安心して暮らせる そんな街を医療で実現
生活協同組合ヘルスコープおおさかの拠点医療機関として、大阪市鶴見区・城東区を中心に地域密着医療を展開。4月、新院長が誕生した。
―勤務21年目の院長就任ですね。
初期研修を終えた後、当院の前身である「うえに病院」に入職。消化器内科医として勤務してきました。
当院は現在、急性期病棟と地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟を擁し、一次救急とサブアキュート、ポストアキュートを担う病院です。リハビリスタッフが豊富で、入院から在宅、看取(みと)りまでの連続性が強み。今後は、一層、この地域に根ざした病院になっていきたいと思っています。
―取り組んでいくことは。
今後さらに高齢化が進みます。高齢者がこの地域で安心して暮らせる。そんな医療を展開していきます。
経済的な問題で医療機関を受診できず、手遅れになる事例が多く見られます。当院では個室の差額ベッド料をいただいていませんし、無料低額診療事業にも取り組んでいます。経済的な問題があっても来院できる病院であり続けたいと思います。
同時にかかりつけの患者さんの経済状態や社会的な背景をもう少し掘り起こして把握できるような外来をつくっていきたいと思っています。電子カルテの内訳を変更したり、スタッフの訓練をしたりといった、2方向でのアプローチを考えています。
体調が悪いけれども、どこの医療機関にもかかっていない。そういった方を組合員が地域で見つけ出し、当院に紹介してくださることもあります。
多くの組合員の出資金で成り立っているという側面だけでなく、地域の健康づくりという面でも、組合員の主体的な活動に支えられています。さまざまな事情で病院を受診できずにいる方と医療をつなぐために、組合員と協力して取り組んでいくことも大事だと思います。
開業医の先生や法人以外の介護サービスの方とのつながりを強め、「開かれた病院」になっていきたいとも考えています。先日も地域の開業医の方々や介護施設の方をお招きし、事例検討会を開催しました。情報を共有し、改善していくことで連携を深めていきたいと思います。
高齢者は複数の疾患が並存することも多い。総合内科的な診療力向上も欠かせないことです。ヘルスプロモーションホスピタル(HPH)の認定も受ける予定です。検診事業にも力を注ぎ、地域の皆さんの健康増進に貢献したいですね。
―病院実習の受け入れも長年続けていますね。
最近増えているのは、中学生や高校生の体験です。医師や看護師、薬剤師を志望している子が多く、「1日看護師体験」には毎回30〜40人お見えになります。全員が医療職になるとは限らないけれど、医療の現場を知ることで、「社会貢献」の視点を持ってもらえたらうれしいですね。
ここ数年、毎年来ていただいているのは、関西医科大学の学生たち。大学のカリキュラムの一環です。そのほかの医学部生の実習は年間10〜20人くらい。1日でも1週間でも、希望に合わせて受け入れるようにしています。
ここは、大きな病院ではありません。でも、ここでしか見てもらえない医療があるはずです。
在宅往診に行っている患者さんのところに同行してもらう。入院している患者さんの診察に医師と一緒に行った後、じっくり時間をかけて患者さんと話をしてもらう。外来に入っている看護師に付き添って役割を知ってもらう...。
医師だけで診療している訳でなく、多くのスタッフがいて初めて医療が成り立っているという「当たり前のこと」を伝えたいと思っています。
生活協同組合ヘルスコープおおさかコープおおさか病院
大阪市鶴見区鶴見3-6-22
TEL:06-6914-1100(代表)
http://www.osh.coop/pub/