"医療界の梁山泊"はいかにして実現したか
心臓内科、心臓血管外科を合わせた症例数は国内トップクラス。各地から年間およそ4万人が受診に訪れる。日本の心臓疾患領域の第一線にいる多くの医師たちが、ここ新東京病院で活躍してきた。「梁山泊を目指す」という創設の理念は現実のものとなり、今もなお発展を続けている。
―今年、開設50周年。心臓疾患部門が特徴です。
創設者の平野勉理事長が1968年、「東京外科内科病院」として開設しました。目指したのは「医療界の梁山泊」。高い志をもつ、真に優れた医療者が集う病院をつくりたいという将来像を描いていました。
1991年の移転、そして「新東京病院」への改称を機に、理事長はかねてからの構想だった心臓外科部門を開設しました。
初代の心臓血管部長を務めたのは、日本初のバチスタ手術を実施した実績などで知られる須磨久善先生です。当時は、まだ心臓を専門とする病院が数少なかったこともあり、患者数は増加し続けました。
その後も、天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した順天堂大学心臓血管外科教授で順天堂医院院長の天野篤先生らが当院に勤務。意欲ある医師たちを引きつける病院へと成長し、存分に力を発揮することで、実績を重ねていきました。
私自身も1999年に循環器科部長として当院に来ることになったのは、天野先生から声をかけていただいたことがきっかけでした。院長に就任した2013年以降は、より強い決意で創設の思いを受け継いでいくことに力を注いでいます。
近年の転機の一つは、2012年に現在地の和名ケ谷へ移転したことだと思います。心臓疾患で当院にお越しになる患者さんは、年間およそ4万人に上ります。多くの方に合併症があるため、他の診療科を充実させることで「全身を診る」体制を整えました。
手術や入院機能は当院、外来機能は、JR松戸駅から徒歩5分の旧病院の跡地に開設した新東京ハートクリニック、新東京クリニックで受け入れています。
―現状はいかがですか。
「外科のエース」と目される岡部寛先生、松本寛先生、本田五郎先生が、今年7月から10月にかけて、消化器外科に着任。
また、脳神経外科や整形外科、頭頸部外科、眼科といった診療科すべてに、将来を嘱望される精鋭たちがそろっていると自負しています。当院の強みをさらに伸ばしてくれるに違いありません。
新病棟の建設プロジェクトも進めています。現在、当院は396床で運用していますが、近年の患者数の増加を考えると、まだまだ拡充が必要だと感じています。まずは40床を整備し、5年以内を目標として、次の増床を実現したいと考えています。
―育成面で大切にしているのはどのようなことでしょうか。
私たち医療者の最大の使命は、目の前にいる患者さんを助けることです。そのために忘れてはならないのは、研究心をもって日々の診療に臨み、「医学の進歩に貢献していく」という意識をもっておくことではないでしょうか。
うれしいことに治療成績の伸びとともに、ここ10年間で当院の医師の国内外への留学、年間30本を超える英語での論文発表など、目覚ましい成果を上げるようになりました。
私としてもたびたび海外へ渡り、韓国、インドネシアなど、七つの国の大学でカテーテル治療の技術指導などに取り組んでいます。
新東京病院の理念は「患者の痛みは自分の痛み」。患者さんは、ご自身の命を私たちに預けてくれています。ですから、われわれも相応の覚悟をもって、患者さんと向き合うことが大切だと思うのです。
知恵と技術を磨くための努力を怠らない姿勢が、当院を支えている強みだと確信しています。
医療法人社団誠馨会 新東京病院
千葉県松戸市和名ケ谷1271
TEL:047-711-8700(代表)
http://www.shin-tokyohospital.or.jp/