先人がいて今がある100周年に決意新た
宮崎県西都市で外科、内科、形成外科などを掲げる大塚病院。開設から100年を迎えた。7月に就任した4代目、大塚康二朗理事長・院長は、100周年に何を思うのか。
―院長となって3カ月。抱負は。
8年前にこの病院に戻り、副院長を務めてきました。院長になったと言っても、実際は、これまでとさほど変化はありません。
院長だった父が会長となり、副院長だった私が院長に。変わったことといえば、会合などで私があいさつをする機会が増えたこと、父が、今までよりは少し休めるようになったことぐらいでしょうか。
私の専門分野は「形成外科・美容外科」です。一見華やかなイメージがあるかもしれません。でも、それは私の一つの側面に過ぎない。代々続いたこの病院のアットホームな雰囲気を守っていくつもりです。
これまでこの病院に通ってきてくれていた患者さんが、安心して通院を続けてくださる、そんな地域密着型の病院であり続けたいと思っています。
職員には月1回、朝礼で話をします。自分が思う医療に対するスタンスや方針を伝えることはありますが、「こうしなさい」と指導することはありませんね。
職員の方がいないと病院が機能しないことは明白です。副院長時代からの「職員になるべく寄り添う」スタンスは変えようと思わない。小さな問題提起や要望であってもよく聞いて、改善策を提示、実行していこうと思います。
―専門の形成外科・美容外科診療について聞かせてください。
大学を卒業後、昭和大学形成外科に入局し、全国にある関連病院で研修。2010年、大塚病院に戻った際に、形成外科・美容外科を開設しました。
形成外科は、現状、常勤の麻酔科専門医がいないため、勤務医だったころのような全身麻酔での緊急手術はできませんが、局所麻酔で可能な範囲であれば、すべて対応しています。
外傷なら開放骨折や神経損傷、腱損傷。熱傷や顔面骨折、褥瘡(じょくそう)の患者さんも受け入れます。「形成外科全般ができる」というのが、一つの特徴です。
当院の隣には、系列の大塚皮膚科医院があり、母が診療しています。皮膚科の疾患で形成外科を受診する患者さんも、その逆もいる。同じ法人なので、相互の紹介もスムーズです。
―開設100周年に対する思いを。
ここは曽祖父がつくった病院です。私は、医師になってから初めて、大塚病院の歴史について考えるようになりました。
私は、父がこの病院に戻った時、4歳。そのころから、曽祖父が94歳で亡くなる小学4年生まで、曽祖父と一緒に暮らしました。当時まだ赤ちゃんだった弟を除く、きょうだい3人が、毎晩交代で曽祖父の部屋に、就寝のあいさつに行っていました。
たまたま、曽祖父が亡くなった夜は、私の順番でした。現役だった曽祖父は病院での診療を終えて帰宅し、晩御飯を食べて、私に「おやすみ」と言って、そして翌朝には亡くなっていた。その日の情景を、私は今も覚えています。
救急や看取(みと)りのために夜でも病院に出ていき、亡くなる直前まで患者さんに向かう。こういう覚悟ある医者がいることが、病院が長く続く秘訣だろうと思うのです。
ただひたすら仕事をすることが美徳だとは思いませんが、初代も2代目も亡くなる直前まで医師であり続けましたし、3代目の父もそのつもりでしょう。私もそういう道をたどるだろうと思った時、脈々としたものを感じるのです。先人があって今のこの病院があることを意識し、「がんばらなければ」と、思いを新たにしています。
医療法人社団大和会 大塚病院
宮崎県西都市御舟町2-45
TEL:0983-43-0016(代表)
http://www.otsuka.or.jp/