思います。私たちは、その橋渡し役でありたい。

 およそ40万人の当医療圏の高齢化も進んでおり、併存疾患のある患者さんに対応できる総合的な診療能力をもつ医師の存在がますます求められます。

 プライマリ・ケアを特徴とする亀田ファミリークリニック館山(館山市)などをローテーションする「家庭医・病院総合診療医研修プログラム」も作成しました。若い医師たちを呼び込み、地域の魅力を知ってもらうチャンスとして期待しています。

 昨年8月に策定した基本構想に沿った新病院の建設計画も動き始め、今年度中に内容をまとめます。地域の中核病院としてさらなる安心を届けたいと思います。

地方独立行政法人 さんむ医療センター
千葉県山武市成東167
TEL:0475-82-2521(代表)
http://www.sanmu-mc.jp/


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