長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学 前村 浩二 教授

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"植込型LVAD"が広がっていくためには?

【まえむら・こうじ】 1986 東京大学医学部卒業 1996 同第三内科助手 米ハーバード大学研究員 2001 東京大学医学部附属病院循環器内科助手 2005 同病院講師 2008 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科学教授 2009 長崎大学病院副院長(兼任)

 重症心不全患者が心臓移植を受けるまでの期間、心機能をサポートするために用いられる左室補助人工心臓「LVAD(エルバド)」。ニーズが高まる中、循環器内科学の前村浩二教授に、その最前線を語ってもらった。

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―LVADについて教えてください。

 血液循環のためのポンプ機能を補う左室補助人工心臓「LVAD(Left Ventricular Assist Device)」には体外設置型(体外式)と植込型があります。当院ではこれまでに16例の治療実績があり、うち9例が植込型。2012年に「植込型補助人工心臓実施施設」の認定を受けました。

 LVADの対象となる疾患は拡張型心筋症や拡張相肥大型心筋症、虚血性心筋症などの重症心不全です。心機能の低下によって、集中治療を要する入院を繰り返さなければならない。そうした患者さんの選択肢の一つです。

 当院では2005年に体外式LVADを導入しました。体外式は慎重な機器の管理が必要なため、自宅では使用することができません。入院治療が長期にわたることもあって、その間、患者さんのメンタルをしっかりとケアするための体制も求められます。

 ポンプ本体を体内に植え込む植込型の場合、手術後は普段どおりの生活を送ることができます。当院で植込型の手術を受けた患者さんたちは、LVADを装着しながら仕事や家事などの日常生活を送っています。当院への通院は月に1回程度。ストレスを軽減し、QOLの向上に大きく貢献していると思います。

―では、植込型がどんどん増えているのでしょうか。

 植込型LVADにも一つ問題があります。適応が「心臓移植を前提とした患者さんのみ」という点です。

 1997年10月に「臓器移植法」が施行され、心停止に加え、脳死後の臓器提供も可能となりました。重症心不全に対する根本的な治療法は心臓移植です。

 しかし、日本で実施されている心臓移植の件数は年間50例ほどで、欧米諸国と比較して少ないのが現状です。移植までの待機期間もおよそ3〜4年に及ぶなど非常に長い。これは、ドナー(臓器提供者)の圧倒的な不足が要因です。

 患者さんが心臓移植を受ける条件は、入院施設で十分な治療をした上で、移植が不可欠と判断された場合です。全国に11カ所ある心臓移植実施施設(九州は九州大学病院)による評価を経て、日本循環器学会心臓移植委員会の審査で適応が判定されます。

 移植希望登録をしてから心臓移植までの数年間、患者さんの循環機能を植込型LVADが支えます。「Bridge to Transplant」と呼ばれているとおり、まさに「橋渡し」役として位置づけられています。

 植込型の手術は当院の心臓血管外科で行います。循環器内科と心臓血管外科の医師が連携し、看護師、臨床工学技士、理学療法士など多職種のメンバーが協力して治療にあたります。患者さんとそのご家族ができるだけストレスを抱えずに待機期間を過ごすことができるよう努めています。

―これからどのような議論が必要ですか。

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 日本ではドナーの数が絶対的に少ないため、心臓移植登録患者が増えるほど、移植待機の期間が長くなる傾向にあります。脳死下の移植に対する考え方についても日本人の宗教観、倫理観によるところが大きく、なかなか難しい問題です。

 それともう一つ、心臓移植待機者でなくても植込型LVADを装着し、補助人工心臓で生きていくという選択を認める「デスティネーション医療」の是非が検討されています。

 米国ではすでに行われていて日本でも容認する方向で検討されています。ただ際限なく認めると医療費の膨張につながりかねない。全体的なバランスの中で議論していくべきでしょう。

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科 循環器内科学
長崎市坂本1-7-1
TEL:095-819-7200(代表)
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/junkanki/


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