順調に"3期計画"進行中 2年後に新しい姿へ
「くまそう」として地域に親しまれてきた熊谷総合病院の運営を2016年に引き継いだのは、北海道帯広市を拠点に病院や介護施設などを運営する社会医療法人北斗。今年7月の「PET総合検診棟」オープンなど、思い描く病院の姿に着々と近づいている。
―「北斗」として初めての道外進出。現状は。
熊谷総合病院は1945年に開院。地域の中核病院の役割を担ってきました。変化が激しい近年の医療情勢の中、苦しい状況が続いていたことで、2016年5月、JA埼玉県厚生連(埼玉県厚生農業組合連合会)から当法人が事業を承継しました。
この2年余り、長い病院の歴史や地域で果たすべき責任の重さをひしひしと感じてきました。旧病院が柱としてきた診療科は内科、外科、整形外科。そこに、私たち北斗が強みとしている脳神経外科や循環器内科といった領域をプラスすることで、新しい熊谷総合病院の医療を確立したいと考えました。
脳神経外科では、24時間体制で救急患者の受け入れに対応しています。また「てんかんセンター」を開設し、森野道晴名誉院長が中心となり外科治療も積極的に実施しています。
心臓と血管に関わる疾患を専門とする「ハートセンター(循環器内科)」では診療科専用の手術室を新設。心臓カテーテル検査、経皮的冠動脈形成術などに取り組んでいます。
1.5テスラに加えて3テスラMRIを導入したほか、今年7月からMEG(脳磁図)検査が開始。高度な診断に基づき治療できる環境が整いました。実はこれまで、市外へ搬送される患者さんが少なくなかったのです。当院が中心となって、「地域で完結できる医療」を構築したいと考えています。
―7月に「PET総合検診棟(総合健診センター)」での健康診断、各種ドックの受け入れが開始。
当院のハード面の整備を「3期計画」で進める予定です。その最初のプロジェクトが、この「PET総合検診棟」です。
当院が位置する埼玉県北部は、健診施設がまだまだ不足しているのが現状です。予防医療と早期治療の底上げを図るのも、地域における私たちの役割だと捉えています。
がんドックでは「デジタルPET-CT」を使用しています。埼玉県では初めての導入施設です。そのほか、脳ドック、肺ドックなどのメニューをそろえています。
がんの治療実績についても伸びており、例えば放射線科では、7月に高精度放射線治療装置トモセラピーによる「IMRT(強度変調放射線治療)」をスタートしました。IMRTへのニーズは高く、8月までに照射した回数は200回を超えました。
2期工事として新病棟の建設を進めています。建て増しを重ねてきた建物は玄関から外来までの距離がやや離れているなど、構造的にも現在の医療に対応するのが難しいのです。新病棟のオープンは、2019年4月を目指しています。
3期工事では玄関棟の建設や旧病棟の解体、敷地内の各所の整備などを進めます。およそ2年後には、「生まれ変わったくまそう」の姿を、地域のみなさんにお見せできると思います。
―病院として何を発信していくことが大事だと思われますか。
当院が、地域にどんな医療を提供し、貢献していくことができるのか。それをしっかり伝えていくための努力を怠ってはいけないと思っています。
地道に講演などで当院の機能や考えを発信した結果、総合健診センターオープン前の内覧会の来場者は1000人を超えました。また、当院の「がん検診コース」は、熊谷市のふるさと納税の返礼品の一つです。
「魅力的な病院」として認めてもらえるよう、さまざまな側面から取り組みを進めたいと思います。
医療法人熊谷総合病院
埼玉県熊谷市中西4-5-1
TEL:048-521-0065(代表)
http://www.kumasou.or.jp/