【対談】黒木クリニック 黒木 祥司 院長|中村学園大学栄養クリニック 中野 修治 院長

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乳がんのリスクを下げる栄養や食事の指導

【くろき・しょうじ】 1978 九州大学医学部卒業 同第一外科入局 1980 広島大学医学部総合薬科学科薬効解析学教室 1984 米べスイスラエル病院留学 1987 千早病院外科 1989 九州大学医学部第一外科助手 1997 同講師 2007 黒木クリニック院長
【なかの・しゅうじ】 1974 九州大学医学部卒業 同第一内科入局 1978 米ジョンズホプキンス大学留学 2002 九州大学大学院病態修復内科助教授 2007 中村学園大学栄養科学部教授 2008 同大学院研究科長 同栄養クリニック院長兼任 2014 同栄養科学部長 2018 同大学院研究科長

 長期の再発リスクを抱える乳がんの患者に対し、栄養や食事面の指導を行い支えている全国でも類を見ない二つのクリニックが福岡にある。乳がんの患者にとって、栄養や食事面がなぜ重要なのか、何を指導するべきなのか。2人の院長がそれぞれの想いを語った。

診療だけでは限界がある 正しい情報伝えたい

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―栄養や食事の指導をするクリニックとは、どのようなものでしょうか。

中野修治院長(以下敬称略) 中村学園大学栄養クリニックは大学構内にあり、全国でも珍しい管理栄養士による栄養指導を主体とした保険診療のクリニックです。生活習慣病の予防は栄養指導から、という発想のもと、前任者がアイデアを出し、具体的には私が赴任して立ち上げました。大学の授業や研究の一環という役割が大きいですね。

黒木祥司院長(以下敬称略) 私のクリニックは、乳腺・甲状腺専門で、検診から診断、手術、抗がん剤、ホルモン剤治療、在宅から看取りまで行うことを目指して開業しました。「乳がんの患者さんのために、おいしくて体にいいものを提供したい」とカフェも併設しています。

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中野 診療だけでは限界がありますからね。私のクリニックでは、私がまず診療をして、その後、管理栄養士が指導を行い、1時間かけて一人の患者さんを診ています。

黒木 私も診療だけでは時間が足りないので、カフェで野菜の栄養についてや料理方法などの情報を提供しています。カフェの料理に使う野菜も安全安心なものを作りたくて、畑を借りて、夫婦2人で無農薬で作っています(笑)。

中野 すごいですね!今の若い日本人は野菜の摂取が少なく、1日の必要量にまだ100g足りないと言われています。そのように食事が乱れて20年、30年たってから、がんが出てくるのだと考えられています。

黒木 実際に、乳がんの患者さんは年々増加しています。野菜を食べていれば乳がんにならないわけではないのですが、乳がんになる確率は下がります。

中野 疫学的に、野菜を食べると乳がんのリスクが下がることがわかっています。ホルモン依存性乳がん以外、例えば、HER2陽性やトリプルネガティブといった治療が難しいがんのほうが、リスクを下げると言われています。

乳がん患者は20年以上、長く見守る必要がある

―治療期間中、栄養や食事、生活スタイルなどについて気をつけるべきことはありますか。

黒木 糖尿病などの生活習慣病は、乳がんのリスク因子ですし、再発もしやすくなります。併発しないよう注意が必要です。

中野 肥満もリスクです。しかし、治療中は体重を維持して、回復してから適正体重に戻すのがいいですね。無理にカロリー制限をすると免疫力が落ちて、抗がん剤の副作用も出やすくなります。

 栄養面で言えば、野菜はもちろん、乳製品もいいのではないかと言われています。大豆イソフラボンはエビデンスが蓄積しつつあります。閉経前の乳がんは大豆イソフラボンをたくさんとってもエストロゲンと競合するのでいいのですが、閉経後は乳がんの促進に働くので控えたほうがいいと思います。

黒木 食事で摂取する量の大豆イソフラボンは乳がんを抑制すると言われています。ただ、サプリメントで大量に摂取すると何が起こるかわかりません。普通の食生活で取る量なら大丈夫です。

 今はインターネットなどでいろいろな情報が飛び交っていますが、標準治療が科学的に一番正しい治療です。わからないことがあるならドクターと相談してほしいですね。

―治療と合わせて栄養や食事の指導ができる医師が必要でしょうか。

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黒木クリニック

中野 ただ、医師は意外と理解できていないんです。私も今の職場に移るまで、わかっていませんでした。黒木先生のような先生は少ないと思いますよ。

黒木 私も外科医ですから、かつては手術をするのが仕事でした。ただ、経験を積むうちに、治療のほかにもできることがあるのではないかと思うようになったのです。

中野

 医学部の学生に、患者への栄養や食事の指導について話すと驚きますよ。大学では栄養学の講義はありませんから。

黒木 乳がんは5年、10年生存率は高いけれど、20年たって再発することがあります。長く診るというのは大病院では大変ですから、そのような患者さんを私のクリニックでは受け入れています。

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中村学園大学栄養クリニック

中野 乳がんは他のがんと比べて、長く診ていく必要がありますね。私は、乳がんは幹細胞がありニッチに潜んでいて、なにかをきっかけに顔を出すと考えています。これは抗がん剤も効きません。そこで、ファイトケミカル(植物由来の化学成分)が有効ではないかと、研究を始めています。これからも続けていきたいですね。

黒木 乳がん患者の会「あけぼの会」のイベントを、私のカフェで開催しています。2階には茶室もあり、お茶会や写経、乳がんヨガ教室も開催しています。診療だけでなく、患者さん同士の情報交換の場を提供したり、食事や栄養の正しい情報を提供することで、喜んでくれる患者さんがいらっしゃるのなら、これからも役に立ちたいと思います。

黒木クリニック
福岡市東区箱崎1-3-6
TEL:092-631-2311 
http://kuroki-clinic.com/

中村学園大学栄養クリニック
福岡市城南区別府5-7-1
TEL:092-851-2869
http://www.nakamura-u.ac.jp/research/clinic/


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