ATLに対するANK免疫細胞療法の論文が海外誌に掲載される

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 患者体内のNK細胞を体外に採りだして培養し、増強してから体内に戻すANK免疫細胞療法の著効例を報告する論文(※)がスイス、バーゼルにある電子版学術論文誌MDPI(査読あり)に8月14日付で掲載されました。この治療の普及を目的に創業されたリンパ球バンク株式会社代表藤井真則氏にお話をうかがいました。

―ANK療法に関する査読のある論文が掲載されましたね。

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ANK治療のイメージ

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血液5~8ℓを体外循環させNK細胞を含むリンパ球を分離採取する「リンパ球分離採取機」

 実際に治療された医師と細胞培養を受託された医師お二人、ご協力を頂いた大学の研究者の方々が症例報告として論文投稿されたものです。

―ATLというのは治療が難しいですよね。

 日本血液学会のガイドラインによると最近ではアグレッシブATL(特に進行が早いタイプ)の余命中央値が13カ月、進行が遅いタイプも結局は急性転化し、急性転化後の平均余命中央値が1年、急性転化前には治療は行わないコンセンサスがあるとしています。

―どのような治療効果がみられたのでしょうか。

 症状の進退を繰り返す「くすぶり型」と診断された患者さんの病状が急変し、急性期に移行されました。腫瘍マーカーが急激に増加し、異常細胞率(リンパ球に占めるATL細胞の比率)が27%に達していました。

 ANK療法を受けられ腫瘍マーカーが低下して落ち着き、さまざまな皮膚症状も消え、ATLに伴う高血圧や他の異常値も正常範囲に入ったので退院され、ご自宅で日常生活を送られるようになりました。

 ATLではない疾病でお亡くなりになられるまで、治療終了後から数えて5年以上を特に症状もなく過ごされました。急性転化後は他の治療は受けられていません。

―昨年の国際学会では他にも長期生存の方々がいらっしゃると発表されていましたが。

 長期生存4名様については今回の論文で他に4例の成功例ありとしていますが、それ以外はどうしても高齢の方が多いので他の疾病等で早くお亡くなりになられたり、症状が進行し過ぎて培養が間に合わなかったり、徹底した抗がん剤投与を受けられた後からANK療法を受けられたために体力等の問題で高熱がでるANK療法を集中的に実施できなかったなどで、残念な結果に終わられる方もいらっしゃいます。

 「急性期に入る前のくすぶり段階で治療を受けられるのが望ましい」と治療された医師はおっしゃっています。

―ANK療法は他の種類のがんも治療対象ですが、なぜATLの症例が論文発表されたのですか。

 標準治療が確立していないため社会的要請も強く、またANK療法単独の効果であることを示しやすいということもあります。固形がんと違い血液中にがん細胞がいますので、血液検査だけで随時確定診断ができます。固形がんよりはるかに治療効果を判定するデータを取りやすく明確なエビデンスになりやすいわけです。

―逆に培養器に混入したがん細胞が培養によって増えてしまいますよね。

 ATLはリンパ球ががん化したものなので、一般にリンパ球を培養する環境下では急激に増殖します。これを培養中にNK細胞が排除しないと治療に使えないわけですが、培養中にATL細胞が消滅することを確認しています。

―保険適用になる見通しはあるのでしょうか。

 未承認医療として自由診療で実施され、固形がんの標準量治療12回の点滴を1クールとしておよそ400万円を超える費用がかかります。ATLの場合は半量点滴が基本で点滴1回当たりの単価はおよそ半額になりますが。

 保険適用になるためには承認申請を行う必要があり、その費用は一般の方どころか臨床現場の医師でも想像できないほど巨額になります。

 私の使命は資金力のある大企業と提携して承認申請をかけてもらうことです。ただし米国で承認を取得した免疫細胞療法の薬価は点滴1回で5千万円、附帯費用がおよそ1億円です。

 原価以上に承認申請費用の回収が大変で、そこに利益を乗せるとこういう値段になってしまいます。承認申請費用を徹底して抑える工夫をしないと保険適用になっても本人負担分が自由診療より高くなってしまいます。

※論文タイトル:Successful Amplified-Natural-Killer Cel(l ANK)Therapy Administered to a Patient with Smoldering Adult T-Cell Leukemia in Acute Crisis(Published 14 August 2018 by MDPI)


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