熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器内科学分野 坂上 拓郎 教授

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臨床のための研究 好奇心の芽を育てたい

【さかがみ・たくろう】 1997 新潟大学医学部卒業 2004 同大学院医歯学総合研究科修了 2005 新潟市民病院 2007 米シンシナティ小児病院医療センター留学 2010 新潟大学医歯学総合病院 2018 熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器内科学分野教授

 今年6月、熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器内科学分野教授に就任。坂上拓郎教授は「臨床から研究へ」を大切に、教室運営を始めている。

―就任から3カ月。抱負と意気込みを聞かせてください。

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 当教室は、今までに優れた臨床力を持った医師が育っています。加えて、私は「臨床に軸足を置き、生じた疑問を研究で解決する」という、さらに一歩踏み出せる教室でありたいと思っています。

 着任後、「私たちは『フィジシャン・サイエンティスト(研究者であり医師)』なのだ」ということを、医局員たちに伝え続けています。研究はそもそも、医療つまり患者さんの疾患を治すためのものです。ですから、研究と臨床を常にリンクさせられる医師であってほしいというのが願い。県内唯一の医学研究機関である熊本大学医学部の医師であるわれわれに課せられた使命だと思っています。

 一方で、患者さんは実際に、今、病気と向き合っている人でもあります。それぞれの患者さんが目指す「ゴール」に向けて治療を進めていくことも重要です。研究した結果を臨床に応用する。そこで得られた成果などを再び研究にフィードバックする。「ベンチ・トゥー・ベッドサイド」を合言葉に科学と医療の橋渡し役になっていきたいと思います。

 臨床の現場での発見を研究につなげていくためには、ひらめきが必要です。では、ひらめきを鍛えるにはどうしたら良いか。それは知識を蓄えることです。座学と臨床、両方の場をバランス良く設け、得た知識を実地で応用できる人材を育てます。

―これまで、どのような研究をされていたのですか。

 抗サイトカイン自己抗体の研究を進めています。この抗体がサイトカインという細胞同士の情報伝達に大切なタンパク質の働きをなくすことにより疾患を発症します。そのひとつが肺胞蛋白症です。肺の中に過剰なタンパク質や脂質が蓄積し呼吸がうまくできなくなる疾患です。これはGM-CSFというサイトカインに対しての自己抗体ができて発症します。

 またIFN-γというサイトカインに対する自己抗体の研究も進めています。非結核性抗酸菌症が重症化する例の中にこの自己抗体をもつ方がいます。私は新潟大学時代にこの自己抗体の評価法を確立。今でも日本中から測定のための検体が送られてきます。

 臨床中心の医師も、一度は研究の場に身を置いてみるべきです。私は30代でアメリカに留学しました。自分が疑問に思ったことを突き詰められることが楽しかったですね。うれしいことに、私の経験談を聞いてアメリカで研究を続けている後進もいます。

 若いうちは好奇心の芽を育てる期間です。特に学生には受け身になりがちな座学でも、何かに興味を持ってほしい。講義の最後の時間にその日の内容を振り返るクイズをする、スライドがわかりやすくなるよう図を入れる、留学体験を話すなど、工夫しています。

―医局員に期待することはなんでしょう。

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 臨床に軸足を置きながら、それぞれが目指す呼吸器の専門的な医療も追究してほしい。医局員一人ひとりが自分自身の専門性を磨き、後進を育てていってくれたら、それを見て、新たな仲間がまた入ってきてくれるでしょう。

 一生懸命、患者さんの診療をしていれば、「なぜだろう」という疑問がわく。興味を持ってデータをとっていけば、研究につながり、患者さんに還元できる日がくるかもしれません。

  仲間が増えれば研究のテーマが広がったり、新たな視点が加わったりする。注げる時間も変わってくるでしょう。その流れが、地域医療にとっても良い結果を生むと思っています。

熊本大学大学院生命科学研究部呼吸器内科学分野
熊本市中央区本荘1-1-1
TEL:096-344-2111(代表)
http://kumamoto-respir.com/


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