今月の1冊 - 82.さいごまで「自分らしく」あるためにホスピスの現場から

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山崎章郎/二ノ坂 保喜佐藤 健/米沢 慧
春秋社 304頁 1900円+税

 2025年問題の本質は二つ。高齢化の結果として臨死患者が増えるが医療機関のベッド数は減るため、多くの「死に場所難民」が発生するかもしれないこと。臨死患者の救急搬送件数が上昇すれば、「社会復帰可能な救急患者」が命を落としてしまう可能性が高まることー。

 そんなメッセージをまえがきで記したケアタウン小平クリニック・山崎章郎院長、にのさかクリニック・二ノ坂保喜院長、豊橋医療センター・佐藤健副院長、評論家の米沢慧氏による共著。

 日本で初めてホスピスが紹介されてからおよそ40年が経つという。本書ではこれまでの流れを大きく3期に分け、1981年に聖隷ホスピス、1984年に淀川キリスト教病院ホスピスができた頃までを黎明期。WHОがホスピス緩和ケアを医療制度として確立した1990年から2000年頃までを第2期。以降を第3期と位置付け、「では、日本にホスピスは根付いたのか?」とあらためて問う。

 報道写真家でジャーナリストの岡村昭彦の発言が引用されている。監訳を務めた「ホスピス│末期ガン患者への宣告」(1981年)に関する雑誌のインタビューで、「ホスピスとは施設ではなく運動である。地域との結びつきがないホスピスはホスピス精神に反する。運命を共有するコミュニティーの連帯の上にホスピスは成り立っている」。

 いわば疑似家族として5人ほどが一軒家で共同生活を送る「ホームホスピス」など、新たなホスピスの形態も登場している。自分らしい生をまっとうし、最期を迎えることができるのはどこか。人間がいつか必ず向き合う問題のヒントを与えてくれる1冊。(瀬川)


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