高まる地域での存在感 変化に合わせて次の進化へ
高度な急性期医療の提供と市民の健康寿命の延伸を両輪に、新病院として生まれ変わってから3年半。地域の発展に伴うニーズの多様化、医療インバウンドの展開など、行徳総合病院の役割は広がり続けている。
◎強みを明確に打ち出すセンター化を推進
ホテルを思わせる「特別室」。控室も用意し、要人の受け入れにも対応
全307床。「高齢者サポートセンター行徳」や「新行徳ロイヤル訪問看護ステーション」などを併設
救急センター。救急科専門医と各診療科医師が連携し、診療に当たる
旧江戸川沿いは「寺・神輿の町」として歴史を感じさせる趣。臨海部は大手企業の進出も目立ち、東京都心へのアクセスも良好なことから移り住む人も少なくない。千葉県市川市の行徳エリア周辺は、さらなる発展が期待されている。
1980年11月、行徳総合病院は東京メトロ東西線・行徳駅前に開院(当時の名称は新行徳病院)。患者数の増加に伴い診療科の新設、医療機器の導入などに取り組んできたが、物理的な制約などにより移転が決定。2015年3月、現在地に新病院が誕生した。
心機一転のスタートに当たって重視したキーワードは「高度医療」と「健康寿命の延伸」だった。
ICUの新設など、移転時に機能を強化。急性期医療を柱に「質の高い医療を受けたい」という地域の要望を受けとめる。
また、2次救急病院として24時間体制のER室(救急総合診療科・救急センター)を備え、予防医療、リハビリを経ての社会復帰まで一貫して担うことができる。そんな病院へのステップアップを図ったという。
力を入れてきた取り組みの一つが、さまざまな疾患に特化した「センター化」だ。「脳卒中センター」「脊椎疾患センター」など六つのセンターを開設した。
センター化は各科の連携による迅速で的確な医療の提供につながり、患者や地域の医療機関にとって「何を強みとする病院なのか」が分かりやすくなったという効果も生んだ。
近い将来、心臓血管外科の新設も視野に入れる。近年、同院では虚血性心疾患などの患者が増加。循環器内科のカテーテル検査・治療件数も伸びている。より体制を充実させ、幅広い心血管イベントに対応していく計画だ。
◎活動のフィールドはグローバルな領域にも
同院は「街と共にある病院」を掲げ積極的に地域との接点を増やしている。人間ドック、脳ドック、骨ドックと各種の検診に対応し、市民公開講座の開催や地域のスポーツ大会、イベントなどに看護師やセラピストを派遣。健康増進の啓発活動を展開している。
いわば「病院の文化祭」として5月に実施した「第4回行徳健康フェスタ」の来場者は4000人超。屋外広場での中学生によるブラスバンドの演奏など、大いににぎわった。
活動はグローバルな領域にも広がっている。行徳総合病院を運営するIМSグループは、国際メディカルサポート事業にも注力。海外からの人間ドック受診や治療の希望といった相談を受け、訪日外国人を対象とした医療ツーリズムを展開している。
行徳総合病院は、首都高速湾岸線のすぐそばにある。成田空港から車で約40分、羽田空港から約30分。さらに東京ディズニーリゾートまでは十数分と魅力的な立地だ。
病棟の最上階である11階にはベッドルームとリビングルームの2間で構成された特別室が2室ある。医療ツーリズムで来日した受診者は、通常、人間ドックのゴールドコース、プラチナコースの受診者が利用するこの部屋に宿泊する。
1室からは東京湾、もう1室からはスカイツリーを望むことができる。ベージュとブラウンを基調とした内装や設備は、ホテルを思わせる上質な空間だ。
今年6月、東京外かく環状道路の三郷南IC〜高谷JCT間が開通し、千葉の湾岸エリアと関東各地のアクセス性が向上。救急患者の搬送範囲が広がり、行徳総合病院の役割もますます重要度を増す。時代の変化に合わせた、次の進化が始まろうとしている。
IMS(イムス)グループ 医療法人財団明理会 行徳総合病院
千葉県市川市本行徳5525-2
TEL:047-395-1151(代表)
https://gyo-toku.jp/