香川大学医学部整形外科 真柴 賛 准教授

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組織はうそをつかない 骨粗鬆症治療に希望を

【ましば・たすく】 1991 香川医科大学医学部(現:香川大学医学部)卒業 同整形外科大学院生兼研修医 1995 香川医科大学整形外科医員 1998 米インディアナ大学解剖学博士研究員 2001 香川医科大学整形外科助手 2002 同講師 2014 香川大学医学部整形外科准教授

 高齢化に伴い増加の一途をたどる骨粗鬆(しょう)症。患者数は1300万人以上と推計される。骨粗鬆症の根幹となる骨組織に着目し、長年研究を続ける中で得た見解とは。

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―骨粗鬆症の増加が問題になっています。

 ロコモティブシンドロームの原因であり、高齢者のQOL低下を招く代表的疾患。その対策は医療だけでなく、社会的にも重要です。

 日本整形外科学会もこの20年ほどで変わりました。1980年代に骨密度測定が可能となり、90年代に骨密度を上げようという機運が高まりました。さらに、2000年ごろからは骨の質を問う方向にシフトしています。

 問題は、骨粗鬆症を治療中の患者が他の先進国に比べて少ないこと。全体の10%以下でしょう。そもそも軽度なら病院に来ない。ひどくなったり折れたりしてから来るので、治療が遅れることが多いのです。

 リスクは男性より女性が高い。本来なら、婦人科でのスクリーニングが有効です。私は膝関節を手術する患者さんにこれらの検査を行っていますが、骨粗鬆症の診断がつくことは多々あります。

―治療法は。また、研究をどう生かしていますか。

 骨は、吸収されると同時に形成される新陳代謝を繰り返しています。「骨のリモデリング」です。しかし高齢になると吸収が増えて骨の再構築バランスが崩れ、骨量が減少してもろくなる。これが骨粗鬆症です。

 そこで「ビスホスホネート」という薬剤を使って吸収を抑え、骨を硬くするのが一般的な治療法です。しかし、落とし穴もある。その因果関係を、骨の組織に着目して研究してきました。企業の動物実験で薬剤投与された犬やサルの骨を使い、構造や代謝を調べ、多角的に観察。その変化をより安全な治療につなげています。

 ビスホスホネートはコーティング剤のようなもので、骨に沈着しやすい性質がある。ほかにデノスマブという非常に強力な薬もあります。これらは骨吸収を無理やり止めるので、長く使うと代謝が抑制され、骨の劣化につながることもあります。その弊害の一つが、大腿骨非定型骨折。体で一番強い骨なのに、ちょっと転倒しただけで折れてしまう。

 発症は多くて1000人に1〜2人のレベルですので、もちろん恩恵の方が大きい。しかし、漫然と長期投与するのではなく、休薬あるいは薬剤スイッチなどの考慮が必要なのです。

 反対に、骨を作ってくれる骨形成促進剤もあります。一種の副腎性ホルモンですが、一生のうち2年間しか使えないという縛りがある。しかし実は繰り返し使っても問題はなく、吸収抑制剤とセットで代謝をコントロールできれば、骨量を増やしつつ質も損なわない治療ができます。長期投与しても問題ないと証明するには費用がかかるのでハードルは高いでしょうが、実現は心からの希望です。

 組織を観察すると、さまざまなことが見えてきます。研究自体は古いスタイルかもしれませんが、そこに発見がある。組織は正直です。見た目がシンプルで分かりやすいのも好きですね。

―展望は。

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 本来、骨はしなやか。子どもの骨は竹のように折れます。しかし、お年寄りの場合はガラスのようにバリンと割れる。しかも骨折は連鎖します。骨粗鬆症になる前から治療できれば一番いい。ですから、いかに治療の網にかける人を増やすか。それにはまず検診です。骨密度を測ることで、早期に見つけて食い止めることができればと思います。

 骨粗鬆症は、プライマリ・ケアを担う開業医が治療する場合がほとんどです。大学病院を含め、本格的な治療をする施設は少ないでしょう。本学に送られてくる患者さんは、若いのによく骨が折れる、大腿骨非定型骨折など重篤なケース。しっかりと治療しつつ、予防も含めた啓発活動にも取り組みたいですね。

香川大学医学部整形外科
香川県木田郡三木町池戸1750-1
TEL:087-898-5111(代表)
http://www.kms.ac.jp/~orthop/


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