九州大学大学院医学研究院 眼科学分野 園田 康平 教授

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働きやすいシステムをつくり 患者に寄り添う治療を行う

【そのだ・こうへい】 1991 九州大学医学部卒業 1993 同大学院博士課程 1997 米ハーバード大学スケペンス眼研究所 2001 九州大学大学院医学研究院眼科学分野助手 2007 同講師 2010 同准教授 2010 山口大学大学院医学系研究科眼科学教授 2015 九州大学大学院医学研究院眼科学分野教授

 「眼で全身の状態を診る」。九州大学大学院医学研究院眼科学分野の園田康平教授はそう語る。眼科医のおもしろさや近年の疾患の傾向、眼科が抱える課題と対策を聞いた。

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―最近の眼科疾患の傾向を教えてください。

 国内の失明原因の第1位である緑内障の患者さんが増えています。理由は二つ。一つ目は高齢化。緑内障の有病率は年齢とともに増加します。もう一つの理由は、医療の進歩により、発見率が上がったからです。

 かつては眼圧が高い人だけが緑内障になると考えられていましたが、人によって発症する眼圧の基準が違うとわかりました。眼圧は正常の範囲でも、緑内障が進行する「正常眼圧緑内障」の患者さんが多く存在するのです。

 緑内障によって一度失ってしまった視野や視力は回復しません。しかし、早い段階で薬や手術といった適正な治療を始めることで、進行を抑えることはできます。

 眼圧の検査に加え、5〜6年前から普及し始めた光干渉断層計(OCT)など他の検査機器も使ってスクリーニングすることで、早期の治療開始につながっています。

―治療の際、大切にしていることはなんでしょう。

 疾患の早期発見が増えているとはいっても、失明に至る患者さんもいます。

 私たちの役割は、まずは一生懸命に治療をすること。そして、眼が見えなくなるのではないかという患者さんの恐怖心を和らげるためにも、よく話を聞くことです。

 最先端の医療を提供するだけでなく、患者さんやご家族の声に耳を傾けて、自分のベストパフォーマンスをする。それに尽きるのではないでしょうか。

 眼は唯一の透明臓器です。光が通り、フィルムである網膜に映る。それによって、ものを見ています。

 眼科の医師は眼の中をのぞき、血管や神経を直接見ます。身体のどこかで炎症や動脈硬化が起こっていると、目の奥の血管などにも変化があります。

 眼とは、体の中をのぞくガラス窓のような場所であり、われわれはその窓から全身を診るスペシャリスト。「眼で全身状態を診る」ことを心がけ、必要があれば他診療科につなぐといった連携も大切にしています。

―患者数の増加もあり、将来、眼科医が不足する可能性があるとお聞きしました。

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 今、眼科医の数自体は少なくないのですが、年齢が偏っています。40〜50代は多いけれど、20〜30代、つまり新医師臨床研修制度によって眼科が必修でなくなった後の世代が少ないのです。

 10〜15年後には、現在よりもさらに高齢化が進み、目の異常を訴える患者さんはますます増えるでしょう。しかし、今、診療の中核となっている世代は引退の時期。中心となるべき中堅医師が不足する可能性があると考えられています。

 対策の一つは、働きやすい環境をつくることだと思います。眼科は女性医師の割合がおよそ4割。他の科に比べて高いこともあり、日本眼科学会では「ワーク・ライフ・バランス」実現に早くから取り組んできました。

 九州大学病院には全医療職の働きやすさを追求する組織「きらめきプロジェクト」があり、この教室でも独自にフレックスタイム制などを導入しています。

 男女や年齢を問わず、お互いが助け合い、働き続けられる。そういったシステムを、これからさらに充実させていくことが大切です。

 当教室では、教室員一人ひとりのやりたいことを大事にしています。私の役割は、全員から希望を直接ヒアリングして、責任を持って後押しすること。最適な研究環境を整えたり、専門性を磨ける病院を紹介したり、「好きにやっていいよ」と言いながらも、しっかりとフォローすることだと考えています。

 それによって培われた多様性が教室としての幅となり、大きな力となる。いろいろな見識が共有されることで、思いがけない発展にもつながると信じています。

九州大学大学院医学研究院 眼科学分野
福岡市東区馬出3-1-1
TEL:092-641-1151(代表)
http://www.eye.med.kyushu-u.ac.jp/


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