大分大学医学部神経内科学講座 松原 悦朗 教授

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認知症の根治を目指す 最先端の治療法と診断法

【まつばら・えつろう】 1985 旭川医科大学医学部卒業 1992 米ニューヨーク大学医療センター病理学講座研究員 2005 国立長寿医療センターアルツハイマー病研究部疾病制御研究室長 2008 弘前大学大学院医学研究科脳神経内科講座准教授 2013 大分大学医学部神経内科学講座教授

 2025年には高齢者の5人に1人がなると言われている認知症。国民の誰もがかかる可能性がある今、認知症治療の最前線ではどのような研究がなされているのか。国際的なアルツハイマー研究グループ「DIAN-Japan」のメンバーでもある大分大学の松原悦朗教授に、大学での取り組みと現状について聞いた。

―認知症疾患の現状を。

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 現在、国内の認知症患者の数は400万〜500万人いると言われていて、予備群を含めるとその倍だと予測されています。2012年の段階で高齢者の7人に1人発症していた割合が、2025年には5人に1人に増える。国民病と言っても過言ではありません。

 アルツハイマー型認知症は発症の25年前から始まっていると考えられている。もし25年前に兆候をつかみ、治療を開始できれば患者数の抑制に効果があります。医療費の削減にもつながるでしょう。認知症を根治する方法がない今は、リスクを早期に発見して回避することが何よりも大切です。

―松原教授もメンバーである認知症先端医療推進センターの取り組みについて。

 この認知症先端医療推進センターは、認知症の治療薬や予防法、診断法などを研究する大分大学の組織です。まだ達成できていない認知症の治療薬の開発を進めています。

 私たちが開発した治療薬は、すでにヨーロッパでの治験の第Ⅰ相が終わり、副作用がないことが実証されました。今後は、さらに臨床応用に向けた治験が進んでいくことになります。

―大分県臼杵市で認知症の診断法も研究していると聞きました。

 まったく新しい診断方法を開発するため、臼杵市内で検証に取り組んでいます。

 市の65歳から85歳までの人を対象にリストバンド型の機器を装着してもらい、1日の運動量や身体の状況、会話している時間などの活動量を計測しました。生活の何が認知症にとっての危険因子になるのか、防御因子になるのかといったことを調べています。

 というのも、「認知症になる可能性がある」という状態を的確に診断する方法は今までなかったのです。認知症の進行を遅らせる薬はあるので、より早く治療を開始できれば、生活の質(QOL)を高めることができます。その診断法を見つけることが急務でした。危険因子を発見できれば早期に認知症を予防できると考えています。

 これまでの検証結果から、地域とのつながりが少なければ、認知症になりやすいこと、運動量が関わることが分かってきました。

 しかも農村部より都市部の高齢者の方が運動量は多かったのです。移動に車を使う農村部や郊外の高齢者に比べ、公共交通機関を利用する都市部の高齢者は乗り場まで歩いていました。ここが運動量の違いです。

 見いだした防御因子まで含めた結果は、来年度、論文で発表する予定です。

―認知症患者のために、今できることは何でしょうか。

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 患者さん自身が認知症外来に来ることはほとんどありません。何かできなくなった場合、そのことを隠してしまうのです。

 治療を始めるには患者さんの細かい変化に気付ける家族の目が必要です。「何かおかしいな」と思ったらすぐに一緒に受診してほしい。認知症になった方やサポートをしていく家族にとっては今の生活を維持するためにも、一刻も早く治療を開始することが大切です。

 高齢者の単独世帯は増えています。人知れず発症してしまうこともあるでしょう。周囲の方が認知症への正しい知識を持っていれば「いつもと様子が少し違う」と気が付く可能性が高くなります。

 治療薬が認可され、みなさんの手元に届くようになるには、少なくともあと10年はかかります。今できる広報活動や啓発活動にも積極的に取り組んでいきます。

大分大学医学部神経内科学講座
大分県由布市挾間町医大ケ丘1-1
TEL:097-549-4411(代表)
http://www.med.oita-u.ac.jp/naika3/


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